掌編小説|ネオ・ジェネリック
有名なベッドメーカーらしいね、と言いながら、有紗は暗闇の中、扉を開けた。
「シモンズのこと?」
有紗が着ているサテン地のスリップは、その昔異国で出会った女性との一夜を思い出させる。
「本家では無いけど、紙モンズの評判も悪くないよ。言わばジェネリック」
「ジェネリック?」
あったあった、と言ってクローゼットの奥から有紗が引っ張り出したのは、彼女の背丈ほどもある細い筒だった。その中身は模造紙で、蛍光色に発光している。
「ライトセーバーみたいだな」
「ネオン紙。ラブホみたいで