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東京郊外で、老障介護真っ最中。私、76歳。長女51歳。知的障害、自閉スペクトラム症。てんかん。躁病。生活介護通所施設利用中。母は長女が通所している間に、映画や海外ドラマを見たり、編み物や刺繍をして、自分を保って暮らしています。

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    心に残る映画について

  • 障害についてのあれこれ

    知的障害、てんかん、双極性障害、自閉スペクトラム症の長女を育てながら、大学院で学び、障害者福祉課での各種委員をしながら、行政への働きかけをしています。

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    今まで沢山の本を読んできました。忘れられない本はお友達のような存在です。

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躁病の家族と暮らすということ

鬱病の闘病記や、鬱病の家族の手記や漫画などは目にする機会が多いが、躁病の家族の記録や手記は、少ないように思う。 「楡家の人びと」や「夜と霧の隅で」などの作者、北杜夫さんは躁うつ病で、そのことを娘さんの斎藤由香さんが、「パパは楽しい躁うつ病」と言う本で書いているのは知られているが、それ以外はあまり聞かない。  海外ドラマでは、「ER」や「ホームランド」など、映画では、「世界にひとつのプレイブック」に双極性障害のある人が登場する。本人の生きづらさ、家族や周りの人たちの戸惑いや困

    • かわいい暮らし

      76歳にもなって、かわいらしい暮らしなんてと思うのだが、私の暮らしはとてもかわいい。 なんでかわいいかっていうと、別に、私は「かわいいおばあちゃん」ではないのだけど、「かわいいおばあちゃん」っていうのは、「若い人」に愛される、都合のいいおばあちゃんてことだけども、私は都合のいいおばあちゃんではない。 なのだが、私の持ち物はとてもかわいい。 私の家の食器はとてもかわいい。 そして毎週図書館に絵本を7冊借りに行って、毎晩絵本を読んでいる。 なんでかっていうと、それは同居人が、永

      • ほかろん方式

        我家の長女ほかろんには、こだわりがたくさんあります。 知的障害があり、時々躁転する躁病も持ち合わせていますから、本人はかなり、大変な生き方をしているのだろうなあと思います。 字が読めず、難しい言葉がわからず、世の中の仕組みが理解できないので、自分が今生きている世界の様子が、よくわからないのではないかと思います。 あくまで、私の推測ですが。 そこで、何が何だかよくわからないこの世界で、毎日を送るために、不安だらけの自分の心を、何とか落ち着かせるために、ほかろんは自分なりに、

        • えいやっ!

          昔の押し入れに入っていたような、黴臭くて、重たいもめん綿の布団を、何枚も何枚も被っているかのごとくの重力を受けている私の朝の目覚め。 わりと、いつも最悪。 重たい。 被っている物が多すぎて重たい。 布団は軽いのが好き。 現実が重たすぎるから。 毎朝、起き上がるためには気合が必要。 京子さんお願いします。 気合いだっ!気合いだっ!気合いだっ! 京子さんに負けじと、私も掛け声をかける。 「えいやっ!」 すると、重たいもめん布団の数々は、ばらばらと吹っ飛んで、私は身軽になる。

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          嬉しい話をしたいものです

          いよいよです。 24年間、待ち続けました。 9月13日に、「シュリ」が4Kデシタルリマスターで、公開されます。 アマゾンプライムでも、配信決定です。 初めて、「シュリ」を見たとき、あまりに衝撃的すぎて、次の日も映画館へ見にいってしまったほど。 以来韓国映画沼です。 「ドクターキムサブ」のハン・ソッキュも、「パラサイト」のソン・ガンホも、「オールドボーイ」の(大友康平似の)チェ・ミンシクも、「LOST」のキム・ユンジンも、みんなキラキラ輝いていました。 そして、みんな、韓国

          嬉しい話をしたいものです

          魍魎の匣 ほう ほう ほう

          この世には不思議なことなど何もないのだよ。 と、京極堂は言うけれど、ほかろんのいる我が家にはそれは当てはまらない。 我家は不思議なことだらけ。 ほかろんは存在そのものが、ふしぎ駄菓子屋銭天堂。 その一番が、我が家に収まる箱の数々。 それは、大型の衣装箱。アイリスオーヤマのプラスチック製。 その数なんと、ああ数えたくもない。 十箱に及ぶ。 そのすべてが、ほかろんの衣類。 夏用ズボンだとか、冬パジャマだとか、仕分けして入っている。 私の荷物は、ごくわずか。 我家にあるものは、

          魍魎の匣 ほう ほう ほう

          今だけゆっくり、もうすぐしゃっきり

          「いきたくない」 「いきます」 「おうちにいたいです」 「いきます」 「わかってる」 家に居たいけど、ショートステイには行きますという、複雑な気持ちを抱きながら、ともかく、知的障害のある長女ほかろんは、昨日ショートステイにお泊りしたのでした。 生活介護の園からは、職員さんが車でショートステイ先に送ってくれるのですが、先月送ってくれた職員さんが、月曜日お休みだったそうなのです。 そこで、ほかろんは、職員さんは、風邪をひいて休んだんじゃないのか。 では、誰がショートステイに送って

          今だけゆっくり、もうすぐしゃっきり

          ほかろん複雑な気持ちになる

          「わかってるよ。わかってるよ。」 「おとまりのれんしゅう。」 「わかってるよ。わかってるよ。」 ほかろんは、わかっているのです。 自分がショートステイに行く理由を。 それは、お母さんがゆっくり休めるようにという理由。 「そろそろお泊りの練習をしようね。」と、知的障害対応のショートステイの申請やら、手続きやら、面談やら、診察などを始めた2月から、ほかろんはわかっていたのです。 母親が年老いてきたことを。 もしかして病気になるかもしれないことを。 自分より先に死ぬのだろうとい

          ほかろん複雑な気持ちになる

          せっかく離婚できたのに!介護!!

          私が介護保険の認定調査員をしていたころのこと。 いつものように、申請してきた方に電話し、調査のアポを取りました。 その方は、声が震えていて、つらそうで、(まあ、認定を申請してくるご家族はみんなそうとも言えますが)、切羽詰まっていた感じがしていましたので、要注意案件かなと思い、慎重に訪問しました。 昭和のころに建てられたのだろう、木造の一軒家。 垣根は竹垣で、バラの蔓が巻き付いています。 大島弓子の「つるばらつるばら」を思い浮かべながら、玄関に足を運ぶと、縁側に、初老の男性が

          せっかく離婚できたのに!介護!!

          いろいろ介護、愛人(?)介護

          10年以上も前のお話です。 住宅地の西向きアパートの2階に、60代後半の女性が住んでいました。 西向きのアパートは、夏の午後になると、西日がガンガン射して、本当に暑くなります。 6畳間の畳が、西日焼けして茶色でした。 女性の名はエーコさん。 一人暮らし。認知症が結構進んでいますが、一人暮らし。 それでも、エーコさんは、何とか、暮らしていました。 認知症が進んで、一人暮らしなのに。 それには、ある男性の存在がありました。 エーコさんよりだいぶ若い男性が、毎日エーコさんのアパー

          いろいろ介護、愛人(?)介護

          心の奥の方に隠れている温かい気持ち

          なんとなくなあんだけど。 はっきりはしないんだけど。 ふっとした調子に浮かんでくる気持ちが、なんだか温かくて、ほんわりとした空気に包まれたような気持になることがある。 お気に入りの味のシリアルに牛乳をかけて食べたときに、ボールの底に残った最後の一口が、ああもっと食べたいな。 もったいないな。この味が無くなるのは。 みたいな、ささやかな幸せ気分。 長女のほかろんが、知的障害の生活介護に行って、ほっとしたときとか。 やたらめんどくさくて片付かない、めどの立たない問題に取り組ん

          心の奥の方に隠れている温かい気持ち

          むずかしいのは心の筋トレ

          降り続いた雨は、4年もたたずにやんだことだし。 長女ほかろんも、元気に生活介護の通所に行ったことだし。 冷房の効いた部屋で、スタジオドラゴンの最新ドラマを見たりして、私は何と幸せ者か。 スタジオドラゴンもいいけれど、本も読みます。 葉真中顕さんの最新作「鼓動」は、ぎりぎりのところまで食い込んだ 8050問題がテーマです。 私は高齢者介護の仕事をしていたころ、人口ピラミッドの図を見て、介護保険制度の仕組みを理解したうえで、介護保険制度は数年で破綻すると予測しました。 数学の

          むずかしいのは心の筋トレ

          うちでは朝から妖怪がでます

          1994年というから、もう30年も前のこと、あの分厚いドカベンみたいなサイズの「姑獲鳥の夏」が出版されました。 作者は京極夏彦。私は物語の主人公にあやかって、京極堂と呼んでいます。 あんまりおもしろくて、一気読みして次々と出る新刊をすごい勢いで読んで、その結果、私は妖怪通になりました。 京極堂シリーズの本に掲載された作者の写真を見て、 「これは、GLAYのTERUさんではないか。違ったとしても、同じ北海道出身だから親せきなのではないか。」と思うほど、若かりし頃の京極堂は、若

          うちでは朝から妖怪がでます

          きのうはごめんなさい

          忙しく過ぎた8月。 なんといっても、一番大変だったのは、ほかろんでしょう。 知的障害のあるほかろんは、この、危険な猛暑の中、勇敢に徒歩・電車・バスを乗り継ぎ、毎日、生活介護の通所に通いました。 (ほかろんの意思で送迎サービスは利用していない) 公園清掃、競技場の外周清掃、アマゾン倉庫でのパン販売、などなどハードな仕事をこなしながら、ガーデンセラピーや、造形、音楽、ダンス、プログラミングなどの活動を楽しみ、調理の活動にも、しっかり参加。 さらに、水泳カウンセリングのお泊り合宿

          きのうはごめんなさい

          遠いは近い、心のディスタンス

          知的障害のある長女ほかろん、初ショートステイから、クールに颯爽と帰ってまいりました。 緊張でカチカチだった、ショートステイ前日の表情とは、まったく違う自信に満ちた顔です。 とても元気で、母も、ほっとしました。 今回のショートステイが楽しい体験となって、今後につながっていけたらいいなと思います。 これから月に一回くらいの頻度で、利用を続けていけたら、もしもの時に、緊急でのショートステイ連泊ができるようになるかもしれません。 そうしたら、私が怪我や病気をしたとしても、何とかなり

          遠いは近い、心のディスタンス

          おとまりのれんしゅうにいくの

          今年の2月あたりから始めた、知的障害のある長女ほかろんのショートステイ申請。 たくさんの手続きと、書類と面接などを重ねて、やっと、半年目にして、初の一泊ショートステイの運びとなりました。 ショートステイの数日前には、私の姉に 「おばちゃん、わたし、おとまりのれんしゅうにいくの。」と張り切って伝えていました。 正直いって、ショートステイに行くことをここまで、肯定的に受け入れてくれるとは思っていなかったので、びっくりしました。 何しろ、グループホームに入所してすぐ、「階段が不安

          おとまりのれんしゅうにいくの