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人の恋バナが聞きたいBBAが聞いた令和の恋バナ

人の恋バナが聞きたい妖怪は、夜の飲み屋に出没する。
そう、その正体は、私である。
私は、人の恋バナが聞きたい。

恋バナは心の栄養である。
カッサカサのアラフォーの心を潤してくれる素晴らしき酒の肴である。


🍻

それはある晩のことじゃった。
わしは複数名で酒を飲んでおった。そこに一名、職場の女子とお付き合いをしている男子がおった。お付き合いは内緒にしているとのことじゃった。英断である。

わしは過去に職場で付き合って、別れて気まずくなった男女を見たことがある。周りも気を遣う。どちらかが職場を異動するまでは、内緒にしておく方が良いだろう。

しかし、人というのは、付き合いたてのラブラブ期にラブラブっぷりを話したい生き物じゃなかろうか。BBAはそう思う。それで良い。わしに栄養をオクレ。

その彼は、彼女がかわいくて仕方ないのじゃった。
わしは仕事の立場上、彼らが付き合っていることを知っておった。そのため、彼は職場では一部の人間にだけ惚気ることができるのじゃった。ういやつめ。どんどん惚気るが良い。

彼は料理を作ってもらった話などを聞かせてくれた。「可愛かろ?」とわしが聞くと、にやけた顔で「可愛いです」と答えた。わしは思った。これは男の方が女にゾッコンなのじゃな、と。自慢したくて仕方ないんじゃろうなと思った。彼女からそんな彼氏ゾッコンラブな雰囲気を感じたことはなく、わしは温度差があるのではないかと思った。いつまで持つかな、とも思った。少しだけ男子が心配になったのはBBAの余計なお世話かもしれない。


別の日、わしは彼女の方と飲む機会があった。

恐る恐る、お付き合いのきっかけなどを聞かせてもらうことができた。彼氏の彼女に対する溺愛っぷりを聞いておったから、彼女の惚気けっぷりに温度差があったら切ないのぅと心配しておった。しかし、その心配は不要であった。

お付き合いの始まりは、やはり彼氏からのアプローチじゃった。初めは普通に食事をしておったが、突然、その日の帰りに告白をされたとのこと。

くっはー。

告白ってなんだよ!
告白ってなんだよ!

大人も告白ってするんだなー。なんか、何となーくいい感じになって、そのまま流れでってのがスタンダードだと思ってたわ。いいなー告白。かわいいなー。

ってわしは思ったのじゃ。

でも、彼女は突然の告白に戸惑った。
ただの職場の同僚と思っておったからのぅ。
そして、そこで取り決めが交わされたのじゃ。

3回、食事に行こう。
それから返事を決めてほしい、と。


何その3回。
一体この恋の行方、どうなるの?

そして彼らは3度食事に行くことになる。食事を重ねると、次第に彼女は彼に惹かれていったようじゃった。3回目の食事の前に、彼女は彼氏のことが好きになっておったのじゃ。
結果を聞かせて欲しい、と手を差し伸べてくる彼に「かわいい♡」となってキュンキュンしたとかしないとか。

BBAは前のめりで聞いた。

それで?
それで?
ホテルでも行ったん?(下世話)

それは聞けなかった。

で、どうしたの?と遠慮気味にBBAは聞いた。
すると女子は恥ずかしそうに答えたのじゃ。


ねえ、聞いて!
聞いて驚くな!
これは令和の20代の話だぞ!




手を繋いで帰ったんだってー!!!!



かわ。キャ、キャわ。かわいい〜!

BBAは悶えた。何それ。そんなのあり?
かわいすぎだろお前ら。
聞きたいのはその後だよ、とは言わんのじゃった。

ということで、素晴らしい栄養を補給させてもらったのじゃった。


わしは、今宵も恋バナを聞きたいのじゃ。
なぜなら、BBAは恋心を枯らしてしまったのじゃから……。




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