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#テレビドラマ感想文

今ハマっている、過去に大好きだった、再放送で見て当時を思い出した、など、印象に残っているテレビドラマについて、noteに投稿してみませんか?

人気の記事一覧

虎に翼 第43話

岡部たかしじゃなかったら許されんだろ、こんなの。岡部たかしでもギリギリだ!という回だった。彼以外だと、これができるのは大泉洋くらいしか思いつかない。 優三(仲野太賀)の死亡告知書を隠していただけではない、直言(岡部たかし)から出てくる出てくる、「それを言っちゃあおしまいよ」懺悔のオンパレード。 ①優三くんのこと隠していてごめん ②今、トラに倒れられたら我が家は立ち行かなくなると思って。ごめん ③トラが結婚した時正直「優三くんかあ」「花岡くんがいいなあ」 「花岡くんの下宿を

虎に翼 第40話

前回のラストで寅子(伊藤沙莉)を訪ねてきた人物。 この重苦しい週の金曜日に、寅子になんらかの救いをもたらしてくれるのか!?と思ったら、法科女子部の後輩・小泉さん(福室莉音)が女子部の閉鎖と、高等試験中止の報を伝えにきてくれた。 ……救いじゃなかった……むしろ、寅子が切り拓いてきた女性法曹の道が閉ざされたという、更に打ちのめされる展開。寅子が出産育児で立ち止まっても、誰かが後に続いてくれるという願いは潰えた。 高等試験が再開されたら、必ず挑戦するという小泉さんの力強い言葉だけ

虎に翼 第51話

花岡(岩田剛典)が死んだ。 配給分以外にまったく食料がないのならともかく闇買いで得ることができる状況なのに、配給だけで生きてゆけという法を守った者が死んだのなら、国の失政の証だ。戦死、戦病死した人々と同じく「可哀想に」と涙するだけで済ませてはならない犠牲者だ。 チラリと映る新聞に「花岡判事の日記」が記事として載っている。 「食糧統制法は悪法だ、しかし法律としてある以上、国民は絶対にこれに服従せねばならない。自分はどれほど苦しくともヤミ買い出しなんかは絶対にやらない、したが

虎に翼 第68話

小学校で返されたテスト用紙を寅子(伊藤沙莉)に見せる優未(竹澤咲子)、84点で直人(琉人)と直治(楠楓馬)が「優未、がんばったでしょ!」と寅子の言葉を求めるが、寅子は 「間違えた部分はきちんと復習して勉強するのよ。そしたら次は100点だから」 ああ……寅子。やっちまった。学校で常に1、2を争う成績だった寅子は、きっと100点が当たり前で、90点台を取った時には自分にこう言い聞かせていたのだろう。でも優未にこれはよくない、本当によくない。……しかし今ならそう思えるのだけれど、

虎に翼 第70話

やっちまった……組織で生きる大人として、最悪のタイミングで怒り爆発させてしまった。寅子(伊藤沙莉)が落ち込んでいて、ちょっと安心した。 そして家庭局の扉をピシャアン!と音高く開けた穂高先生(小林薫)に、ちょっとびっくりした。この後は穏やかに話し始めるものの、穂高先生もギリギリまで態度を決めかねていたんじゃないかなあ。 それにしても、発言について撤回や謝罪をするつもりはないにせよ、ひどい態度であったことは確かなので(だからこそ落ち込んだわけだし)本来であれば寅子から先生のもと

虎に翼 第69話

虎の咆哮であった。 恩師・穂高先生(小林薫)の最高裁判事退任祝賀会の会場で花束贈呈役を拒否し怒りを爆発させた後に、うおぉおおおおおお!!!と叫ぶ寅子(伊藤沙莉)は、おとなしく檻には入らぬと宣言する虎だった。 誰もが少しずつ間違えてあの場に立っていたのだ。 かつて(30話)金屏風の前で、与えられた栄誉に感謝しスンッとなることなく「私たちは怒ってるんです」と演説した寅子。彼女がそういう女だと知っていたはずなのに「名誉なことだから君が喜ぶと思ったんだがな」と花束贈呈役を彼女に当

虎に翼 第44話・第45話

先週の予告で、寅子(伊藤沙莉)が作ったお守り袋を拾い上げた人は、やはり優三さん(仲野太賀)ではなく、戦病死を確かに伝えに来てくれた帰還兵だった。戦友というわけではない、ただ隣のベッドに寝ていただけの人に 寅子が作った「五黄の寅の力が宿ったお守り」を渡してしまう。帰還兵の彼の言うように、どこまでも優しい人。 それが、まさに彼……優三さんが亡くなってしまったのだと裏付ける。 なんという苦しさだろう。 ************ はるさん(石田ゆり子)が 「これ以上、心が折れて

虎に翼 第61~65話

※61話から65話まで一気見したので、一気見の感想となっています。 なんということだ。前回のテレビドラマ感想文(記事はこちら) で >子に徹底的に甘えられてしまう母という存在を、ここから先このドラマ >は、どう描いてくれるのだろう。 こう書いたら、第13週は梅子さん(平岩紙)と大庭家の一族の相続問題でそれへのアンサーが出た。子だけでなく、家族に、家制度というものに徹底的に甘えられてしまう「母」「妻」の役割を負わされた女性。家族全体のケアが当たり前で、それに終わりはない上

虎に翼 第67話

泣いてしまった。星長官(平田満)が読み上げる『日常生活と民法』の序文 「今次の戦争で日本は敗れ、国の立て直しを迫られ、民法も改訂されました。私たちの現実の生活より進んだところのものを取り入れて規定していますから、これが国民になじむまで、相当の工夫や努力と日時を要するでしょう。人が作ったものです。古くなるでしょう。間違いもあるでしょう。私は、この民法が早く国民になじみ、新しく正しいものに変わっていくことを望みます。民法は、世間万人知らねばならぬ法律であります。けっして法律家に

虎に翼 第50話

穂高先生(小林薫)の善意100%の、しかし完全に的外れな言葉が、ついに寅子(伊藤沙莉)から「はて?」を引っ張り出した。 「私は好きでここに戻ってきた。戦争や挫折で色々と変わってはしまったけれど、でも。私は好きでここに来たんです。それが!私なんです!」 足音高く部屋から出て行き、力いっぱいドアを閉める。 漲る怒り。そう、悲しみと積み重なったダメージによって萎れた寅子を内側から膨らませるのは、身の内に満ちる怒りである。穂高先生は寅子復活の為に必要な、最後の一滴を注いだのだ。

虎に翼 第30話

直言(岡部たかし)がせっせと作る愛娘スクラップ、その冊子の隣に置かれた新聞記事の大見出しは「我軍 武漢陥落後も進撃の巨歩緩めず」。 ……歴史的に見れば、日中戦争はこの武漢攻略戦で終結の糸口を見失った。「進撃の巨歩を緩め」なかったのではない、退くに退けない泥沼に突き進んだのだ。 ************ 世相は暗い方向へ突き進んでいるが、高等試験に合格した、初の女性弁護士の一人となった寅子(伊藤沙莉)の周りはお祝い一色である。 ずっと前から応援してくれていた人も「よく堂々と

虎に翼 第57~60話

※57話から60話まで一気見したので、一気見まとめ感想です。 福祉に繋がるべき人の議論で、よく揶揄として上がる声 「そんなこと言うなら、あなたの家でその人を引き取ったらどうですか?」 それを本当にやっちゃったら……というのを描いた週だったと思う。 朝ドラなので、最終的には上手くいく。しかし、そこに至るまでに綺麗ごとでは収まらないあれこれを随所に差し挟んでいた。 大人の男性である小橋(名村辰)さえ、彼に脅しつけられたら怯えてしまうくらい力強い体躯を持つ少年・道男(和田庵)を

虎に翼 第25話

最初から最後まで、清き水がさらさらと流れるような第25話だった。 「主文。被告人らはいずれも無罪」 「検察側が提示する証拠は自白を含め、どれも信憑性に乏しく(略)本件において検察側が主張するままに事件の背景を組み立てんとしたことは、あたかも水中に月影を掬い上げようとするかの如し」 「即ち、検察側の主張は証拠不十分によるものではなく、犯罪の事実そのものが存在しないと認めるものである」 美しい、そしてきっぱりとした判決文である。 水中に月影を掬い上げようとする……書画などで目

虎に翼 第28話・29話

私たちは知っている。身の安全のために朝鮮に帰国しても、太平洋戦争のすぐ後に朝鮮戦争が始まり、朝鮮半島を動乱が襲うことを。 私たちは知っている。その身と志を犠牲にして男爵家を守っても、昭和22年に華族・貴族制度は廃止されてしまうことを。 努力家で賢く、友達思いのチェ・ヒャンスク(ハ・ヨンス)の無事を心から祈る。 誇り高く聡明で、心優しい涼子(桜井ユキ)の夫・有馬氏が、せめて人柄温かな男性であることを祈る。 そうでなければ、あまりにも救われないではないか。 そして梅子(平岩紙

虎に翼 第49話

花岡(岩田剛典)と寅子(伊藤沙莉)がお昼ご飯を食べながら、お互いの近況報告。 彼は東京に戻り、経済事犯専任判事として食糧管理法違反の事案担当をしている…… ヤミ米。『サザエさん』原作漫画の連載開始はちょうどこの頃(昭和21年)で、初期の漫画ではヤミ米と、闇商売で手に入れた食料が警察官に摘発される場面が描かれている。配給の食料だけではとても足りなかったのだろう。磯野家とご近所の人々の描かれ方で、当時ヤミ米を手に入れるのが当たり前であったのが伝わる。寅子も同じだ。 それでも、

虎に翼 第46話

昭和22年、3月。寅子(伊藤沙莉)の飛び込み就活……怪しげな紳士・ライアンこと久藤頼安を経て、1話のラストの場面。司法省・人事課での桂場(松山ケンイチ)の前に至る。 アポイントメントがないので人事課長に取り次いでもらえないという現場に颯爽と現れ、スマートに助けてくれたライアンにホッとしたものの「なんてお呼びしようかな……ともこさん。ともちゃん」…… 「サディ!」 これを聞いて(あっ。こりゃめんどくさい、あまり触っちゃいかんやつだ)と判断して、すみません一人で参りますので

虎に翼 第54話

「その名前で呼ばないで」 ヒャンちゃん(ハ・ヨンス)に寅子(伊藤沙莉)との再会の喜びはなく、はっきりとした拒絶が返ってきた。はるさん(石田ゆり子)は、ヒャンちゃん……いや、香子の態度に理解を示した。 「ご結婚されたんでしょう。あなたの同僚(汐見/平埜生成)と」「私も直言さん(岡部たかし)と一緒になるとき、故郷の友人と縁を切りました。生きていれば色々ありますよ」 直言との結婚は、実家の旅館の利となる結婚相手をというはるさんの親の願いとは、かけ離れたものだったから……当時の

虎に翼 第56話

昭和24年1月3日。 滝行がわりの水垢離。滝藤賢一を毎週一回脱がせて筋肉を見せつけるつもりだろうか。水を滝のように浴びながら家庭裁判所の五大基本性格を叫ぶ。 独立的性格 民主的性格 科学的性格 教育的性格 社会的性格 「寒い!」 でしょうね! 日課ということは毎日やってるんだろうけれども、ご近所から苦情は来ていないのか。来てるだろ絶対。 ************ この年から、ついに寅子(伊藤沙莉)は裁判官に就任ただし家庭局事務官と兼任。それにしても、星朋彦最高裁長官(

虎に翼 第34話・35話

寅子(伊藤沙莉)の背負ったものの重さ、夢、将来のために彼女にプロポーズせず、佐賀で奈津子(古畑奈和)と婚約したのだと告白する花岡(岩田剛典)。彼を呼び出して問い詰めるのが、轟(戸塚純貴)と、よね(土居志央梨)であるのがよい。 轟「それで猪爪に何も言わずに婚約を!?きちんと話もせずにか!」 そうだ、そうだ。どういった答えを寅子が出すにせよ、きちんと話すべきだったんだよ。 よね「責任を負う勇気がないだけだろう」「お前などあいつと到底釣りあわない」 よ、よねーーーーっ!!そこま

虎に翼 第39話

えっ、辞表!?産休・育休じゃないの…?と思った瞬間、今更ながら気がついた。 登場人物の誰もが、何もかも初めて経験することだったのだ。 仕事を抱えた身で妊娠することも、そんな女性を雇うことも、そうした女性から相談を受けることも。女性が働きながら出産育児するための社会システムは整っておらず、子どもは母親が自分の手で育てるものだという考えが大勢を占める世の中。保育園すらない。 「弁護士の資格は持っているのだから、仕事への復帰は(子育て後の)いつだってできるんじゃないのかね」

虎に翼 第41話

3月の東京大空襲。よね(土居志央梨)とマスター(平山祐介)は逃げられたのか、カフェー燈台の外で空を見上げていた路上生活者は。 花江ちゃん(森田望智)のご両親は亡くなってしまった。結婚前のお食事会や結婚式の場面を思い出し、胸塞がる思いであるが、猪爪家に追い打ちをかけるように直道(上川周作)の戦死公報が届く。 花江ちゃん(森田望智)の顔をまともに見ることができない直言(岡部たかし)の心中、察するに余りある。 「どこかの島にいたのか。船が沈没したのか……」 紙切れ一枚で骨も帰

虎に翼 第66話

2023年後期朝ドラからの越境登場人物・茨田りつ子(菊地凛子)が協力した家庭裁判所の広報効果は絶大だ。 「東京在住の困っているご婦人方はぜひ佐田寅子さんをお訪ねになって♡」 …しかしこれは、家庭裁判所というよりも判事補・佐田寅子(伊藤沙莉)個人の広報になっていないだろうかという予想通り、相談者がサイン色紙持参で殺到するという異例の事態になっている。そして最初は困惑していた寅子も「喜んで!」と慣れた様子で、すらすらとサインするように。この姿が周りの反感を買わない筈がない……

虎に翼 第55話

直明(三山凌輝)がメンバーとして活動している、東京少年少女保護連盟の学生たちが、家庭裁判所設立準備室にやってきた。直明といい学生達といい、YouTuberか?というくらい瞳の中心が輝いている。キラキラしている。 少年裁判所の壇(ドンペイ)と家事裁判所の浦田(野添義弘)に 「おふたかたとも、見ている方向は一緒ということですね!?」 「手を取りあい、団結できるということは素敵なことです」 キラキラした目で言われては否定しにくい。更に熱い理想を畳みかけられたら、おじさん達は抵抗

虎に翼 第48話

「国民すべてが(君のように)法に明るいわけじゃない」 「国民は何もかも変化を強いられて苦しんでいる」 「まず未来ではなく、今目の前の苦しむ人を救いたいと私は思うが」 神保教授(木場勝己)の言葉に、花江ちゃん(森田望智)の泣き顔が蘇る。またこのドラマの巧いのが、神保教授が頭が固いだけのヴィランじいさんというわけではない、言葉に一理も二理もあるところだ。だからこそ、スンッとならざるを得ない……。 小橋(名村辰)が「大人になった」と表現したが、前回の感想文でも書いたように、いま

虎に翼 第15話

私には傘や荷物を持たせるお付はいない、おにぎりを施す余裕はない、留学させてくれる家族もいない、休み時間に水泳したり歌歌ったりなんてできない……と法科女子部の仲間たちに言っていた、よね(土居志央梨)は実は、皆の苦しみをわかり、認めていた。 「この人は家事や育児をしながら学んでいる、この人は国を離れて言葉の壁もある、この人は常に周囲に行動を見張られて自由もなく、いろんなものに縛られて生きてる。そいつは誰よりも熱心に授業を聞いているのに、月のものが重くて授業を休まないといけない」

虎に翼 第47話

GHQの働きかけにより、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本にして、多くの改正を目指す民法親族編と相続編。 寅子(伊藤沙莉)の言うように、これが実現したらどんなに喜ぶだろうと、去っていった仲間たちの顔が浮かぶ。 新民法、いいじゃない!どんどん改正を進めようよ!と思うのだが、妻が夫の家に隷属し縛られる形を完全に変えろというGHQの案をそのまま実現した場合、夫に先立たれた妻は婚姻関係がなくなるため、夫の名字を名乗れなくなる。 久藤ライアン(沢村一樹)「(夫が亡くなったら)夫の

虎に翼 第38話

山本五十六の国葬を報じるラジオ番組が流れている、昭和18年6月5日。 直道(上川周作)に赤紙が来た。花江(森田望智)が台所で涙したことは一切なかったかのように、出征のお祝い膳はイワシの蒲焼、紅白なます、田楽、つみれ汁(こちらも人参と白葱?大根?で紅白か)にビールとお酒。 一人分の量、内容ともに慎ましやかに見えるが、直言(岡部たかし)と直道の「こんなご馳走は久しぶりだな」「お母さん、無理したんじゃないの」という台詞で、これが豪勢なものになってしまった、国民の食生活が窺える。

虎に翼 第52話

花岡(岩田剛典)の死から1年。前回(感想はこちら)よね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)のバディ結成は彼の供養にもなった気はするけれど、そう簡単に切り替えられないな……と思っていた。が、 画面にふんどし一丁で滝行をする多岐川役の滝藤賢一が現れて「??!??」となり一瞬、花岡のことが薄らいだ。 かなりのガチ滝行をする多岐川、一体何者なんだ…… ************ 桂場(松山ケンイチ)から、家庭裁判所設立準備室に突然の異動を命じられた寅子(伊藤沙莉)の 「今、私の力が必

虎に翼 第53話

少年審判所を家事審判所を合併し家庭裁判所を勧めるための話し合いは全く進まない。 「少年家事裁判所か・家事少年裁判所か」など、死ぬほどどうでもよい言い争いで時間が浪費されてゆく。このまま家庭裁判所が成立しなかったらどうなるんだ?という話で、小橋(名村辰)が責任取って誰かの首が飛ぶんだろと稲垣(松川尚瑠輝)と共に寅子(伊藤沙莉)を見る。 いや……嘱託職員の首に責任取る力はないよ。落ち着きなよ同期3人組…… 多岐川(滝藤賢一)が汐見(平埜生成)に言う、いとしの香子ちゃんとは。 女

虎に翼 第42話

寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)がマッチのラベル貼りと箱詰めの仕事。なんでもやって生きていかねばならないのは当然だけれど、優秀な若者が進学を諦めて勤しむのがこれか……という思いが強くなる。 年が明けても優三(仲野太賀)は帰ってこず。 「寅ちゃん。もっと優三さんの話をしてもいいのよ。写真も飾っていいの。すぐにこう言ってあげられなくてごめんね」 ああ。花江ちゃん(森田望智)……ずっと胸を痛めていたんだろうなあ。直道(上川周作)の戦死公報が届いてから、優三の話を寅子が控えて

虎に翼 第37話

寅子(伊藤沙莉)と優三さん(仲野太賀)の夫婦が並んで座り、ちいさなピクニック。自分のハンカチを広げて、そこに寅子を座らせる優三さん。 ああ、この紳士としての仕草。昭和の白黒映画や「サザエさん」の原作漫画などで見た……! 「すべてが正しい人間はいないから」「この世にみんな、いい面と悪い面があって。守りたいものがそれぞれ違うというか。だから法律があると思うんだよね」 家族みんなの分には足りない鳥肉を、ふたりでこっそり食べる。正しい行いではないだろう。でも、今の寅子には必要な行

虎に翼 第31話

弁護士編スタート。と、同時に優三(仲野太賀)が猪爪家を出てゆく。 ……あれ。なんでしょう。この喪失感は。猪爪家の家族同然、優しくて頼もしい優三が寅子(伊藤沙莉)たちの傍からいなくなるということが、視聴者としてとても寂しい。 ************ 花岡(岩田剛典)と寅子の会話。 「(花岡さんが裁判官になったら)盛大にお祝いしましょう」 「期待しちゃっていいんだね」 「ええ、もちろん!期待してて」 ……これは……お互い、齟齬に気づいていないところが厳しい感じがする会話

虎に翼 第27話

司法科の高等試験に落ちても、卒業しても、次こそはと寅子(伊藤沙莉)たちの学びと努力は続く。 『竹もと』に集って学ぶメンバーの中に、涼子(桜井ユキ)のお付女中・玉(羽瀬川なぎ)がいて、しかも辞書を片手に読み進めているのが『Uncle Tom's Cabin(アンクル・トムの小屋)』。 。米国の奴隷解放問題に大きな影響を及ぼしたとされる作品である。いつの時代も、エンターテイメントは政治と無縁ではない。 ************ 花岡(岩田剛典)は司法官試補として働き、昼休憩

虎に翼 第36話

その危機感については、第8話の感想 でも少し触れていた。寅子(伊藤沙莉)が初めて傍聴した、物品引渡請求裁判。DV夫から母の形見の品などを取り返したい妻が起こしたものだった。いかにも暴力を振るいそうな憎々し気な様子の夫と、地味で華奢で、助けたくなる様子の妻。見た目で判断してはいけない、事実のみで考えねばと観ていたのだ。そして、妻の勝訴に快哉を叫ぶ女学生たちに、いずれどこかで「弱く見える女性」にひっくり返されるエピソードが来るのではと考えた。 しかし、ここまで女であることを利用

虎に翼 第18話

男子&女子学生のハイキング。 感心したのが、轟(戸塚純貴)だ。梅子さん(平岩紙)の三男・光三郎くん(石塚陸翔)と玉ちゃん(羽瀬川なぎ)の荷物を真っ先に持った。 「男の役目を果たすまで!」 自分が属する性の役割に固執しすぎだとは思うが、己の使命を全うすることをまず第一とする快男児であろう。 そして、彼は玉ちゃんを女中として低く見ていない。他の人よりも多く荷物を持つ女性だから手助けしたのだ。 ************ 他の女性たちの前や、自分とふたりきりの時にはとても優しい花

虎に翼 第33話

冒頭、昭和15年9月。日独伊三国同盟が成ったことが、ラジオと新聞で示される。日本の立場としては、既に日中戦争で消耗しており更に中華民国を支援する米・英と対立するなか、独・伊と手を結んで米・英を牽制しつつ日中戦争を有利に運ぶ意図があった。何度も繰り返し描写されているが、日本は既に戦争真っただ中である。そしてまだ太平洋戦争は始まっていない。 32話では「御時世柄 品数を減らしてをります」の貼り紙をしていた『竹もと』が、今度は厨房から鍋類を出して風呂敷に包む支度をしている。 昭和

虎に翼 第13話

度重なる侮辱、よね(土居志央梨)に対する暴力についに激昂したトラコ(伊藤沙莉)の前に立ちはだかり、その爪を顔面に受ける優三(仲野太賀)。不良男子学生を守ったのではない、トラコを守ったのだ。衆目のなかで暴力を振るったら取り返しがつかない、それならばいっそと…!!ゆ、優三さーん! その捨て身も、よねが不良男子学生の金的を蹴り上げたので無駄になってしまったが。暴力のリスクを彼女は十分知っている。第10話、DV夫に妻を「殴らせればよかった。私たちが証人になれる。暴行罪の現行犯で逮捕

虎に翼 第22話

寅子(伊藤沙莉)が穂高先生(小林薫)から託された、膨大な数に上る共亞事件の調書資料の筆写。 法科の皆が手伝ってくれる……穂高先生は、この仕事には信頼の置ける者にと言った。自然、寅子が仲間を信頼していることが伝わるし、寅子を見つめる花岡(岩田剛典)に、涼子さま(桜井ユキ)の 「『何か手伝えることはないか?』そうお声をかけたらよろしいんじゃなくて?」という台詞で、花岡のちょっとめんどくさい性格および、寅子への仄かな想いが皆にしっかりバレて…いや、伝わっていることがわかる。 毎回だ

虎に翼 第24話

罪状認否における直言(岡部たかし)の「ごめんな、トラ」の意味は、今まで迷惑をかけた娘・寅子(伊藤沙莉)への謝罪で、問いへの答えは 「私はすべて否認します」 よしっ!とテレビの前で拳を握った。 「よく言った!」と思わず野次を飛ばす傍聴マニア、笹山さん(田中要次)と、こりゃ面白いことになったぞ!と笑いが零れる新聞記者・竹中(高橋努)。傍聴席の表情も様々だ。 検察官・日和田(堀部圭亮)の扇子を叩くのを、直言が「やめてください!」と訴えたことにも「よく言った!」だ。あの扇子の打擲

虎に翼 第26話

高等試験司法科の筆記試験に、寅子(伊藤沙莉)も法科女子部の仲間たちも全員落ちた。筆記試験合格した久保田先輩(小林涼子)まで口述筆記に落ちた。 優三(仲野太賀)は今年も落ちた。 直言(岡部たかし)が「俺の裁判のせいで迷惑をかけた、勉強に影響がなかった筈はない」と言ったが、裁判から試験まで半年しかないので確かになあ……という気はする。 男子14名女子5名中、筆記試験合格は花岡(岩田剛典)と稲垣(松川尚瑠輝)の2名のみ。 男子14名中3名は学力不足で筆記試験を受けられなかった。

虎に翼 第23話

「私は被告人の無罪を主張しようと思っている」。 穂高先生(小林薫)の言葉に、一様にうーん……となる弁護士の先生がた。 「法は、強き者が弱き者を虐げるためのものじゃない。法は正しい者を守るものだって、私は信じたいんです」 寅子(伊藤沙莉)の言葉に、先生がたはうーんとなりつつも穂高先生の方針に賛成することにしたらしい。穂高先生がこの場に寅子を伴ったのは、被告人の娘というだけでなく、彼女が法を学ぶ学生であるからだ。 この国の未来を、法曹界の未来を担う若者のまっすぐな意志を前にして

虎に翼 第32話

本人は平静なのに、本人以上に家族が異性に「きゃー!」と盛り上がる。この図は見たことある…『カーネーション』の糸子(尾野真千子)と、母・千代(麻生祐未)だ。 花江ちゃん(森田望智)と、はるさん(石田ゆり子)がふたりでアシストして寅子(伊藤沙莉)の気持ちを少しずつ揚げてゆく。 雲野事務所の事務員・常磐さん(ぼくもとさきこ)が読む雑誌に、厚生省が制定した『結婚十訓』が並んでいる。 一、父兄長上の指導をうけよ 二、自己一生の伴侶として信頼できる人を選べ 三、健康な人を選べ 四、悪

虎に翼 第20話

直言(岡部たかし)は贈賄容疑で拘留、家宅捜索に来たという検察官・日和田(堀部圭亮)ら。直言の妻である、はる(石田ゆり子)娘の寅子(伊藤沙莉)に対して怒鳴りつける。おお、戦前の官吏……というか、戦後でも昭和の役人は高圧的だった覚えがあります、かなり。 優三(仲野太賀)が帰宅してくれて助かった。法に則った捜査である以上は拒めないが、土足はやめてくれと落ち着いて話せる。これは大きいなあと思った。家宅捜索だから部屋をめちゃくちゃにされるだろうが、土足かそうでないかで、その後の精神的

虎に翼 第17話

梅子さん(平岩紙)の夫、大庭氏(飯田基祐)。 すごい。すごすぎる。よくもこんなに、上手に女性を怒らせることができるなあと感心して観ていた。 妻の容姿をジョークのネタにする、容姿は未婚の女性にとって何よりも大切、はて?と異を唱えれば 「そうだね、勿論違う。君たちとは」「君たちのように容姿端麗で優秀な女性たちとは」 いやいやいやいや……そこじゃない。という以上に、他の女性を見下して踏みつける仲間に、勝手に引っぱりこまれる不愉快さ。くっそうと拳を握りしめるがしかし、大庭氏が妻の

虎に翼 第19話

花岡(岩田剛典)のケガが命に関わるものでなくてよかった。 トラコ(伊藤沙莉)が心から反省していて、謝ろうとしていてよかった。 トラコと女子部の皆への憎まれ口を叩く花岡に 「愚か者ぉっ!!」とビンタする轟の 「思ってもないことをのたまうな」 「ここには俺しかいない。虚勢を張ってどうする」 友人としての言葉。 轟は美徳を追求する男で、その美徳が男だけのものでないことに気づき認められる人間であることに胸打たれる。 前回感想文( 第18話 )で薄々は感じていたが、花岡の男尊女

虎に翼 第14話

よね(土居志央梨)に、なんと声をかけたらいいのか……と、トラコ(伊藤沙莉)が頭の中でシミュレーションする。想定問答を繰り返すたびに、よねとトラコの顔が少しずつ接近しているのに笑う。 昨日のなんとも言葉にし難いラストからのこれ……軽くしてもらうつもりはなかったが、フフッと笑って気持ちが軽くなった。 ************* 一日も大学も仕事も休まず、というよねの言葉に、 「お月のものがきた時はどうしてるの?」というトラコの問い。 ヒロインの月経が重いという描写に続き、月の

虎に翼 第21話

穂高先生(小林薫)が、直言(岡部たかし)の弁護についてくださるという。しかもそれは、花岡(岩田剛典)の提案だと。 はるさん(石田ゆり子)寅子(伊藤沙莉)、優三(仲野太賀)と共に頭を下げたい気分である。 優三「僕はただの書生です」 寅子「ただの、じゃないです。優三さんは家族ですよ」 その言葉に心から嬉しそうな優三の顔と、複雑そうな花岡の表情。 花岡くん。君はもしやほんのちょっとだけ、めんどくさい男子だね……? ************ 久しぶりに出席した大学で、よね(土居

虎に翼 第16話

トラコ(伊藤沙莉)明律大学法科女子部卒業おめでとう! 伊藤沙莉の呑み演技が上手なので、ビール飲みたくなった。 我が子を抱いて「お父さんが好きか~?」赤ん坊「ぎゃぁあああん」「わかるよ~」と、相変わらずの直道(上川周作)と花江ちゃん(森田望智)夫婦が別居してすぐに子を授かったの、なんというか……わかりやすくて…… そして、優三さん(仲野太賀)は今年も司法試験に受からなかった。彼が司法試験に受かったら、私はお赤飯炊いてしまうかもしれん。 ************ 本科に移っ

虎に翼 第10話

「主文。被告は原告に対し別紙目録の物品を引き渡すべし」 裁判官(栗原英雄)の読み上げた判決に、原告弁護人(シソンヌじろう)、法科女子部の皆と共に「あああ!」と安堵の声を上げた。 そして、栗原秀雄の良い声で解説される判決の主旨に泣く……妻を苦しめる目的の、夫の権利の濫用。よくぞ言ってくださった。 笹山(田中要次)の、トラコ(伊藤沙莉)と女子部の皆への「ありがとね。皆も、ありがとうね」。これは傍聴マニアとして良いモノ見させてもらった!の礼か、原告の女性に代わって、か。 彼の前

虎に翼 第12話

ナレーション担当・尾野真千子が『カーネーション』の小原糸子として画面内にいてほしい。そんな回であった。 新聞記者を舌打ちしながら睨みつける糸子、よね(土居志央梨)に暴力を振るった男子学生に「ゴラァ!!」とトラコ(伊藤沙莉)と共に怒声を上げる糸子。東京お茶の水に、岸和田の女傑が殴り込みだ。……と想像してしまうほどに、腹立たしい。いやしかし、他にも言及したい場面は多いのだ、ちょっと落ち着け自分。 ************** 花江ちゃん(森田望智)がなぜ自分は女中同然だと卑屈に