短編 | ハニワ金融道
「『ハニワ金融道』って面白いよね」
聡(さとし)が言った。真顔だった。これは冗談を言っているのか?あるいはマジで言っているのか?
彼と付き合いはじめて、まだ日が浅い。私には彼の真意を見抜けないことがある。彼は冗談を言うのが好きだ。しかし、同時にプライドが高いことも感じていた。
『ハニワ金融道』などというマンガはない。私が知る限り『ナニワ金融道』ならある。『ハニワ金融道』などあろうはずもない、たぶん。
もし聡がギャグで『ハニワ金融道』と言ったのなら、
「ははは、『ハニマルくん』が借金しちゃうのかな?」と言うか、あるいは
「『S A G A 佐賀』🎵」、と『はなわ』のモノマネをすべきだろう。
「それ、『はなわ』じゃん。『ハニワ』じゃねぇし」という聡のツッコミを予期しながら。。。(゜o゜)\(-_-)。
たが、もし彼がマジでいい間違いをしているとしたら?
プライドの高い聡のことだ。
「『ナニワ金融道』でしょう?『ハニワ』がサラ金で借金するはずないじゃ~ん」などと言ったら、深く傷つけてしまうのではないだろうか?
激昂はしないと思うが、彼のプライドを傷つけたくはない。。。
私は沈黙がした。冷えこみ始めた11月だというのに、私のひたいからは、汗が滴り落ちんばかりであった。
「ハニワであるか、ハニワにあらずか、それが問題だ」
("To be Haniwa, or not to be Haniwa, that is the question.")
私は混乱していた。ハニワもハムレットも混同してしまうほどに。。。
体が熱くなってきた。とてつもなく自らの体が熱くなっていくのを私は感じた。身体中のエナジーは、この状況をいかに打破すべきか、という一点の思考に総動員されていた。大量のエナジーが消費され、体が火照ってくるのを私は感じた。
私は無意識のうちにこう呟いた。
「あぁ、あっ、熱い。体が燃えるように熱いわ」
これを聞いた聡は、私を抱き寄せた。そして、私の口唇に彼の口唇を重ねた。
「お前の体は、そんなにも俺を求めているのか?」と言わんばかりに。、。
この前のキスよりずっとずっと濃厚だった。聡は舌をからめてきた。クチャクチャと淫靡な音がこだました。
「正美、愛してるよ」
私はさっきまでの葛藤を忘れて、普通に嬉しかった。こんなに情熱的なキスは、今までに経験したことがなかった。
しかし、彼が「愛しているよ」と言ってくれたとき、ATMでキャッシングして、ヤクザに追いかけ回されているハニマル王子の姿が私の脳裏をかすめた。
聡と舌をからめながら、私の腹は、よじれんばかりであった。
~おしまい~
久しぶりにギャグ小説を書いてみました。過去作はこちら(↓)
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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします