見出し画像

映画感想『アムステルダム』

原題「AMSTERDAM」

◆あらすじ◆
かつて戦場で出会い、アムステルダムで友情を育んだバート、ハロルド、ヴァレリーの3人。10数年後のニューヨーク、彼らはある殺人の濡れ衣を着せられ追われる身に。無実を晴らそうと真相を探っていくうちに、自分たちが国家を揺るがす巨大な陰謀の中心にいることを悟ってしまうのだったが…。



1930年代の驚きの実話!主人公3人が思いもよらぬ巨大な政治的陰謀に巻き込まれる…ッつーどこまで実話?みたいな話なんだけど、戦争、差別、偏見、拝金主義、精神支配… 90年以上前の事件がなんだか現在に通じる感あってそれだけでもう実話認定出来る。
この全てにアンチテーゼぶちかましてるんだね。


とにかく『アメリカン・ハッスル』観た人なら解ると思うけど大大大真面目な内容でコメディって来るからね、デヴィッド・0・ラッセル監督!
でも『アメリカン・ハッスル』より割と賛否別れそうな感じする。

なんか結構やってくれちゃってるもの。

まぁまず今回、初っ端の目玉はテイラー・スウィフトのとんでもない扱いっしょww
いやいやいやいや・・・あれで掴みはOKって?
オッケ~でしょ~~~~!!(笑)
目が覚めるような呆気無さに清々しささえ感じたww

で、結果134分と言う長尺はそれ程感じないんだけれども100分ほどに及ぶ経緯が結構アップテンポな会話劇となっとりますから(字幕と言うハードル含め)これがクリア出来ればラスト30分のデ・ニーロの存在感を再認識させる舞台劇風演出か~ら~の伏線回収や疑問解明で「あぁ楽しめた!」ってなるから、とにかく"くめくるめく登場人物達の個性に舌鼓打ちながら観とけよ"っつー監督の思惑に嵌っとけって感じ。

ただ、そこに乗れないとちょっとダラつくイメージになっちゃうのかもしれない。

私なんかは手術の開腹シーンとか結構笑っちゃったけどね。嘘臭くてwwww
そういうのちょこちょこ入れてくんのよラッセル監督。
医者役のゾーイ・ザルダナが骨を折られてちゃんと骨が真っ直ぐになって無いとか言ってバートがガコッて真っ直ぐに嵌めてこれでダイジョウブとか・・・そんな簡単?みたいなね。
で、そこから愛が芽生える・・・・ロマ~ンチックだぜぇ~♪(ザ・スターリンの譜でどうぞ)  

クリスチャン・ベイルが過去作の役柄を上回る様な難しいコミカル感ある帰還兵医師バートを熱演。戦場でコルセット無しでは生活出来ない程の傷を負い、尚且つ義眼でたまにポロリなちょっぴりグロなインチキ悲壮感がある男。でもほんの一瞬凄く綺麗な横顔を披露してくれてるのが個人的には素敵だった。こういうとこ抜かりないなって思ったりする。クリスのちょっとハンサム観てみたいなファン心理くすぐるよねぇww (アタシはどっちでもイイけどね)

その相棒ハロルドをジョン・デヴィッド・ワシントンが演じてるけど『ブラック・クランズマン』ではズッコケ刑事、『TENET』ではパキパキのエージェントだった彼がまた全然違うテイストで挑んで来てる。クリスのコミカルさに比べて"何となく弐の線"なんだけどこれが嵌っててGOOD!でもみーんな拳一発で倒しちゃうくらい腕っぷしは強いっつー体格を活かした特徴を取り入れてるのは好みだわん。

で、そのハロルドと恋に落ちるのがマーゴット・ロビー演じるヴァレリー。これがまぁ美しいったらなくて今作で一番このみだったのよね~~❤衣装含めて素敵だった事は間違いない。兄と兄嫁にちょっと悪さされちゃってる病み女子。だからラスト、ハロルドと幸せになってくれたらいいなって真剣に思っちゃった。

ただ、この二人の馴れ初めがイマイチ深く無いと言うかスルスルスル〜っとそうなっちゃった感が(個人的に)否めないのよねー。
でも、今作の後デイミアン・チャゼルの『バビロン』が控えてるけど彼女だけの為に観に行ってもいいかもってくらいは思わされた。

この個性炸裂な3人が織りなす「権力に屈しないぞー!」な群像劇の内容がほとんど実話って・・・実に奇想天外なんだけど・・・エマニュエル・ルベツキが撮影ってなったらドアップ多用のちょっと風変わりなカメラワークでその【奇想天外】をダイナミックさよりもちょっとアート的に映し出してる所が好み別れそうなんだよね。

エンドロールに登場するアート感満載なフォトグラフが本編から繋がる演出でこの作品を完璧に表現しててめちゃくちゃイイ!って思った。

人類は他者を認め合って思い合ってこそ共存出来るんだぞって事だよね。

そして同エンドロールで流されるデ・ニーロ演じるギル・ディレンバック将軍の演説とそのモデルとされるスメドリー・バトラー少将の"War is a Racket"(戦争は不正な金儲けだ)との比較映像が完コピされてて最後まで引き込まれた。


それにしても登場する俳優陣がマジめくるめいてて(笑)マイク・マイヤーズとマイケル・シャノン演じる英米エージェントの同盟関係とか…

ヴァレリーの兄と兄嫁がラミ・マレックとアニャ・テイラー=ジョイで怪しさ満点夫婦とか…

勿論デ・ニーロの健在ぶりもホント楽しめる。

ゾーイ・ザルダナのクール・ビューティぶりも良かったなぁ。

てか、いつまでも軽いノリで若いイメージあったクリス・ロックがもう57歳だなんて!そりゃそうだよ同年代だもん。
ジョン・デヴィッド・ワシントンと並ぶと肌感が……でも熟年味だから!そうだから!  


結局タイトルの『アムステルダム』って彼等が極個人的な抑圧やら差別やら偏見から逃れ民主主義的自由を感じ謳歌出来た出会いの街=自分が自分で居られる場所。
ラストでバートに向けてこの地名を合言葉の様に囁くハロルドとヴァレリーの表情が「いつでも一緒だ」と言ってる様だった。  



個人的には中盤ちょっと「ムムッ」ってなった感もあるんだけど、でもラストまで観て結果面白かったんだよね。

スンゴイ盛り上がりがあるか?って言われるとそうでもないんだけどその辺がラッセル監督のちょっとひねくれた所で人間の信用度をどこで測るか?的なテーマも投げかけられてる気がする。

だから全員味方みたいだけど全員怪しく感じさせる要素を入れてる感覚ある。

表情を読み取れ!なドアップ多用だったのかな?とか思ったりしてね。

そう言うの好き~~~~(๑˙❥˙๑)

だから面白かったと言う事っす。

はい、いい加減アタシもひねくれてるんで!! ( ・`ω・´)キリッ



2022/11/04