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ワイルドの中は学びがいっぱい

NHKの『ワイルドライフ』で南アフリカ南部を生き抜くチーターの親子のドキュメンタリーを観ました。3頭の子育てに挑む最高齢の母親チーターの命を賭けた姿に胸を打たれました。愛情深く子育てし、彼らが自立するとそっとその場を立ち去ります。再び老齢の彼女をカメラが捉えたとき、彼女の側には赤ちゃんチーターがいました。また彼女の子育てがはじまったのです。野生の逞しさ、生きることをまざまざと映し出す撮影スタッフの粘り強さを感じました。

いったいどうやって撮っているんだろう。それをつくっている人々に畏敬の念を抱きました。

ライオンはとてつもなく不味い  山形豪

あらゆる関係が「弱肉強食」で決まるアフリカの原野。弱ったものは瞬く間に被食の対象となる彼の地で、ライオンなどの大型肉食獣は衰えと共に最期を迎えることも多いという……。その理由は「とてつもなく不味い」から。赤茶色の乾いた大地、縦横無尽に駆ける野生動物、そしてそこに身を投じる人間……。そこでは、生きることのすべてがサバイバルだ。大自然を貫く「生」の本質とは? ひとつひとつの瞬間を、幼少期より人生の多くをアフリカで過ごした異色の経歴を持つ写真家が、貴重な写真と文章で綴る。

集英社新書ヴィジュアル版

写真家山形豪さんが過ごした西アフリカでの少年時代が興味深い。

本書より

1985年当時小学5年生の著者が父親のWHOの仕事でブルキナファソの首都ワガドゥグに移り住むことになり、アガマトカゲ、カエル、ヤゴ、カメ、ハリネズミ、オオコウモリ、タカ、ハヤブサに出会います。1年後にはトーゴで中学3年の夏まで暮らします。

授業はフランス語だけど、生徒たちがしゃべるのはそれぞれの部族語で、トーゴ人というより部族への帰属意識が強く、部族ごとの土着宗教を信仰しブラックマジックの力を信じています。野性動物は貴重なタンパク源で、野ネズミを生徒たちが棍棒でたたき殺します。

アイデンティティー、アフリカの抱える様々な問題や矛盾を肌で感じてきたからこそのこの本の本物さ、迫力があるのだと思いました。

アフリカで撮影することの過酷さも描かれており、カバに追いかけられたことや、怖い動物としてコブラ、ブチハイエナ、ナイルワニ等あげてますが人間もそこにおり、海賊の襲撃を受けた話しもあります。

この危険極まりない動物は、他の種が持たない”悪意”や”物欲”というものを持っている。

人間は怖いけど、人との出会いに支えられて活動を続けることができるともあります。

動物だけでなく、ブッシュの音や空気の話が共有できる人間同士の連帯感、仲間意識がそこにはある。

その輪に入れてもらうのは、アフリカの自然を愛しているのだと証明してみせる必要があるという難しさ、厳しさがあります。

動物を撮る、自然を愛するということは、それらを理解し学び人間も愛することだと思いました。

wild life が動物たちなら人間たちはdomesticaed life(飼いならされた生活)、domicile life(定住生活)??

人間でもwild lifeありかも。難しいけど
スギちゃんのように「ワイルドだろう?」と
おおらかでありたいな。

NHKのドキュメンタリーも、山形豪さんの写真にもそれを感じました。生きることをまざまざと見せつけられる刺激的な本です。

はじめての企画#本代サポートします に参加してくださったほりべえさんが購入された本です。

美しい本を教えてくださりありがとうございました。