日本怪談集 (幽霊篇下)
日本の怪談を集めた本です。主に、幽霊の登場する話です。中には、幽霊というより、「妖怪」と呼ぶほうがふさわしいものの話もあります。
この本は、上下巻のうちの下巻です。上巻と合わせて読んだほうが、怖さも、面白さも、倍増します。
上下巻ともども、日本の幽霊や妖怪に興味がある人には、必読の書です。
妖怪がお好きなら、同じ著者の『日本怪談集 妖怪篇(上・下)』も、ぜひ、お読み下さい。
上巻と比べると、下巻のほうが、定番化した幽霊話が多いですね。「船幽霊」や、「タクシーに乗る幽霊」などです。
この本に載るのは、ごく一部を除いて、すべて「実話」です。
少なくとも、ある時代の日本人には、「実話だ」と信じられた話です。
ごく一部の例外とは、落語に取り入れられた幽霊話です。「実話」集の中に、なぜか、落語の幽霊噺【ゆうれいばなし】が、いくつか挟まれています。
これは、おそらく、著者の今野圓輔【こんの えんすけ】氏が、落語に親しんでいたからでしょう。「日本人が、幽霊とどのように接してきたのか」の見本の一つとして、落語を取り上げたのだと思います。
以下に、この本の目次を書いておきますね。
第七章 死霊の働きかけ
〔解説〕 恨めしくない四谷怪談 戦場故郷往来
一 防空頭巾の集団幽霊
二 子供にだけ見える
三 背中に殺した女
四 うらやましかった日本髪
五 まま母二題
六 落語「もう半分」
七 「おっかさん握り飯を」
八 白い服の日本兵
九 魂の帰還兵
一〇 首なし日本兵
一一 骸骨の幽霊
一二 元特攻隊基地
一三 死体安置室のあと
一四 兵隊姿の大入道
第八章 船幽霊その他
〔解説〕 恐ろしい水難者の霊
一 洋上に三本の松の木
二 海坊主のあくび
三 墓地に帰る海の霊
四 乗り込んでくる死人
五 鳴門競艇場の白昼夢
六 次第に目鼻が出る
七 船中の人語を忌む
八 幽霊軍艦”志自岐丸”
九 全国船幽霊資料
一〇 人に憑くホボラ
一一 海難者のタマシ
第九章 タクシーに乗る幽霊
〔解説〕 駕籠から人力車へ 幻の無人自動車 幽霊と交通機関
一 タクシーと幽霊プロローグ
二 カー・ラジオの効用
三 座席だけがぐっしょり
四 終電車の老婆
五 小田急に三姉妹
六 碓氷峠の幽霊娘
七 月明下の闇
八 独りで動く供養石
九 もうひとりのスチュワーデス
第十章 親しき幽霊
〔解説〕 あの世の夫婦 牡丹灯籠
一 会計簿の整理に
二 フローレンスの亡霊
三 先妻の頼み
四 落語「毛の伸びるのを待って」
五 恋慕無情
六 夫は恨まぬが
七 あの世では初恋の人と
八 落語「反魂香」
九 露天風呂のアベック
一〇 墓地の清掃「ありがとう」
一一 そば代払った菊之介
一二 有楽町で消えた従弟
一三 幽霊との対決まる一年
一四 狂い死にした妾の幽霊
一五 「殺されたのにまだ出るか」
一六 「枕返しの幽霊画」
一七 影の薄かったロンドン婦人
幽霊外伝
幽霊は実在するか
幽霊と無縁仏
子育て幽霊の背景
産婦の亡霊
若葉の幻
解説 木原浩勝
【付録】日本怪談集妖怪篇(上)(下)索引
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