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#小説
【短編小説】水色の平凡な日常
お昼休み、トイレから戻ると僕の席に岡田さんが座っていた。足を組み手を叩いて笑う姿はまるでここの席は私の席だといわんばかりの堂々とした態度だ。どけ。そこは僕の席だ。話すなら立って話せ。と心の中で呟いて僕はトイレへと逃げる。
今日でもう五日目だ。最初は偶然だろうと思っていたけれど、どうやら偶然ではないらしい。岡田さんは僕が何も言ってこないことを知ったうえでわざと僕の席に座っている。三日目に近づいて
読まれてください、と願いを込めて。創作大賞2024、私のイチオシ。
創作大賞2024の締めに、本気で推したい小説の感想を書きます。
最近私は、『孤人企画』としてお世話になった方へのお礼に作品紹介の記事を連続で投稿していました。しかし、普段の私は紹介記事をほとんど書きません。
だけど、森葉芦日さんに関してはどこかのタイミングで書きたいとずっと思っていました。とても差し出がましいことですが。
森さんをご存知無い方は多いと思います。御本人もそう自覚されています。
短編小説 | バースデーバルーン | 創作大賞2024
妹の頭が徐々に大きくなっていく。病気じゃない。
わかっているんだ。家族の誰もが。だけど何も言えやしない。
傷ついても、恥ずかしくても、怒っても、どうしたって、妹の頭は大きくなって、その成長を止めることは出来ない。
(一)
妹は僕の八つ下で、ぼくにとっては目に入れても痛くない存在だった。だけど、そんな例えですら口にするのも憚られるくらい、妹の頭は大きくなっていた。
その始まりはた
掌編小説 | 銀ノ月 |#君に届かない
せっかくの月夜にあなたは来てしまった。女はそう思った。
ひとり静かに湯に浸かり、ガラス窓越しに月を見ていた。それはそれは怪しい月だ。銀色の月。
そこに男の気配がある。女に近づいている。
バスルームのドアを開け、男が顔をのぞかせた。ついで男はゆっくりと歩き始める。すると女は僅かに落ち着きをなくした。しかし、実際はそれを少しも感じさせることなく、歩み寄る男を不敵な笑みで迎えたのだ。
「今夜
【小説】映るすべてのもの #13
大人から見れば高校2年生とはきっとたのしい時期に映るだろう。
中学生のような子ども扱いもされず、だけどまだ子どもでもある時期。
来年になればおいたてられて進路をきめなければいけなくなる。
その進路も中学生の高校進学という選択ではなくおおきく人生に影響する選択をいきなりせまられる。
あこがれの職業があったり、家によっては目指す道はもうきまってる子もいるだろうが大抵は「なんとなく」という子も多
小説家になる夢はアダルトビデオを観て諦めた
十年経っても忘れられない思い出がある。それは私が中学生か、高校生の頃だっただろうか。夏の夜、友人数人とアダルトビデオを見る機会があった。
経験のない私達は練習の一環としてその儀式(?)を行い、来るべき日のために知識を共有、ひいては自身に落とし込む必要があった。今考えれば正気の沙汰ではないし、勿論大人数でする必要はない。一人でやればいい。ただ、当時の私達はそう考えるには些か若く、視野が狭かった。