朝の涼しい小雨の中、墓に樒を供えに行った。朝日を受ける吉相墓地。少し草を抜き、水を満たし、樒を活けた。作業するうちに身体が軽く楽になり、やはり墓は祖先から頂いたDNAの貯蔵庫だと思った。まるで戦地から帰還したぼろぼろな兵士が一息ついたように、活力が湧いた。
百までも積み上げし齢帰還兵 辿る旅路も終なりけり
僕は小野田さんの住んでいた所を 見たことがあるさ 暗いほら穴であんなところにひとりで 30年も住めるなら どこでも住める 小野田さんはあの当時50を過ぎていたけれど 24の僕よりずっと若く見えた それが鮮明に 残ってる by 僕