あっという間に読み終わる、イラク戦争の真実「イエロー・バード」
<文学(184歩目)>
小説ですが、とても映像的な作品です。
イエロー・バード
ケヴィン パワーズ (著), Kevin Powers (原名), 佐々田 雅子 (翻訳)
早川書房
「184歩目」は、ケヴィン パワーズさんの衝撃的な戦争小説。
でも衝撃的なシーンはなく、衝撃的に心を突く作品です。
戦場で死なないで生きて帰ること、面倒をみることになった後輩を生きて同じく故郷に連れ帰ること。これのみになると、関心は小隊長(司令官)の中尉と鬼軍曹と自分と後輩のみになる。
体験する現実が、今までの人生で学んできたことを「上書き」していく。
体験する現実は、想定を大きく超えていた。
す
ると、「自分はそのうち、戦争をとんでもないジョークとみるようになった。というのは、それがあまりにも残酷だったからだ」となるようだ。
戦争は関係者の未来を奪っていく。途中で亡くなった兵士のシーンで、私も心が折れた。そして、理想なんかじゃない。国がやっている貧困ビジネスだとの若い兵士の理解が心を突く。
ヒーローも、大きな戦いのシーンはないが、これが普段の戦場。
そして、ここでも人が死に、心がすりつぶされていく。
とても、「光線」が見えるような映像的な作品で、パワーズさんの他の作品も読みたい。
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