ともあすか

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  • 読みながら書く 第一巻

    エッセイ『読みながら書く』の第一巻です。 記事No.1~記事No.24の24本をまとめています。

最近の記事

優しさ随想

優しさという言葉は意味を多く背負いすぎていて、言葉として機能不全に陥っているように思う。 そこで、なんとなく今思う事をだらだらと書く方が、かえって「書きがいがある」ものが書けそうな気がする。 優しい人間に成るためには、大変激烈な修行を必要とすると思われる。 しかし、その修行をしていないのに、優しい、という人も稀に、稀に、いる。 しかしいずれの場合も、優しい人間である事を維持する事もまた、困難な道のりである。 であるから、世の中に優しい人がいない事は驚くべきことではない

    • 漫才随想1

      現代漫才100年史 wikiによれば、1930年代に「エンタツアチャコ」というコンビが「しゃべくり漫才」というスタイルを「創始」した、とある。今、仮にこの出来事を「現代漫才の始点」と見立てると、2024年現在までに約100年、現代漫才は存続してきたという事が言える。 さらにwikiの力を借りて、この100年間にあえて区分を付けるとすると、 1. 演芸ブーム以前の時代(1930~50年代) 2.演芸ブームの時代(60年代) 3.漫才ブームの時代(70-80年代前半) 4.深夜番

      • 晴れの雨随想

        晴れた日に雨が降ると、 狐の嫁入りと言って、 全て済ましたような気になり、 別のことに思いが向いてしまうが、 狐の嫁入りと言った後に、 なお晴れの日の雨を眺めていると、 非常に綺麗なものであるとか、 不思議なことだとか、 生々しい感想を得ることが出来る。 晴れの日の雨降りやまず。 老人の肩に雨降る。 晴れの日の雨。

        • QRコード随想

          QRコードのことをいとも簡単に悪く言う人が、私の周りに十数人いる。いずれも私と親しくない人であり、私は彼らを好まない。 彼らはQRコードを作った人の顔を見た事があるのだろうか。 QRコードの導入によって、ホームドアの設置が進み、視覚障害者のホーム転落事故の防止に繋がっているという事実について考えた事があるのだろうか。 よく分からないものにすぐ飛びつく心と、よく分からないものをすぐに嘲る心は、よく似ている。 両者に共通するのは、「安全意識」の弱さである。 どういう安全

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        • 読みながら書く 第一巻
          12本

        記事

          Radiohead随想

          友人と、レディオヘッドの話をしていたら、ベストアルバムの選曲および曲順を検討する事になった。 選曲については両名一致を得たので、お互いそれぞれ曲順を考えようという事になり、私は昨晩2時間ほど考えて、寝た。 目を覚まして、昨晩考えた曲順に並べられたプレイリストを聴いてみた時の感想が、以下の文章である。 なお、No Surprisesは入る場所が無く、入れなかった。 ベストアルバムの曲順は以下の通り。 1.ハウスオブカーズ 2.キッドA 3.イディオテック 4.デイドリーミング

          焼き芋随想

          焼き芋を買ってきた。 イオンは238円で焼き芋を売る。 12年ほど前、寒い駅で焼き芋を食べた夕方の記憶が残っているが、あの時の芋と非常に似た形をしている。 四口、五口と食べているが、 よくもまあこんなに芋が甘くなるものだ。 3年前の正月、初詣の帰りに山の中で焼き栗を食った時の事も思い出される。 雪の中で食べる昼食の焼き栗12個は第一に美味しく、第二に私の帰路の安全性を格段に高めてくれた。あの栗がなければ私は疲労で滑落していたかもしれない。 焼き芋を食べて寝床に仰向けに

          カシオペア随想

          最近、カシオペアというバンドをよく聴く。 カシオペアがどんな人たちか、という事はWikipediaに詳しく書かれているので、そちらを参照して頂きたい。 おそらく,"Down Upbeat"までが、作曲家野呂一生の「現役時代」であり、ライブ盤" Casiopea Live"が、その集大成にして、さいごの輝きだったのではないか。 アルバムを一通り聴いた感想である。 最近聴き始めた私がとやかく言う事ではない。 ライブ盤" Casiopea Live"の映像も出ている。 「ギャラ

          カシオペア随想

          蜘蛛随想

          家の周りに蜘蛛がいる。 道を挟んだ超大型の巣を張っている。 しかしその主の姿は意外と小ぶりである。 私は蜘蛛の巣を1分ほど眺める事が多いから、蜘蛛の巣に主と従者がいることくらいは知っている。 巣の大きさに対して、私の家の周りにいる主は小さい。 思い返せば私の家の周りの蜘蛛は大体、巣の大きさに対して主が小さい。 しかし、これは何故だろうか、という思いは、何故か起きない。 我知らず、それはそれで良いに決まっているだろう、という感覚が私の中に生じ、疑問の発生そのものを抑制しているよ

          家族随想

          長姉と次姉と話している時は、毎回さだまさしの話題が一度は出る。 父母がさだまさしのカセットを多く持っていたからだ。 1976年、父が26才、母が24才の時、さだまさしは24才で、グレープを解散し、ソロデビューした。 さだまさしは一年に一枚のペースを保ってアルバムを出し続け、1985年には2枚、出した。 1枚目が6月発売の『アドバンテージ』、2枚目が12月発売の『自分症候群』である。 前者はオリコン最高位4位、後者は8位と、結構売れている。 長姉は、『自分症候群』の話をよく

          不快随想

          「不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした」というフレーズを、よく聞く。 なんとも言えないいやなかんじがする。 「SDGs、ぐるっと回せばうんこ色」 というフレーズ(本の帯に書いてあった)は、いやな感じがしない。 エルトンジョンはビッチイズバックという歌の中で、「俺はビッチだ、俺はビッチだ、で、お前よりマシだ」と歌っている。これは、好ましい。

          ジャズ随想2

          ヴェイパーウェイブという音楽ジャンルがあるらしく、YouTubeのオススメとしてたびたび見かける。再生してみると「1993 JAPAN」とか「1988N.Y.」みたいなタイトルで、曲の判別ができないもやもやした音楽、それもいわゆる「ダブ」音楽みたいに、あからさまに「編集したぞ」という感じはなくて、なんとなくもやもやした部分だけをつなぎあわせたような音楽が、流れる。 どんな音楽かというと、「エレクトリックジャズ」のようだったり、「JPOPのようなもの(バブル期の)」だったり、

          ジャズ随想1

          ジャズの起源は、私には分からない。いくつか「説」や「論」を目にしたが、頭に入らなかった。仕方のないことだ。 ジャズの歴史は、少し面白い。 ビッグバンドという演奏形態は、当時の人からすれば、「これこそがジャズで、ここからこの音楽が変化することはないだろう」と思うくらい、「完成感」を感じさせるものだったのではなかろうか。 しかしその後、ジャズは変化する。少人数のバンドというスタイルになり、ものすごく速く演奏したり、「難しい」演奏をしたり、「音を出す根拠」をいろいろ変えたり、楽

          本屋随想

          今日本屋で、血の気が引いた肌の色をして、本棚に頭からもたれかかっている女性を発見した。 何らかの不調であると思われたので、人生の応用問題に強そうな店員を即座に選出し、女性の位置を伝え、対応を依頼した。店員は救助員を呼び、救助員が女性に声をかけ、状態を把握する事につとめていた。その間、私は清水幾太郎の伝記本2冊を読みながら、どちらを買うか、或いはどちらも買わないか、考えていた。 しかしあの場、女性が倒れかかっている場に居合わせた数人の男女に言いたい事がある。君らは視野が狭すぎ

          コーラ随想

          風が涼しくなり、気温も下がり、日暮れが早くなり、虫の声が大きくなる。雲が薄くなり、人が長袖になり、草の匂いが変わる。この、夏から秋への移行の最中は、毎年、悲しい気分が自分の全体を覆う。毎年のことなので、知ってはいるが、気分の力は凄いものである。こういう時、例えば仕事を変えたりしてはいけない。何か趣味を、停止するのも良くない。仕事はとりあえず続け、新しい趣味を開始するのが良い。 そういう風に考えるようになったので、今年の秋は美味しい自家製コーラの研究を開始することにした。先ほど

          箕面随想

          父はよく旅をする人であったが、私が知る限り五十代以降の父の旅はどれも規模が小さかった。泊まりがけの旅行は殆ど無く、基本的に車で朝に出かけ、夜帰ってきた。行き先は能勢町か、丹波篠山が多かったと思う。 たった一軒であっても、行き先に温泉があると、そこが主要目的地になる事は私にも当てはまるが、父もそうであった。能勢町のどこかに、いつも賑わっているスーパー銭湯があり、私も父と2回ほど、行った事がある。恐らく父は80〜100回は行っていたと思う。 この文章はバス停で、バスを待ちながら書

          音楽随想1

          折坂悠太さんのライブに行ってきた。 大阪駅近くの会場へ、開場時間に到着した。一緒に来てくれた人が手洗いを使う間、ロビーで待っていると、ダフ屋ではないかという疑いが、私にかけられた。幸い、係員が私のところへ来る前に、一緒に来てくれた人が戻って来たので、問題が起きなかった。 客席へ入ると、もうもうと霧が立っている。席はステージから15メートル少しほどの距離で、マイクが正面に見える。良い席だねと話し合っていると、開演までまだ四十五分もあるから、一旦外へ出ようという事になった。 もう