虎に翼 第61~65話
※61話から65話まで一気見したので、一気見の感想となっています。
なんということだ。前回のテレビドラマ感想文(記事はこちら) で
>子に徹底的に甘えられてしまう母という存在を、ここから先このドラマ
>は、どう描いてくれるのだろう。
こう書いたら、第13週は梅子さん(平岩紙)と大庭家の一族の相続問題でそれへのアンサーが出た。子だけでなく、家族に、家制度というものに徹底的に甘えられてしまう「母」「妻」の役割を負わされた女性。家族全体のケアが当たり前で、それに終わりはない上に誰にも顧みられない。みなそのケアがあってこそ、仕事ができる、勉強できる、健やかに過ごせるのに。彼女に尊厳があるなどと想像さえされない。
梅子さんは妻として母として、これまでやるだけのことはやった、死力を尽くして戦った。それでもこんな仕打ちを受けるのならば、白旗を掲げての撤退もやむなし。しかし痛快な撤退であった。
民法第730条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。
第10週で神保教授(木場勝己)がゴリ押して差し込んだ民法第730条。家族を縛るためのこの法律から無視された存在、直系血族以外の人間・妻として全てを放棄しての梅子さんの「ごきげんよう!」
いいぞ、もうつきあいきれん。君らの面倒見てられん。これは妻の伝家の宝刀だ。「自分が幸せじゃなきゃ誰も幸せなんてできないのよ」
梅子さんも花江ちゃん(森田望智)も、他の全ての女性たちも、まず自分を大切に思わねば、妻・母なんてやってられんのだ。
まあしかし、轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)は弁護士とそのスタッフとして、梅子さんのために大庭家からがっつり遺産を取ってやってほしかった。出ていく梅子さんの後を追いながらワハハじゃないのよ、彼女のこれまでの人生と働きへの対価、これからの生活の資金を確保してやってよ。
まだ青いな、轟法律事務所。
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今週はヴィラン姑としての鷲尾真知子の芝居が最高だった。場をビシッとしめる発声、腹の奥から出る台詞。小柄なのに凄い存在感。
恨みしか買っていないであろう嫁・梅子に自分の面倒を見させようとする、どこか間が抜けてて危機感のないオバアチャンぶり。憎々しいのに、ずーっと観ていたかった。拍手拍手。いいものを観ました。
(つづく)