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大学1年生、色とりどり

いろはにほへと、散るまでに

無事に高校を卒業し、それなりに充実した春休みを過ごし、ついに私は大学の入学式という門出に立ちます。

知り合いゼロ、土地勘ゼロという状況は、物心がついてから初めての経験だったように思います。
非常に緊張し、非常に怯えながら当日を迎えました。

当時、mixiというSNSが流行っており、そこで同じ年に入学するメンバー同士の交流が行われていたようですが、私はぼんちゃんとの「浮気の一因になるようなことがあったら嫌だからmixiは辞めよう」という若々しい取り決めを遵守しており、本当にゼロからのスタート、未開の地へ足を踏み入れる探検家よろしく手探りで進む道程の始まりでした。

事前に届いていた案内状を、片道1時間半の電車内で何度も確認しながら最寄駅に降り立つと、大学名を掲げたプラカードとともに案内役の方が大声で「こちらですよ、あちらへどうぞ」とアナウンスしておりました。人の流れに乗って歩みを進めると、無事に入学式が執り行われるホールへ辿り着きました。

到着した順に奥から席を詰めていく方式で、中程あたりに着席してから、私は不自然にならないよう気をつけながら周囲を見渡しました。

赤、青、黄色。
白黒、ピンク。

私を囲んでいた、髪の色です。
どれも、地元ではなかなか見ることのない鮮やかなもので、田舎者の私は四面楚歌状態でした。
驚きと更に深まる緊張が、周りに漏洩しないよう、必死に真顔を貫きました。

その後、いくつかの説明と偉い人からの賛辞を受け、それから学科ごとに教室へ分かれることになりました。

私が所属した社会福祉学科は、殆どが茶髪か黒髪で、少し安心したことを覚えています。
ただ、苗字あいうえお順の座席、私のすぐ後方に着席していた女の子だけは、際立って派手な化粧に長くて明るい髪の毛をしており、私の中にある「都会の子」代表というような風貌でした。
怖いなあ、仲良くなれないだろうな、なんて思いながら初日の説明を聞き終え、私はそそくさと足早に、本当に足早に帰路につきました。
決して友人を作る気がなかったわけではありませんが、その日は早く帰りたくて、見慣れた景色の中に戻りたくて仕方ありませんでした。

緊張に慣れない都会に、満身創痍だった私は、帰宅後のぼんちゃんとの電話を早めに切り上げ、ベッドの中でまるまり、翌日のオリエンテーションに備えました。


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