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国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す 【武田信玄、辞世の句が教えてくれること(大罪人の娘・前編、第参章を終えて)】
武田信玄、辞世の句。 「大ていは 地に任せて 肌骨好し 紅粉を塗らず 自ら風流」 これは、以下のような意味である。 「大抵は世相[世の中の状況]に合わせて生きていくしかないが…… だからといって人目を気にして上辺だけ取り繕う[表面だけ良く見せる]ような生き方をしてはならない。 自分にとって本当の正しい生き方を、『自ら』動いて探し続けよ」 と。 ◇ 「大抵は世の中の状況に合わせて生きていくしかないが……」 まずは、この前半部分。 正直。 あの戦国最強の大名とも謳われた
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第四十四節 織田信長の愛娘が産んだ男子を武田家の当主に 【大罪人の娘・前編(無料歴史小説) 第参章 武田軍侵攻、策略の章】
待ちに待った書状がついに来た。 武田信玄への、教団の総本山・石山本願寺からの回答である。 内容は大きく3つ。 1つ目は…… 「織田信長との和睦を命じた勅命[天皇からの命令のこと]に逆らう行動は、できるだけ避けたい」 ということ。 人気で成り立つ教団にとって一番怖いのは、その人気を失ってしまうことである。 だからこそ。 人気のない幕府よりも、人々から崇敬の念を抱かれている天皇の方がはるかに気を遣う相手なのだ。 これこそが。 人気を基盤とする集団が持つ致命的な『弱点』と言え
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第四十三節 徳川家康の三河国統一に利用された教団 【大罪人の娘・前編(無料歴史小説) 第参章 武田軍侵攻、策略の章】
1573年2月。 野田城[現在の愛知県新城市]が、ついに落ちた。 藪の中にある小さな城と言われ、数百人の兵士しか収容できない程度の防御施設が…… 武田軍3万人の攻撃を1ヶ月以上もの長い間に亘って防いでいたらしい。 その割に、籠城戦を指揮した武将の名前が轟くどころか未だに無名なのはなぜだろう? 戦国最強と謳われ、しかも圧倒的な兵数を誇る武田軍の攻撃を『本当』に防いでいたなら眉唾ものだが、そんなことは不可能に決まっている。 実際に野田城の跡地を見た人がこんな感想を抱くからだ。
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第三十九節 素人は戦略を語り、プロは兵站を語る 【大罪人の娘・前編(無料歴史小説) 第参章 武田軍侵攻、策略の章】
武田信玄の立てた西上作戦を実行して越前国[現在の福井県]から近江国[現在の滋賀県]へとなだれ込んだ朝倉軍2万人。 その総大将・朝倉義景には大きな『試練』が待ち受けていた。 家臣の一人が、ある報告を持ってきたからだ。 名前を前波吉継と言う。 内容を聞いた義景は驚き、愕然とした。 「兵糧が尽きた…… だと? 一体、どういうことじゃ?」 「近江国の商人から買った兵糧が全く届かないようで……」 「兵糧が全く届かない!? そんな馬鹿な! 前に来たときは何の問題もなかったではないか