紗綾

世に溢れんばかりに出まわっている処世術や俗説に、「また同じ話だ」「ぶっちゃけこれじゃない」と感じている人へ。 行き止まり感を払拭できるような、そんな文章を目標に書いています。 読みやすいよう仕上げていますが、短い文章が好きな人にオススメできる長さではないです。 更新は週1回です。

紗綾

世に溢れんばかりに出まわっている処世術や俗説に、「また同じ話だ」「ぶっちゃけこれじゃない」と感じている人へ。 行き止まり感を払拭できるような、そんな文章を目標に書いています。 読みやすいよう仕上げていますが、短い文章が好きな人にオススメできる長さではないです。 更新は週1回です。

最近の記事

Great Start and Great Goal

最も基本的であると同時に最も理解されていない生物学上の問題は、生命の起源についてだ。 大きくわけて Abiogenesis 無生物起源​​説 35億年以上前の地球上で、生命が無生物(単純な有機化合物など)から自然に発生したという説。 Biogenesis 生物発生説 生命は他の生命の繁殖から発生したという説。 約2000年前。人々は、さまざまなものが自然発生すると思っていた。理由は、ざっくりと言って、目に見えるものをストレートに信じていたからだ。 こんな感じ。 春

    • 【お知らせ】BlueSkyにアカウントをつくりました。

      BlueSkyにアカウントをつくりました。 Xと使用感が似ていてわかりやすくていいです。言うてまだよくわかってないですが。 @saaya00.bsky.social Noteフォロワーさんで使用している方がいらしたら、フォローしてください。 通常どおりのNote投稿は、明後日の月曜日です。

      • 考える葦

        子どもが学業でよい成績をとった時などに、生まれもった才覚があるという方向性でほめる親は、少なくないと思う。賢い子だと言うぐらいでも、それに当てはまるのだから。 以下は、日本以外で行われた研究なのだが。 対象は小学校高学年の子どもたち。 a)ひんぱんに才能をほめられてきた子たち b)ひんぱんに努力をほめられてきた子たち  まだ習っていない問題を与えると、彼ら彼女らは顕著な違いを見せた。 a は、問題を解けなかったことに悲観的な感情を示し。b は、解き方を知りたいといっ

        • 会議室と現場、科学と魔術。愛しあえば強くなる理由。

          今回は「オーパーツ」の話からはじめる。 Out of Place Artifacts で OOPARTS 「場違いな工芸品」。米国の学者の造語だ。 それが発見された場所や時代とは全くそぐわない、出土品や加工品のことである。 これ以上の画像は出さないで〜という人がいそうな、トラウマ・シーンでも有名な作品。 私がエロやグロを貼り出すことはない。恐いものにも必ず注意書きをしている。笑い話はぞんぶんに入れていく。 デリーの錆びない鉄柱。 415年につくられて、今までさびて

          ハロウィーンで社会学

          ハロウィーンの起源は、“古代ケルト人” の祭りにある。 古代ローマの言葉で「未知の人」。あるあるパターンの、わかりやすく他称だ。こんな呼び方には意味がない。この辺りの土地に少しずつ違う人々がいてーーと、考える方がいい。 約2000年前。現在のアイルランド・イングランド・北フランスあたりに住んでいた人々が、11月1日に、新年(夏の終わりと冬の始まりを告げる日だとして)を祝っていた。 農業と狩りが生活の中心なら、そういう分け方にもなるよなと思う。 新年の前夜には、生者界と

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          ヒエロニムス・ボスが教えてくれる、世界との向き合い方。

          ヒエロニムス・ボス『快楽の園』の世界観をもとにつくられたゲームがある、と知ったことをきっかけに。彼に関して書いた過去回に情報量を足して、書き直すことにした。 主にゴヤについて書いた回に、ボスの話も入れてしまっていた。これは別々に書いた方がよかったなと、機会をうかがっていた。 「中世後期の武器や魔法のアーティファクトを駆使して、闇と光の世界を勇敢に駆け抜けよう。『ヒエロニムス』はあなたを深淵へと誘うだろうが、そこにはあなたを導く光もある」 「『ヒエロニムス』というゲームは

          ヒエロニムス・ボスが教えてくれる、世界との向き合い方。

          未解決芸術は終わらせないといけないから

          タイトルはこれのオマージュだが。この意気込みで書いていく。 露伴を気どって。Heaven’s Door! 「キャラクター・ヘッド」と呼ばれる胸像シリーズ。18世紀に活躍したドイツ人彫刻家、フランツ・クサーヴァー・メッサーシュミットが制作した。全69体。 しかめっ面をした男性。目を細め・眉をひそめ・鼻をすぼめている。日本人からしたら、梅干し食べたの?と茶化したくなるような表情だが。笑っていいようなものではないのだ。 メッサーシュミットは、おそらく、統合失調症でありクロー

          未解決芸術は終わらせないといけないから

          陰謀論ではない世界の終焉の話が読みたい人向け

          今回は、文明社会の崩壊について書く。 言わずもがな。どんなに偉大に見える文明社会でも、人類史上、終焉をむかえたことがある。 正直言って、我々の世界はますます醜くなっている。限られた資源をうばいあい、「身内」以外の人々を拒絶し、戦争の継続を許している。人類は、持続不可能な道をつき進んでいる。 私たちは、後戻りできない地点にどれほど近づいているのだろうか。 科学者らは、地球規模や地域ごとの崩壊の可能性と、そのメカニズムを理解しようしている。もちろん、それを食い止めたいとい

          陰謀論ではない世界の終焉の話が読みたい人向け

          生に歓喜し死を悼む動物たち。そして私たち。

          悲しみとは、そのイメージに反して、私たちと他者を強く結びつける感情だ。 愛する者を失って悲しむというのは、人間だけの特徴ではない。動物たちは「泣いている」。私たちとは、表出の仕方が異なるだけで。 今回は環世界の話かな?そうだとも言えるし、そうではないとも言える。 前回はハイエナの話をした。 この後に貼る動画の中のハイエナが、今、自然界でどれほど重要な仕事をしている最中なのか。前回の内容を読んでくれた人には、よくわかってもらえると思う。 パワーで圧倒できるはずのゾウが

          生に歓喜し死を悼む動物たち。そして私たち。

          野生動物めくるめく性

          「ハイエナ地位向上委員会」ハイエナに対する偏見を払拭したい!そんな想いから、今私によって設立された。(急ごしらえ) 『ライオン・キング』製作スタッフは、ちゃんと、野生のハイエナをスケッチしに行ったらしい。で、できあがったのがアレ。目が節穴なんだろうか。 冗談。『ライオン・キング』はいい作品だ。仕方がない、ディズニーのおかした罪は私が償おう。笑 まじめな話、おそらく、こういうのをスケッチしたのだと思う。 ディズニーが参考にしたのは、このブチハイエナという種だ。 この罪

          野生動物めくるめく性

          第3の目をもつ巨人になれ

          ルドンの作品『キュクロプス』。 丸い目という意味の古代ギリシャ語「キュクロープス」は、ギリシャ神話に登場する単眼の巨人を表している。(英語だと Cyclops サイクロプス) キュクロプスは、彼の属する種の呼び名であり。彼自身には、ポリュペモスという名前がある。古代ローマの詩や古代ギリシャの叙事詩に登場する、キャラクターなのだ。 ルドンの絵は、古代ローマの詩の方にもとづいている。 ポリュペモスは、ガラテイアという精霊に恋をしていた。片思いだった。 ある日、ガラテイア

          第3の目をもつ巨人になれ

          男性アイドルの元祖フランツ・リスト

          今回はフランツ・リストの話。 彼の曲を貼ってから書きはじめる。『The Consolations No.3』。 『リストマニア』という映画があるらしい。 大丈夫そ?と思われるようなビジュアル・イメージなのだが。これで “いい” のだ。若き日のリストは、約9年の演奏ツアーで、前代未聞のセックス・アピールを誇った。 1811年、ハンガリー生まれ。ヨーロッパ各地で活躍したピアニスト 兼 作曲家。 当時、ヨーロッパ中が彼に熱狂した。彼を「世界初のロック・スター」と呼ぶ人もい

          男性アイドルの元祖フランツ・リスト

          25人を処刑台におくった少女らの虚偽告発

          古英語の「wicca」現代英語の「witch」 イングランドのオカルティストのジェラルド・ガードナーは、ある老婦人の導きで、特殊な宗教的儀式に参加するようになった。そして、1954年に『今日の魔術』という本を出した。 彼の主張によると。ウィッカは、欧州先史時代の多神教の生き残りであると。ウィッカは女神を特に崇拝する。 ウィッカのコミュニティーでは、男性もウィッチと呼ばれる。ウィッチ = 魔女というのは正しくないのだ。 だが。やはり、ウィッチは魔女で正しいのだ。 どう

          25人を処刑台におくった少女らの虚偽告発

          I love you さえ批判される世界で生きていくということ。

          先日の民主党全国大会で。 民主党/共和党全国大会:4年に1度、米国の民主党/共和党が、副大統領の指名候補を選出などする時に開く大会 ミネソタ州知事ティモシー・ウォルズ氏が、正式に副大統領候補の指名を受けた。(日本では、Timothy James Walz は「ティム・ウォルツ」と認識されているのが多いようなので、私もウォルツ氏と書くことにする) 米国で今話題になっているのは、本人のスピーチ内容などよりも彼の息子なのだ。 私のNoteでは普段、今今のニュースをとりあげな

          I love you さえ批判される世界で生きていくということ。

          私の死に方など忘れて生き方を覚えていて。(古代の才色兼備ヒュパティアの人生)

          2009年の映画『アゴラ』(邦題『アレクサンドリア』)。 この作品を観たことがある人もない人も、同様に大切なことが学べるような、そんな文章をめざして。今回は書いてみる。 アレクサンドリアは、カイロに次ぐエジプトの都市だ。 アレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)が遠征行の途中、オリエントの各地に建設していたギリシア風都市の、第1号だった。 古代アレクサンドリアには、各地から、学者や作家が集結していた。あらゆる分野の書物が集められた大きな図書館もあった。地中海貿易の中

          私の死に方など忘れて生き方を覚えていて。(古代の才色兼備ヒュパティアの人生)

          持つべきものは好敵手

          今回は、最強の探検家かつ収集家、アルフレッド・ウォレスについて。 以下、過去回より。 この回はダーウィンとマルクスを軸にして書いたため、構成的にどうしても、ウォレスをこの程度しか紹介できなかったのだが。 彼の研究のみならず人生も、大変素晴らしいものだった。知らない人は、ぜひ、ウォレスのことを知ってほしい。 飽きずに読み続けられるよう、工夫して書いてみる。 ウェールズのウスクの、中流家庭に生まれた。兄弟姉妹は9人(本人含む)もいた。 家計は苦しく、ウォレスは13才で

          持つべきものは好敵手