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#ノンフィクションが好き

ノンフィクションへの愛や、好きな作品・作家を語ってください!

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函館生れの女優・高峰秀子の実家はそば屋料亭 母の死後 養母は東京に連れて行き 秀子は松竹映画の子役に出演 抜群の記憶力で台本を丸暗記しデビュー 母は秀子の稼ぎを独り占め 母との戦いに疲れパリへ逃避行 『二十四の瞳』に出演し助監督・松山善三と結婚 幸せと安らぎを手にいれた

高田屋嘉兵衛

小学生のころ 先生から物さしでゴツンと 頭をたたかれた こんなえらい先祖をもつのに何だ いたずらっ子のおまえは!  戦前の修身の教科書に 高田屋嘉兵衛が登場したのだ 名高い初代をもつのも迷惑さ と 高田屋の七代目高田嘉七さんは 笑い飛ばした 240年まえ 淡路国にうまれ 水主 やとわれ船頭から身をおこして 一代で天下の豪商となった嘉兵衛は いまでも通用する先進的といえる 経営哲学の持ち主であった 持ち船の難破は 一隻もなかったほどの安全運航 保険がないころ 船が沈め

 谷川俊太郎

谷川俊太郎の詩『ことばあそびうた』 このなかに 「いるか」の詩がある 谷川俊太郎がこの「いるか」の詩を詠い 息子のピアニスト谷川賢作がひきいる DIVAがサウンドを奏でた 25年前におこなわれた 函館のFMいるか開局7周年のイベント 詩の朗読とサウンドがひびきあった まさにFM「いるか」の開局記念に ぴったりの夜であった 2024.11        現代詩におおきな足跡をのこした       谷川俊太郎さんがこの世を去った         残念のひとこと   ご冥

カムチャッカの男

真珠湾攻撃の翌年 1942年(昭和17) ロシアの男が家族をつれ 函館をひっそりと去って 上海へ脱出した   その男は アルフレッド・デンビー スコットランド人を父に長崎の日本人女性を母に 樺太で生れ英国の大学で学んだ   樺太でいとなむ先代の漁場をひきついだデンビーは 沿海州のウラジオストクに本拠をおき 函館のデンビー商会を足場に カムチャッカでのサケマス缶詰の製造に乗りだした 資金は、日露戦争で失った南樺太の漁業権の補償を 日本から得た巨額の金であった   ときは

天守閣と自転車

 ある時、あんまり運動不足なものだから自転車に乗ることにした。それで近くの自転車屋へ行ってマウンテンバイクの安いのを買って来た。  自分は山道などを走るよりも遠乗りがしたかったので、本当はタイヤの細いロードバイクが良かったのだろうけれど、マウンテンバイクの方が安かったのと見た目が好きだったのである。  そのマウンテンバイクで犬山城へ行った。  当時自分は犬山の隣の小牧に住んでいた。小一時間で着くと思っていたが、道に迷って随分かかった。二時すぎに出発して、到着した時には日が傾

部品と心

 昔、ある車を中古で買った。年式が古く、果たして何度か故障して、その都度修理を依頼した。メーカー認定中古車で、一年間の保証が付いていたのである。  一年が経過し、もう壊れそうなところは大概直したろうと思っていたら、突然ひどくノッキングし始めた。買った店へ持って行ったら、チリチリ頭の整備士さんが、ミッションに問題がありそうだと云う。  ミッション交換にはなかなかの費用がかかるはずで、どうもうんざりした。 「ATFを交換してみましょう」 「それで直りますか?」 「恐らく何とかなる

書簡

 書簡という言葉が好きだ。響きが羊羹みたいで良い。甘そうだ。  誰かに書簡を書きたいと時々思う。万年筆で書きたい。力を入れず、ペン先を紙の上で滑らせると、流れ出たインクが最初はテラテラ光って、じきにスッと乾く。インクによっては乾く色味がフッと変わる。線に強弱があり、インクの濃淡もできて、下手な字でも何となく味わい深く見える。  社会に出たての頃はまだメールもSNSもなかったから、友人らに宛ててよく書簡を書いた。返信が来る場合もあれば、読まずに食べてしまう人もある。人それぞれ

フクロウ翁の幻影

 電車で優先席に座った。空いていたから座ったので、別に具合が悪かったわけではない。優先席は空いていることが多くて、普段からよく利用するのである。  自分が掛けたのは三人掛けの右端だった。左側二席は空いていたが、背中の曲がった婆さんが発車ぎりぎりに乗って来て、左端へゆっくり座った。  電車が出るとじきに、婆さんが咳き込み始めた。ひどい咳ではないけれど、どうも一向治まらない。  自分は段々席を移りたくなった。例の伝染病騒動以来、咳をする人の傍にはあんまりいたくない。  ただ、い

非常事態

 ある朝、出社してすぐトイレへ行きたくなった。大きい方を催したのである。自分は便秘がちなので、こういうタイミングを逃したら次はいつになるかわからない。急いでトイレへ駆け込んだ。  数分後、随分すっきりした心持ちで安堵しながらお尻を拭いたら、どういうわけかどれだけ拭いても紙に大便が付着する。  しつこいほど何度も拭いて、段々肛門がひりひりしてきた。それでも心を鬼にして拭き続け、ようやく着かなくなった頃には和式便器が紙でいっぱいになっていた。  少しく嫌な予感がして、恐る恐る流

拙書『音楽との最悪な別れ方〜元警察官による犯行のすべて』からの一文。 「自分を癒やすことができるのは、自分自身だけなのです」 過去の自分が今の自分を支え励ます、そういうこともありますね。 けれども、只々現状を受容れるしかないということもあるのだと、思い知っているところです。

太宰治と銀座

久しぶりに東京・銀座を歩きまわり うす暗い路地裏で「バー・ルパン」を見つけた このバーで 太宰治を象徴する写真が撮られた 戦後まもないころ 写真家の林忠彦が  「俺を撮れ」と言った太宰にむけて   せまく後もないのでトイレのドアをあけ   便器にまたがりただ一個残っていた   フラッシュバルブを   発光させて撮影した 戦中戦後の10年間 太宰の妻であった津島美知子は 自書『回想の太宰治』で こう語っている  「銀座のルパンで   林忠彦氏の撮影された写真で   この

「量子力学の多世界解釈」なぜあなたは無数に存在するのか(和田純夫 (著) )/聴読途中の感想文(audible)

以前、同じ著者の本を購入して読みきれなかった記憶がある。 目次を読む限りこの本も内容はほぼ同じだと思う。量子力学をコペンハーゲン解釈とし、それに相対する他世界解釈を説明している(らしい)。 今回も読み終わる自信はないので、あとで読み返せる様、自分用の見出しを記事にしておきたい。 第1章はイントロダクションなので省略。 audibleの目次を見て行くと、SF小説に引用した話もあるが、全く初めて聞く単語も多い。 その道を極める訳ではないので聞き流したり、興味があるところ

ブルゴーニュの名門がやって来た

良いワインをつくるため 函館に進出する と 熱く語った エチエンヌ・ド・モンティーユさん フランス革命前から ブルゴーニュ・ヴォルネイに 居をかまえる老舗の当主である じつは、僕は、彼のつくるワインのファン     長い年月をかさね   熟成して飲みごろになり   その芳醇で繊細な仕上がりは   優雅そのもの 彼と日本のワインとの出会いは ニセコに家族とスキー旅行にきたとき 北海道のワインを味わって その大きな可能性を感じたという それ以来 地元のブルゴーニュ大学の協

坊っちゃん

「西野君、立ってください」  いきなり先生に名前を呼ばれ バネがはじかれたごとく直立不動 「漢詩の出だしを読んでごらん」    ハイ! と元気に返事するも  あとが続かない  頭に血がのぼって   たった今  教わった読み方が吹っとんだのだ 函館中部高校(函中)に入学早々 漢文の授業で立ち往生したありさまは 60年あまり経った今でも生々しく覚えている おやじにさっそく この一件を話すと そくざに 「俺もおそわった板垣先生で あだ名はジャクだよ」 と 漢文を読むとき 返

駄菓子屋店主の意外な正体──横浜市鶴見区・らいおん商店〈前編〉|駄菓子屋今昔ものがたり

なぜこんなところに駄菓子屋が?横浜と聞くと、港、異国といった言葉を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。 みなとみらい、大さん橋、山下公園、氷川丸、マリンタワー、港の見える丘公園、そして外国人墓地……。 氷川丸が係留されている山下公園の背後には中華街が広がっていて、横浜の異国情緒に厚みを加えている。異国は欧米だけではないのだ。中華街のさらに奥地(南西)には横浜橋通商店街があって、ここは韓国料理の店やキムチを売る店が櫛比している。 一方、麦田のトンネル(山手隧道)を抜け

森の駄菓子屋の奇跡──横浜市鶴見区・らいおん商店〈後編〉|駄菓子屋今昔ものがたり

>>>前編はこちら 突然のコロナの流行によって、テグさんの音楽活動もクラブの営業も、一切合切が停止してしまった。 いや、停止したのではない、停止させられたのだ。感染を予防するのは大切なことには違いなかったが、テグさんには、あの、生活のすべてをコントロールされてしまったような状況が耐えられなかった。 「俺には、人間の心とか文化を次の世代につないでいきたいっていう思いがあるんですが、コロナで人間としての歩みを止められて、死生観すら変えられるところまで追い込まれて、このままじ

セクハラは食べものではありません

タマミーヌです。 宝くじ販売員兼、ジジババのアイドルでもあります。(笑) ごく少人数ですが、私のファンだと言ってくれる人がいます。(笑) そのほとんどが、オーバー75くらい。 とてもありがたいことです。 タマミーヌのシフトを聞いて、シフトに合わせて買いに来てくれるのです。 タマミーヌファンの中には、スネ夫とスネ子がいます。 自分が来たときに、並んでいる人がいたり、タマミーヌが先客と話し込んでいたりすると、少しの間は待っていても、そのうちムスッとして、帰ってしまうのです。 「

ゴタゴタする人たちを見て、我思う

1年のラスト月。師走。 12月は、街がいつもと違うように見えてくる。 クリスマスが終わると、街や世間や世の中に急かされているような気持ちになってしまう。 さぁさぁさぁ、もうすぐお正月だよ!! 年の瀬は皆、何かと忙しい。気忙しくなるとイライラする人も増えてくるような… 年末立て続けに、お客さん同士のいざこざを目の当たりにした。 《おじさんと外国人女性》 宝くじのアプリを入れている外国人女性。 ポイントを付けたいけど、ポイント画面が出せずスマホ操作に悪戦苦闘。 順番待ちをして

暗闘倉庫

 大学生の頃は、金がなくなると日雇バイトをやった。最初は川沿いの硝子工場へ行ったけれど、遠い上に給料もあんまり良くなかった。  それで他を探し、今度は隣町の衣料倉庫に行った。伝票の束を渡されて、その商品をトラックに積む仕事である。  積み終えると、次のトラックが来るまでテレビを見たりマンガを読んだりして過ごす。この時間が結構長く、八時間のうち実働は四時間もなかったように思う。  楽で給料もいいからその後も何度か行った。一度行ったら募集の度に案内葉書が来るようになったのである。

ここだけの話し

私160cm。私より小さいかな?ハンプティダンプティを連想させるようなフォルムの、コロコロっとした中東系オジサンがやって来た。 『スイマセ〜〜ン コレカウノ オシエテ〜〜』 甘えん坊ちゃんみたいな話し方だった。 『オシエテ〜〜〜』辿々しい日本語。語尾を伸ばす話し方をするものだから、小さな男の子と話しているような気分になる。 けれど、目の前にいるのは、小太りで、やや頭髪が薄めな外国人のオッサン。 簡単な言葉で、幼児に教えるように説明した。母親のような口調になってしまう。 『大丈

富士遠景

 先日、甲府で富士山を眺めながら、ふっとダニエルのことを思い出した。  三十年近く前、ダニエルが清水に引っ越して来たというので遊びに行ったことがある。  その当時自分は町田に住んでいた。町田から清水はちっとも近くない。どうして急にこちらから行くことになったかはもう判然しないが、ダニエルが突然電話を寄越して「百、お前、横浜だろう? 俺は今、静岡だよ。今晩遊びに来いよ」と言ってきたように思う。横浜ではない、町田だと云ったって、「どっちにしたって、東京だろ?」となってモヤモヤしそ

赤い毛

 学生寮に慣れた頃、山下さんの部屋に集まって駄弁っていたら「俺は明日、アメムラノフリマへ行く」と宮内が言った。  アメムラノフリマとは何のことだかわからない。適当に「そうか」と言っておいたら、山下さんが「百君も一緒に行ってみたら?」と何だか面倒くさそうなことを言い出した。「多分、好きだと思うよ」 「全体、アメムラノフリマとは何です?」 「心斎橋のアメリカ村でフリーマーケットをやってるんだよ」 「アメリカ村という所があるんですか」  何だか、赤青白のしましまで「アメリカ村」と書

これってどうなの?

今、どこの宝くじ売り場にも、ヘッダーに使ったパンフレットが置かれているとおもう。 大学のミスコン、後に、女優さんになる人の登竜門てきな企業のキャンペーンガールの募集がなくなったというニュースを、チラッと聞いたような。。。 最近は、平等びょーどー!な社会だからなんでしょ? 年齢や性差別、順位づけなんかはよろしくない!って、そーゆうことなのよねぇ? 難しいことはよく分からないけど。 で、宝くじ業界には、昨年まで、オーディションなんかで選ばれた4〜5人の女性《幸運の女神》というキャ

父と火野正平さん

父からの電話には出ない。父と話すのが苦手だから。だけどまちがえて 出てしまうことがある。あ、しまったと後悔する。 その日もそうだった。 しまった。父だ。 「かなこ、今テレビつけてみろ。おまえが乗っている自転車だ」 NHKの『にっぽん縦断 こころ旅』のことらしい。俳優・火野正平さんが 視聴者の手紙に書かれたエピソードをもとに、自転車でそれぞれの「こころの風景」を訪れる番組だ。 うん、うん、と適当に相槌を打ち早く電話切りたいなぁと不愛想になってしまう。 それから数年後、胃

真鶴が「なんとなく」いい町であるワケ──駄菓子屋・ウオキヨ〈前編〉|駄菓子屋今昔ものがたり

なんとなく、真鶴を訪れるのを毎年夏の恒例行事にしている。 伊豆半島の付け根からちょこんと相模湾に突き出ている真鶴半島は、総面積約7平方キロメートルの小さな半島である。小田原方面から眺めると、もこもこした緑が半島全体を覆っているのがわかる。「お林」と呼ばれるかつての御料林が、魚つきの保安林として残されているのだ。保安林にはマツやクスノキの巨木が生い茂っていて、どこか神秘的な空気が満ちている。 先端の真鶴岬にはトンボロ現象が見られる三ツ石という奇岩があり、岩の手前がちょうど鶴

楽器店、高橋の家、文具店

 パスタ屋の店長になってじきに、会社からパート・アルバイトのスタッフにも寸志を出すことになった。覚えている限り、そういうのは一度きりだったようだから、その年はよほど儲かったのだろう。  給料と一緒に振り込まれるのだけれど、前月シフトに入っていなかった者には振込が出来ないと云うので、どうしたらいいですかとマネージャーに訊いた。  するとマネージャーは「また戻って来る子だったら、店舗の小口現金から直に渡せ」と云う。  入ってなかった者は二人いて、一人は馬太郎である。馬太郎は無断欠

弁当箱

 自分の通った幼稚園では給食がなく、弁当を持参することになっていた。それで入園してからじきに、弁当箱を買いに母と近くのスーパーマーケットへ行った。 「どれがいい?」  そう言われて見ると、恐竜の描かれたのがある。その当時テレビで『恐竜探険隊ボーンフリー』という子供向けの番組をやっていて、その絵が蓋に描いてあるのである。 「これ」と、自分はボーンフリーの弁当箱を買ってもらった。  今は弁当箱というとプラスチックの物が多いけれど、この当時はアルミ製である。振ると中の仕切板がカラカ

秋深し…

カウンターに両肘をついて、ぼんやりと画面に映し出される当選結果を見ている70代くらいの女性。 数百枚の宝くじを機械にかけている店員は、待ち時間の間を埋めようと、話しかけてみる。 『たくさん買っていただいて〜ありがとうございます』 『いっぱいあるでしょ〜ごめんね〜』 『いえいえ、とんでもない!ありがとうございます』 『あのねぇ、、私、当たるから』 突如、ドクターXの大門未知子の名ゼリフ。〝私、失敗しないので!!〟ばりに言ってきた。 『えっ?あ、あ〜そうなんですか〜 へぇ〜』 そ

比べることが癖でした

周りと比べて「羨ましい」と思ってしまう自分が嫌いでした。 出来ないところばかりを探して「どうせ私は」と悲観的に考えてしまう自分が嫌いでした。 どうしてもその癖が抜けることはありませんでした。 その言葉のどれもが、過去の私が言われてきた言葉だったから。 誰かと比べられて、出来ないことを笑われた過去がありました。 同じ名前の同級生と比べられて「同じ名前なのにお前はダメだな」と言われ続けたことが、今でも心の傷として残り続けています。 外見至上主義だった学生時代は、容姿を比べられ

先週のできごと

たまに来店されるご婦人。60代くらい。 気さくな方で、二言三言、言葉を交わす。 グリーン系アイシャドウ。クレヨンで引いたような、どピンクの口紅。全体的に濃いメイク。 私は彼女の眉毛に注目していた。 お見かけするたびに、左右の眉頭が近づいてきているような…気のせいかな? (うっそぉ?どうして?) 先日いらしたとき、ご婦人の眉毛はつながっていた。 こち亀の両さんのようにM字にはなっていないけど、たしかにつながっている。 眉山らしきカーブはあるけど、左右の眉がつながって、一本眉に

かまってちゃんはこまったちゃん

宝くじ売り場で働いています。 大抵は1人きりで働くのですが、いきなり1人で働くわけではなく、ベテラン先輩との研修を経て、1人で働くようになります。 研修中、先輩が 『あ〜ぁ、あの人あんなになっちゃって』と呟いたので目を向けてみると、枯れ枝のように細いおじいちゃんが、杖をつきながら、小さな歩みで、ゆっくりゆっくり歩いていました。 先輩の話は続いて、 『宝くじを買いに来るお客さんて、お年寄り率が高いのよね〜、よくあるんだけど、毎日のように来てた人が、突然パッタリ来なくなるわけよ

笑えないやつじゃーん!

お年の頃は70代、いや、80代…わからない。痩せ型で、白髪のおじいちゃんがニッコニコしながらやって来た。 胸ポケットとズボンのポケットから、紙の束を出してトレーに置く。 半分に折り畳まれたその紙束は、宝くじの袋だったので、当たり外れの確認をしに来たんだなと察した。 トレーに置かれた半分折りの束を手に取ると…あれっ?ん? それは中身の入っていない袋だけの束だった。 ズコッ! 『これ、袋だけですねぇ、クジが入ってませんよ〜』と言うと、おじちゃんは目をまん丸にして 『えっ?入っ

晴山陽一『ベストセラーを書く技術』〜全てのnoterの皆さんへ

こんばんは。高月香里です。 本日は著書の紹介です。 本書は2018年初版ですが、私は今日初めて拝読しました。晴山先生すみません。こんなサインまでいただいていたのに、本当に申し訳ないです。まさか6年も寝かせたままだったとは…。 晴山先生は、これまで200冊もの本を出版されていらっしゃいます。なんと、1ヶ月1冊のペースです。 なぜそんなことができるのか、惜しみなくお伝えしてくださってます。小難しいことは書かれてません。ワーキングシートをこなしながら楽しく読み進めていけます

年末年始に読書はいかが? ~小説&漫画10選~【布】

明日の叙景、ボーカルの布です。 先月、大阪公演の打ち上げでOLPHEUS、ボーカルの弾さんに「本、読みます?」という質問をされ、そのミニマルな言い回しが面白かったので今回は好きな小説と漫画を10作ずつ選んでみました。 こたつでぬくぬくしているとき、あるいは帰省中の移動時間などなど、年末年始は本を読むのにうってつけ。 気になる作品があったら是非読んでみてください。 好きな小説&漫画10選【小説】 一万一千本の鞭(ギヨーム・アポリネール著、須賀慣翻訳)※エログロ注意 毀れた

ワイルドの中は学びがいっぱい

NHKの『ワイルドライフ』で南アフリカ南部を生き抜くチーターの親子のドキュメンタリーを観ました。3頭の子育てに挑む最高齢の母親チーターの命を賭けた姿に胸を打たれました。愛情深く子育てし、彼らが自立するとそっとその場を立ち去ります。再び老齢の彼女をカメラが捉えたとき、彼女の側には赤ちゃんチーターがいました。また彼女の子育てがはじまったのです。野生の逞しさ、生きることをまざまざと映し出す撮影スタッフの粘り強さを感じました。 いったいどうやって撮っているんだろう。それをつくってい

真鶴を背負う人──駄菓子屋・ウオキヨ〈後編〉|駄菓子屋今昔ものがたり

>>> 前編から読む 2022年12月24日、真鶴に「ウオキヨ」という一風変わった名前の駄菓子屋がオープンした。 所在地は、かつて”真鶴銀座”と呼ばれた通り(西宿中通り商店街)の一角なのだが、現在の真鶴銀座はいわゆるシャッター街と化しており、営業している店舗はわずかしかない。  ウオキヨは、10年前まで「魚㐂代」という名前の鮮魚店だった。10年間仕舞屋になっていたのを、近所に開店した「伊藤商店」というラーメン屋の店主が駄菓子屋としてリニューアルして、2022年の末、開業

無罪を確信しながら死刑判決文を書いたのはなぜか?

熊本典道は、袴田巌の無罪を確信していた。 しかし、裁判官として死刑判決を出す。 判決文まで書いた。 一体、何があったのか? この本に潜む3つの謎を紹介したい。 ※文中敬称略 1.優れた裁判官司法試験は”国家試験最大の難関”。 合格までに5,6回の受験は当たり前と言われる試験だ。 熊本典道は、司法試験をトップの成績で合格した。(合格者は343人) 成績が優秀なだけではない。 熊本は高い”人権意識”を持っていた。 優秀な能力と、人として大切な人権感覚を持つ裁判官。

90年の時を超えて愛される、「萬壽屋」の変わらない哲学(神奈川県二宮町)|駄菓子屋今昔ものがたり

東京駅から東海道線の下り電車に乗って、風景が変わり始めるのはどのあたりからだろうか。 横浜駅を過ぎて戸塚駅にさしかかると沿線に緑が多くなってくるのだが、明らかに変化したという感じはしない。はっきり変わったと感じるのは、おそらく大磯駅からではないだろうか。 小高い山々が線路に迫り車窓に里山の風景が広がるからそう感じるのかと思っていたが、先日、決定的なことに気がついた。大磯駅にも次の二宮駅にも、駅ビルがないのだ。 ひとつ手前の平塚駅は巨大な駅ビルの一階部分にあるのだが、大磯

コングラボードと読みたい本

こんにちは。 ちょっと前からXにたくさんの知らない人からDMが入って、面倒だなと思っている羽根宮です。 羽根宮糸夜のアカウントではなく別のアカウントなのですが、お仕事斡旋とか、フォロワーを増やすとか、アダルト系とか色々あります。 最近はグループみたいなものに勝手に入れられていて、おそらく同じように勝手にグループにいられた人たちのアカウントがいっぱいあって、LINEとかなにかのリンクが載っているというのが多いです。 一応、Xに報告したりミュートやブロックなどしているのですが、面

2024年に読んでよかった本10冊

今年は60冊ほど本を読みました。毎年恒例となってますが、今年もおもしろい本にたくさん出会えたので、その中でも特によかった本を10冊まとめておこうと思います! 半導体戦争 - 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防今年、NVIDIAが時価総額で世界1位となる出来事がありましたが、半導体産業は破竹の勢いで発展を続けています。本書では、そのような半導体産業について、技術競争、経済競争、軍事競争の3つの観点を織り交ぜながら、その歴史と今後の方向性が描かれています。 本書を通し

シン・シンギュラリティ

2040年、 人工知能によって、人類の働き手は激減した。 頭の良い者だけが職を保ち、稼ぎを得た。 残された者たちは、 ただ死んでいくはずだった。 しかし、 1人の厄介な男がいた。 男は、 義務教育を受けていなかった。 多額の借金を抱え、住処もなかった。 これでもう十分に聞こえるが、 世間はただその一面に注目する。 男は、 殺人犯であった。 ある時を境に、世界は真の特異点へ到達する。 殺人犯は瞬く間に富豪に登り詰めた。 職を奪われた者たちも大金を得た。 高質な

ノンフィクション作品にハマると手帳が楽しい

こんにちは、MIZです。 漫画「イサック」のストーリーを楽しみつつ、 その背景にも興味が湧き、 三十年戦争について調べていました。 推しのイサックの魅力については他の記事でお話しています。↓こちらの記事にて。 ネットで見つけた記事をブックマークするのは簡単で便利なんですが、 今、その記事から気になったポイントや覚えておきたいことなどを手帳に書き写して 個人的に楽しんでいます。 他者が書いた文章を書き写すという作業なので、 考えなくていいし、何より文章の勉強になります。

人身事故が起きた朝

心地のよい眠りの朝、連続で鳴り響くスマホの着信に、無意識に腹が立ったように電源を消そうとボタンを探しました。 見つけた時には着信は鳴り終わり、再び眠りにつこうとするとまた、着信が鳴ったのです。 何度も鳴り響く音に根負けしたワタシは、仕方なく電話に出ることにしました。 「もしもし、お母さんです」 「・・・なに?」 「最寄りの駅で人身事故があったみたいなんだけど、電車がかなり遅れるみたいだよ」 そう電話越しに話す母は、少しだけ興奮気味でした。 ワタシの夫は、仕事に行く時には電車

ハーブレッスンブックの沙織さん

「実は来月再びエジンバラに滞在することになりました。2週間キャットシッターしているので、よかったらまたご一緒させてください」 と、友人の不在時の猫の世話をする役目を引き受けたので、イギリスに2週間ほど滞在予定との沙織さんからのメッセージが届いたのは9月25日。まあ、何とも可愛らしい理由で、奄美大島からはるばるエディンバラに、その常人ばなれしたところが、また何とも彼女らしいのです。 彼女は石丸沙織さん。 英国メディカルハーバリスト、アロマテラピスト、薬剤師。沙織さんと会っ

感想文 格闘技が紅白に勝った日

成城の三省堂で購入。 川又史観にならないあとがきにしびれた。 谷川貞治がもうどうでもいいと 思った瞬間が二回もあって どう考えてもこの人は 経営に向いてないだろうと思うが 石井館長の後釜に誰が座ったとしても K-1が終焉を迎えるという事は 変わらなかったのかもしれないと 思う。 谷川貞治が曙に交渉の先鞭をつけて 夜の会食の役職を取り付けて 谷川に同席を請われた石井館長が 曙に試合をさせる為に 掛ける石井館長の言葉がとにかく凄いと 思うが もしかしたらそれも 石井館長にしたら

人の恋バナが聞きたいBBAが聞いた令和の恋バナ

人の恋バナが聞きたい妖怪は、夜の飲み屋に出没する。 そう、その正体は、私である。 私は、人の恋バナが聞きたい。 恋バナは心の栄養である。 カッサカサのアラフォーの心を潤してくれる素晴らしき酒の肴である。 🍻 それはある晩のことじゃった。 わしは複数名で酒を飲んでおった。そこに一名、職場の女子とお付き合いをしている男子がおった。お付き合いは内緒にしているとのことじゃった。英断である。 わしは過去に職場で付き合って、別れて気まずくなった男女を見たことがある。周りも気を遣う

ラストサムライ 中島三郎助

幕末、黒船が浦賀沖に突如現われて右往左往する 幕府と江戸の町を皮肉った有名な狂歌がある 「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で夜も眠れず」 上喜撰(じょうきせん)とは 宇治の銘茶で蒸気船(黒船)にひっかけ 四杯とは 黒船四隻でお茶を飲みすぎると夜も眠れない、と この黒船に日本人として真っ先に乗りこんだのが 浦賀奉行の役人 中島三郎助 米に幕府高官としか面会しないといわれ とっさに「浦賀の副奉行」と偽った 応接をかさね艦内の大砲などの装備にも 目をこらし米から警戒さ

感想文 涙にも国籍はあるのでしょうか

小田急線桜ケ丘の冒険書店で購入。 3.11の震災で亡くなった外国の人についての話だが 冒頭で示される外国人の被災で亡くなった人数の 自治体の統計と警視庁の発表の人数の食い違いに驚く。 この本の元になった連載の企画を通す時に 震災についての記事が読まれなくなっているという事実に 良くも悪くも人間は忘れていくよなと思う。 著者が過去にも取材した女性の大変な人生に 読むのがつらい気持ちになった。 子供を失った夫婦の話が非常につらいが それでも生きていくしかないし 人とつながっている

大人になっても変われる

前回、大学編入試験に無事合格できたという記事を書きました。 その勉強をしているときにあることに気づいたのです。 苦手だと思っていた現代文、久々に問題を解いてみたら、なんとそこそこの正解率。 勉強しているときは必死だったので深く考えませんでした。しかし国立大学の中~高レベルの問題でもまあまあ解けるのは、高校時代の私にはあり得ないこと。 現代文ができるようになっている! 模試などを受けたわけでもなく、編入試験の点数も分からないので、あくまでも体感ですが、その理由を私なりに分析し

「日本の調査機関は小学生みたいな感じ」生存者の声はなぜ無視された?

現実、その1。 私たちは魚をおいしく食べている。 現実、その2。 魚を食べることができるのは、漁船で獲る人がいるからである。 現実、その3. 漁船は命に関わる事故のリスクを常に抱えている。 2008年、漁船の寿和丸は突如沈没。 20人のうち、17人が亡くなる。 3人の生存者は当時の状況を調査委員会に語った。 だが証言は無視され、調査報告書は不自然なものとなった。 なぜ、証言は無視されたのか? なぜ、寿和丸は穏やかな海で沈没したのか? 『黒い海』はその謎に挑んだ”ミ