迂闊にも電車の中でその本を開いてしまった。可笑しくて我慢できなかった。笑い声が漏れそうだった。奥歯をギュッと噛んだ。引き笑いを懸命に飲み込んだ。震える肩は止められなくて慌てて本を閉じた。でも続きが気になってまた開いた。楽しくて可笑しくて涙が止まらない。笑った。さすが佐野洋子さん。
「100万回生きたねこ」って知ってる?どんな内容だっけ‥ああそうだ、最後にたった一匹の愛する猫を看取ったあと、自らも死んで、そのあとは生き返ることはなかったんだよね。その猫に出会えたから、初めて生を全うして死んでいったんだよね。 ‥ふと、今なら死んでもいいと思った。