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太宰治と銀座

久しぶりに東京・銀座を歩きまわり
うす暗い路地裏で「バー・ルパン」を見つけた

バー・ルパン  みゆき通りの裏路地                   2024

このバーで
太宰治を象徴する写真が撮られた

戦後まもないころ
写真家の林忠彦が
 「俺を撮れ」と言った太宰にむけて
  せまく後もないのでトイレのドアをあけ
  便器にまたがりただ一個残っていた
  フラッシュバルブを
  発光させて撮影した

戦中戦後の10年間
太宰の妻であった津島美知子は
自書『回想の太宰治』で
こう語っている

 「銀座のルパンで
  林忠彦氏の撮影された写真で
  この靴が重要な役割を果たしている
  太宰は脚の高い椅子を二つ並べた上にうまく安坐して
  上着を脱いだチョッキ姿で
  ワイシャッツの袖口をめくり上げ
  めずらしく颯爽として
  登山家か何かのような大変活動的な印象をあたえるが
  こういうポーズをとれるのも兵隊靴なればこそであるし
  ごきげんの顔と 兵隊靴と 煙草をはさんだ細く長い指との対照が
  おもしろい」

太宰治  ルパンにて                 雑誌Penより引用


ちなみに 銀座・ルパンはおよそ100年まえに開店し
菊池寛 永井荷風 川端康成などの作家
藤田嗣治 東郷青児など画家
戦後は織田作之助 坂口安吾 太宰治などの無頼派が
常連であった
なお この古い文壇バーは、今も営業している

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