
JW724 讃留霊王
【景行経綸編】エピソード8 讃留霊王
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦93年、皇紀753年(景行天皇23)。
ここは、讃岐国(今の香川県)。
神櫛皇子(以下、ムック)は、悪しき魚を退治するため、現地に赴いていた。

合いの手は、若日子建吉備津日子(以下、タケ)。
そして「カルロス」と「ホセ」など、讃岐の民と共に、大船団で海原を進むのであった。

ムック「悪しき魚は、何処じゃ!?」
カルロス「さっさとやっつけて、昔のように、魚が獲れるようにするんじゃ!」
タケ「ん? 波が高く、盛り上がってきたぞ!」
ホセ「でっ・・・出たぁ! 悪魚じゃ!」
悪魚「ぐおぉぉぉ!」
ムック「船を左右に広げ、囲い込めっ。」
カルロス「おう!」
ホセ「やったるで!」
タケ「一斉に射かけよ!」
ムック「あっ! なんという硬さじゃ!」
ホセ「鏃を跳ね返しとる!」
悪魚「ぐおぉぉぉ!」
ムック「あっ! 『カルロス』が呑み込まれた!」
ホセ「嗚呼! カルロスゥゥ!」
呑み込まれた「カルロス」はというと・・・。
カルロス「伝承では、一人の兵士が呑み込まれたと書かれとるんじゃけど、何でか、我になってしもたみたいじゃな・・・。」
悪魚「ぐおぉぉぉ!」
カルロス「うるさいなぁ・・・。あっ! そうか! 腹の中で暴れたら、ええんじゃ! 正義の剣を喰らえっ。」
ザクッ
ブシュッ
悪魚「ぐほぉ・・・。」
ムック「ん? 悪しき魚が苦しみだしたぞ!」
タケ「悶えておるのう。」
悪魚「ぐ・・・ぐふっ。」
ホセ「あっ! 息絶えたで!?」
死んだ悪魚の口から出て来たのは「カルロス」であった。
カルロス「どうじゃ? 死んだか?」
ムック「おお! ようやった!」
ホセ「生きとったんか!」
カルロス「まだまだ、死ねんわ!」
タケ「これで、一安心じゃのう。」
ホセ「魚を獲ることが出来まする!」
ムック「良かったのう。」
タケ「では、ここで、大王からの言伝を申すぞ。」
ムック「言伝?」
タケ「汝を讃岐国造に任じる。」
ムック「では、このまま、讃岐の地を治めよと?」
タケ「そういうことじゃ。」
カルロス「おお! 讃岐の王が誕生したぞ!」
ホセ「讃岐の王・・・讃王じゃ!」
ムック「照れるではないか・・・(^_^;)」
タケ「讃留霊王とも呼ばれておるぞ。」
カルロス「おお! そっちの名前もカッコええのう。」
ムック「照れるではないか・・・(^_^;)」
こうして、何はともあれ「ムック」は讃岐国造となったのであった。
そして、二年の歳月が流れた。
すなわち、西暦95年、皇紀755年(景行天皇25)7月3日。
ここは、纏向日代宮。





景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)は、武内(以下、たけし)を呼び出していた。

たけし「何事でしょうか? 大王?」
シロ「うむ。汝に与えたき命が有るのじゃが・・・。」
たけし「命?」
シロ「そのまえに、なにゆえ、汝の父と母が来ておるのじゃ?」
そこには「たけし」の父、屋主忍男雄心(以下、ヤヌシ)と、母の紀の君の影媛の姿が・・・。

ヤヌシ「今回で、我らは、クランクアップなり!」
影媛「そういうわけで、一緒に参内させてもらいました。」
たけし「えっ? 父上? 母上?」
シロ「そうか・・・。して『たけし』には、高志から、更に東に向かい、その地の形や、民の暮らしぶりを調べてもらいたい。」
ヤヌシ「高志は、北陸地方のことなり。」
影媛「そこから東は、未知の領域ね。」

たけし「か・・・かしこまりました。」
こうして「たけし」は旅に出たのであった。
つづく