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#小説

言葉をうつす言葉、文字をうつす文字(「鏡」を読む・02)

言葉をうつす言葉、文字をうつす文字(「鏡」を読む・02)


◆言葉をうつす言葉、文字をうつす文字*文字がうつすものは文字

 上は、「「鏡」を読む」という連載の第一回に書いた文章ですが、今回はそれを変奏してみます。

 言葉は言葉をうつす
 言葉は世界をうつさない
 言葉は世界ではない、世界は言葉ではない
 言葉と世界は別物

 文字は文字をうつす
 文字は世界をうつさない
 文字は世界ではない、世界は文字ではない
 文字と世界は別物

 鏡は鏡をうつす

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『雪国』終章の「のびる」時間

『雪国』終章の「のびる」時間

『雪国』の終章では二つの時間が流れています。「縮む時間」と「のびる時間」です。「縮む時間」については「伸び縮みする小説」と「織物のような文章」で詳しく書きましたので、今回は「のびる時間」に的を絞って書いてみます。

 ここからはネタバレになりますので、ご注意ください。

     *

「のびる時間」というのは、火事になった繭倉の二階から葉子が落下する瞬間が、くり返し描かれるという意味です。

 

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小説の執筆をライブで観る

小説の執筆をライブで観る

 今回は、以前に投稿した記事を加筆および再編集してお届けしております。長い記事なので、下の目次をご覧になり、興味のあるところからお読みください。盛りだくさんな内容になっています。

*小説の執筆をライブで観る
 小説はどのようにして書かれるのでしょう? ただし、書店や図書館に置かれている小説に話を限定します。

 作家さんが原稿用紙に向って、またはパソコンの画面に向って手と指を動かして書いているに

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始まりと途中と終わりがないものに惹かれる

始まりと途中と終わりがないものに惹かれる

*「複製としての楽曲(複製について・01)」
*「絵画の鑑賞(複製について・02)」
*「複製でしかない小説(複製について・03)」

「複製について」という連載をしていて気づいたことがあります。オリジナルか複製にかかわらず、作品には始まりと途中と終わりがあるものと、ないものがあるようです。

 作品と言いましたが、ジャンルによって異なると言うべきかもしれません。

 また、作品の制作や執筆には時

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小説にあって物語にはないもの(文字について・03)

小説にあって物語にはないもの(文字について・03)

 小説にあって物語にはないものがあります。今回は、誰が見ても明らかなもの、誰の目にでも付くものを挙げてみます。

 空白と黒いページです。

 読んでいて不意に現れる白い部分、真っ黒なページですから、目に付くはずです。

 こうしたものは、物語にはありませんでした。あり得なかったというべきでしょう。

 ここで言う物語とは、もとが口頭で語られ、長い間口頭で伝えられていたものです。口承文学とも呼ばれ

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始まりと途中と終わりがあるもの

始まりと途中と終わりがあるもの

 今回は「始まりと途中と終わりがないものに惹かれる」の続きを書きます。

「「複製」という言葉のイメージ」の続編でもあります。

*始まりと途中と終わりがあって、たちまち消えてしまうもの
 作品と呼ばれるものの話です。

 始まりと途中と終わりがあるものには、たちまち消えてしまうものがたくさんあります。でも、それを記録したり、録音したり、録画すると、始まりと途中と終わりがあって、残っているものにな

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「似ている」を求めて(「客」小説を求めて・01)

「似ている」を求めて(「客」小説を求めて・01)

「客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)」の続きです。ただし、今回のこの記事は新しい連載の第一回として書きます。

 なお、「「物に立たれて」を読む」は続けます。

*前回のまとめ
 まず連載を始める切っ掛けになった前回の記事をまとめます。

*「客」小説、ゲスト・ノベル
 語り手をふくめ、主要な登場人物が「客」である小説はきわめて多いと感じます。こじつければあ

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壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)

壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)

「こわれる、くずれる(文字とイメージ・05)」の続きです。

コワレル、クズレル
 壊れる、こわれる、コワレル。崩れる、くずれる。クズレル。

 こわれる。コワレル。kowareru――「a」と「k」のせいでしょうか、どこかかん高い。

 くずれる。クズレル。kuzureru――「u」が二つで「z」があるせいでしょうか、どこか低い響きが……。

 イメージは個人的なものです。なかなか人には通じませ

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ジャンルを壊す、ジャンルを崩す(言葉とイメージ・07)

ジャンルを壊す、ジャンルを崩す(言葉とイメージ・07)

 今回は、以下の記事の続きです。

・「こわれる・くずれる(文字とイメージ・05)」
・「壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)」 

     *

 小説でも、詩でも、絵画でも、音楽でも、映画でも、芸でも、あるいはスポーツでも、何でもかまいません。そのジャンルを壊したり、崩すということがあるのではないでしょうか?

 これまでに、そうした「壊す」や「崩す」が起きてこなかったでしょうか? そうし

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あまざき葉さんの掌編が「文學界」2024年12月号に転載されました

あまざき葉さんの掌編が「文學界」2024年12月号に転載されました

 私がフォローしている、あまざき葉さんの掌編が雑誌「文學界」2024年12月号(2024/11/7発売)に転載されました。

 以下のポストの画像では、「2024年下半期同人雑誌優秀作」として「あまざき葉」という名前が見えます。

 快挙です。

 葉さん、おめでとうございます。

     *

 以下のマガジンに収められている「掌編小説 もの言う臓器」は私のいちばん好きな作品で、短いコメントを

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「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)

「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)

 ようやく涼しくなってきたので、古井由吉の小説の感想文を書きたいと思います。体調を考慮して、少しずつ作業を進めていきます。具体的には、一回の記事でのテーマを絞っていくつもりです。

 古井由吉の小説については、このアカウントを開設した初期のころには、集中的に記事を書いていました。

 古井由吉の作品の感想文を連載として投稿するのは久しぶりです。

     *

 引用するさいには、古井由吉作の『

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壊れていたり崩れている文は眺めているしかない(散文について・01)

壊れていたり崩れている文は眺めているしかない(散文について・01)

 今回は「ジャンルを壊す、ジャンルを崩す(言葉とイメージ・07)」の続きです。

「散文について」という連載を始めます。私は一般論やなんらかの分野の専門用語や学術語には疎いです。そんなわけで、ここでは私にとっての散文と小説について書きます。

*最初から壊れている
 文学史的なことは知りませんが、私にとって散文とは最初から壊れているものというイメージがあります。

 何をどんなふうに書いてもいい形

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続・小説にあって物語にはないもの(文字について・04)

続・小説にあって物語にはないもの(文字について・04)

 今回は「小説にあって物語にはないもの・03」の続きです。前回は、小説にあって物語にはない、空白とまっくろ黒なページについてお話ししました。

「小説にあって物語にはないもの」とは、たとえば音読すると伝わりにくかったり伝わらないものだとも言えます。小説は視覚芸術だと考える私にとって、小説では目で鑑賞できる部分にはできるだけ目を注いでやりたいという気持ちが強くあるのです。

 ただし、小説の朗読やオ

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人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

 今回は「立体人間と平面人間」の続きです。それぞれが別の方向をむいた言いたいこと(断片)がたくさんあり、まとまりのない文章になっています。申し訳ありません。

 お急ぎの方は最後にある「まとめ」だけをお読みください。

人間椅子から「人間椅子」へ
 江戸川乱歩の『人間椅子』の文章は朗読に適していると思います。音読してすらすらと頭に入ってくる文体で書かれているのです。特に難しい漢語が使われているわけ

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