青豆ノノ
小牧幸助様が企画されている「シロクマ文芸部」への参加作品を纏めます。 お題によってエッセイ、ショートショートなど。
私の孤人企画に便乗なさった孤独な方々の記事を纏めます。
シロクマ文芸部『小牧幸助文学賞』応募作品、その他20字小説を纏めます。 最後の『。』を含めてぴったり20字の作品集です。
主に旅(ちょっとおでかけ)に関する記事をまとめます。
自作のショートショート・短編小説の中で、気に入っているものを纏めます。 他人の評価は関係なく、自己満足のためにここに集めていきます。
働いていた頃は、よくモスコミュールを飲んだのよ、と言う元同僚に、それなら仕事を辞めた今は何を飲むの?と訊いた。 「冷えてたり、冷えてなかったりする水道水」と彼女は答えた。名を麗子という。 麗子さんは働き者だった気がする。三つ上だけど同期で、だけどその、なんというかとっつきにくかった。 麗子さんから突然仕事を辞めると報告された時も、それなら飲みに行こうよ、という声が震えてしまった。その時の麗子さんの鋭い眼光は忘れられない。 「だけどさ、麗子さん。どのみちまた職場復帰するでし
好きなシンガーソングライターのエッセイを読んでいたら、その人が気に入っているアルゼンチンの作詞作曲家の話があった。 アタウアルパ・ユパンキというミュージシャンで、彼の古いインディオの歌が、オフィス街から見る夜景にも馴染んでいるとか、そういう話だった。 そんなことを聞けば、ぜひとも同じ状況を味わってみたくなる。 アタウアルパ・ユパンキの曲はSpotifyですぐに見つかったけれど、我が家の窓の外に立ち並ぶビルはない。 カーテンの隙間から覗いたところで、運が悪ければ向かいの居住
冴えない、ついていない日でも ファミマのコーヒーカップが 割れたコップを捨てるのに 役立つこととか 発見したりするもので。 #日記
11月に入り、読書欲が戻ってきました。 私は遅読です。漫画であれば、戦闘シーンの「ダダダダダダダダタダー」とかも真面目に読んでしまう。 それでも今月は今のところ満足な読書体験ができています。 だけど最近視力が弱ってきていて、目の疲労から一時中断することも多く、読書の合間に映画も観ました。 そんな記録です。 ①夏木志朋著 『二木先生』 読みながら嫉妬してました。このテーマで私も書いてみたかった~、という。 全身全霊でこの一冊を書かれた感、作者の気合いをビシビシと感じ
「霧の朝」を買い物かごに詰めていく。陳列されている八本すべてを買い込んでも罪悪感はない。なぜなら僕はこの店の常連だし、棚の一番下に並べられているこれは、それほど売れ筋ではないはずだから。 会計の列に並んでいる間に、かごの中のスプレー缶の絵柄を同じ向きに揃える。白とグレーの色使いがなんとも「霧の朝」らしい、美しいボディをしている。見た目はもちろん、香りがまた最高に好みなんだ。 すうううう、はあああああ。 目を閉じて、イメージしつつ呼吸する。それはたまらなく濃い霧で
じわと滲むように、その一部は湿り気を持った。かかる圧が強ければ強いほど、体の奥に潜み機をうかがっていたものは、ここぞとばかり膨張して外に出ようとする。 そんなに圧を高めたら体に悪い。魔物は平気な顔をして皮膚を突き破る。 わからないかなあ。もう、今となっては少しの傷でも治りにくいんだ。 べたべたの体で街を歩きたいかね。醜い破裂を繰り返す体が、煌めく十二月の街にふさわしいと思うかい。そういう美意識の低さ。情けない。 寝ていると思っていた。しんと静まった夜だ。野獣の
引き上げた娘の額。 こびりつく その暗緑色。 #20字小説 #色見本帳 三羽さんの企画に参加します。 「哭緑」という色を作りました。よろしくお願いします°・*:.。.☆
紙のノートを持ち歩いています。 スマホのメモでもいいのですが、読み返すと紙のノートに書いてあることの方が面白いというか、無意味だったりして、そこが気に入っています。 今日もぱらっとめくったページに台詞のようなものを見つけました。 残念ながら創作の種にはならなそうです。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ #日記 #創作メモ #枯葉 #ドライフラワー
小雨降る日曜日。 彫刻家、田島享央己さんの個展へ行ってきました。 会場の最寄り駅に着くまでに電車酔いしてしまい、とにかくどこかで休憩をと目につく喫茶店を次々回りましたが、どこも満席+待ち。都会は厳しいですね。 結局私を受け入れてくれたのはどこにでもある(失礼)チェーンのカフェでした。 なぜでしょう。Xで見かける度にリポストしてしまう。田島氏の作品に魅せられているのです。 だから個展にも足を運びます。 本物はとっても美しいのです。特に、その瞳が。
紅葉から愛してみようと思いました。 分厚いカーテンに手を伸ばし、中央でぴたりと重なるその布の隙間に手を差し込みました。一息に引く勇気はなく、おそるおそる。 漏れてくる光はわずかでした。 まだ朝と言うには早い時間だから、暗闇に慣れた私の感覚を刺激するほどには明るくなかったのです。 厚い布地をそっと浮かせて目をこらせば、さらに窓を覆う薄いレースのカーテンの向こうに、ぼんやりと世界がありました。 息を潜めて、瞬きさえもこらえて。 私はその世界を、何度でも見つめまし
朝、おにぎりを作っていると、お母さんが起きてきて言いました。 「ゆいちゃん。何してるの?」 お母さんはキッチンに入ってきて、お弁当箱をのぞき込みました。 「まだ見ちゃだめだよ」 私は慌てて近くにあった鍋のふたでお弁当をかくしました。 「ね、それってもしかして私に?」 そう言われると照れくさくて、私はお母さんに背中を向けてうなづきました。 「ゆいちゃん、だから早起きしてたんだ。やだあ、なんか涙出ちゃう」 お母さんが泣いているような声を出したので、私は「早く準備しないと
髪にお金をかけている。 「お金をかける」と言うと「一体いくらだよ」と思われるだろうけど、何はともあれ〝とりあえず髪〟という意識で過ごしていると、年齢が上がるにつれて自然と髪に使う金額は増えていくのだ。 髪にお金をかけると言っても、それは複雑な技工を凝らしたカラーやパーマを施してセレブのような髪型にすることではなくて、ただただ髪の健やかさを願ってお金をかける。七五三の祈祷みたいなものだ。 ・ 三十七歳になった頃、突然髪の質が変わった。それは驚くくらいの変化だった。
秋と本妻が膝を突合せている。二人が正座で向かい合う十畳の客間は替えたばかりの畳が青々として、独特な香りが部屋を満たしている。 私は彼女たちから二メートルほど距離を置いたところで、上等な赤ワインを注いだ頭の大きなグラスを持ち、くるり、くるりといたずらに回している。秋と妻が作り出すなんとも言えない空気をこの赤いワインにたっぷり含ませているのだ。そうしてワイングラスに鼻を寄せ、すすっと下手くそに芳醇な香りを体に取り込み、意味ありげにその色を観察した。次に、ゆっくりとその赤い液体
「秋と本田美奈子が重なる時があるんだよ」 あーまたそれ、と秋が言う。うんざりしながら寂しげに笑う。そう、その表情。 「似てるんだよなあ」 「ねえ、パパ。気持ち悪いよ」 嫌そうな声を出して、秋はそっぽを向いた。そして小さな声でつぶやくように言う。 「本田美奈子に似てたのは私じゃなくてママでしょ。私はママに似てるの。本田美奈子じゃない」 そう言いながらも、秋が私に向けた後ろ姿、それは本田美奈子そのものだった。 「生まれ変わりかもしれないな」 「誰の?」 「本田美奈子の」 「
以前、テンプレートをお借りしてこのような記事を書きました。 こういう質問を自分でも考えてみたくて、20問だけ作ってみました。 現在note内で質問に答える記事が流行っているので便乗します。(正直) 誰かに答えてもらうつもりで作って、結果、自分で答えています。 #孤人企画 Q1、あなたは、目的なく大きな書店へ立ち寄った時、まずはどのコーナーへ行きますか? 小説の新刊平積みコーナーへ行きます。その後、文庫棚をひたすら歩き回ります。 Q2、好きな本の装丁を見せてください
10月25日(金)、創作大賞2024の授賞式に出席しました。 受賞のご連絡をいただいてからの準備や当日の式の様子を記録します。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ○受賞メール。 私は創作大賞2024に「ソウアイの星」という青春推し事小説(恋愛小説部門)を応募しました。この作品は中間選考を通過しています。 通過はしたものの、その後は特に期待しておらず、「まあ、良かったね」という感じで、私個人としては今年の創作大賞にひっそりと別れを告げていました。9月末のことです。 そんな私の