ともあすか

ともあすか

マガジン

  • 読みながら書く 第一巻

    エッセイ『読みながら書く』の第一巻です。 記事No.1~記事No.24の24本をまとめています。

最近の記事

ELO随想

ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)に名盤があるとは世間であまり言われていない、という印象を私は持っているが、ELOには名盤がある。 Out of the Blue (1977年発売)とDiscovery(1979年発売)である。軽くてポップである。 Out of the Blue は Mr.Bluesky以外は印象に残らないが、終始心地よく、ザクザクと何かが進む感じがする。 Discoveryはどの曲も売れそうで、しかし何かが足りない感じがするが、こちらも終始心

    • 象を詠む歌一首

      象は手足太く、短く、 胴太く、大いなり。 体色、土また灰なり。 人、象を呼び、使い、養うことあり。 象よく仕え、温柔なり。 我いつか聞く、残酷なる象もありと。 我思えり、驚くべきことならずと。 生きもの皆残酷なり。 人もまた残酷なり。 ことさら言うほどのことなし。 しかし象は愛らし。 残酷なる人、残酷なる象を愛でる。 生涯温柔なる象もあるらし。

      • 鶴橋随想1

        鶴橋はどこにあるか。 天王寺のやや北東にある。 鶴橋にはどんな鉄道会社が駅を設けているか。 近鉄、JR、大阪メトロ千日前線。 鶴橋はどんなところか。 焼肉屋、それも店舗の大きな焼肉屋が多い。この点は、なんば(大阪の真の繁華街)や西成とも異なる。

        • 休憩随想1

          自治体という語が、頭の中で鳴り響いた。 自らを治療する体。 思えば私の体は、色々な事に耐えるが、同時に、しばしば無理な要求を突きつけてくる。 ほとんどの他人も、これほど図々しくはない。 しかしこんな事はなんでもない事だ。 全体的に、私は自分自身を尊敬している。 2年前はこういう思いを持っていなかった。 しかし今は笑い事でなく、自分を尊敬している。 しかし文字にすると笑い話のようになる。 テレビCMが終わろうとしている。 別のテレビCMはまだ始まらない。 その間のスキマに、何

        マガジン

        • 読みながら書く 第一巻
          12本

        記事

          バス随想4

          兵庫県の斎藤知事が色々問題を起こしたので、毎日テレビやラジオが情報を放送している。 2021年7月18日が知事選挙の投開票日で、斎藤氏は858,782票を得て、知事になった。全投票者のうち46.9%が斎藤氏を支持した、という計算になる。 (全てWikipediaの情報) 約86万票というのは少なくない数だと思う。兵庫県の人口は約534万人なので、そのうちの86万人というのを多数派と言って良いかは不明だが、しかし100万に近い兵庫の人が、斎藤さんに投票したのである。 だから

          俳句随想1

          実際にはとりとめのない話3、であるが、今俳句の事が頭に浮かんだため、俳句随想1と題した。 最近誰の俳句を読んだか、と考えてみると、 高屋窓秋 という名前が出てくる。たかや、そうしゅう。 水原秋桜子の弟子だったが、その後色々な事があって、別系統の集団のメンバーとなったりしている。長生きしていて、満洲での勤務経験がある一方、バブル崩壊も見ている。 この人の俳句で、 頭の中で白い夏野となつてゐる というのがある。 アタマノナカデ シロイナツノト ナッテイル 凄い句で、ノートの

          あべのベルタの地下迷路

          天王寺駅を降りて歩くと、あべのキューズモールに着く。キューズモールは不思議なところのない建物である。 隣に、あべのベルタという建物があり、こちらは不思議な建物である。部分を個別に見ても、全体を見ても不思議である。 何階立てなのかよく分からないが、地上にある階よりも地下にある階の方にひとけが多い。地上階に魅力がないわけではなく、阿倍野区北部の地域包括支援センターがある事からベルタが重要な建物であることが分かるし、本棚がむき出しになっている古本屋も1990年の料理雑誌が並んでい

          あべのベルタの地下迷路

          とりとめのない話2

          男は触るもの全てを砂にする事ができた。 手近にある筆記具、ノートを指でつかむと砂になった。 砂をつかむと、砂のままだ。 男は鼻をつまんだ。鼻が砂になった。 目を触ると目が砂になり、太ももをなでると大きな砂がどさっと崩れた。 砂地は体内に草の種が混じっている事に気づき、待っていると雨が降った。草の根が伸びて葉が沢山出来た。 草の周りにさらに草が生え、通りがかった人が葉を一枚取って自宅へ持って帰った。それを一晩アルコールに浸け、翌日は精油を全体に塗って乾燥させたところ、茶色く硬

          とりとめのない話2

          八月随想

          明日は仕事の開始時間が遅めなので、今夜は少し余裕を感じる。 母が居眠りをしていたので、選挙は何日だったかな?と話しかけると、目を閉じたまま「にじゅうごんち」と言った。 母はずいぶん前からおばあさんのようになって、今もおばあさんのようだ。 その後、目を開けた母は故郷の話を少し話した。 私がバスの降車ボタンの模型を持ってきて鳴らすと、母は喜んだ。私が、これがあればバスを降りられる、と言うと、そうや、と答えた。 以上が前段だが、またしても本論が無い。 最近はまた本を良く買うが、

          8月9日随想

          ◎8月9日。長崎原爆の日に。 昔父が働いていた、とある学校の、上空あたりを見ながら、ベンチに座っている。上空の雲はオレンジ色とピンク色の中間の色をしている。酒のやまやの屋根が見える。 今、気付いたが目の前の地面、手すりの下に、サッポロ黒ラベルの空き缶が落ちている。星がこちらを向いている。右から風が来る。 この辺には以前は多分SSOK(問屋のような小売店)しかなかった。今では図書館や大学や、劇場(劇場?)があり、やまやもあり、若い人が多い。しかしこの、私が今いるベンチのあると

          こんにちの社会

          ◎ こんにちの社会、 フワちゃんという人が失言で芸能界から消えようとしている。 昨年は(たしか昨年だったと思う) ジャニーズ事務所が消滅し、宝塚が内部腐敗を暴かれ、松本人志がスキャンダルでTVから消えた。 芸人と呼ばれる人々について 芸人と呼ばれる人々がいる。この人々の間でのいざこざや、暴力的案件について、「芸人なのだから、全て笑いに変えなければならない」という説を言う人がけっこう、世の中には、居る。 しかしどうかね。「芸の肥やし」という言葉を念頭に置いているのかね。 そや

          こんにちの社会

          なんば随想

          女性  (ひらひらジャケツの黒透けて、色の分からぬスカートを、木のサンダルのゴムの紐、汗ばむ鼻を痒そうに、彼のジャケツの腕抱いて、二人の腋の風の音、太った澱みのような人、頭皮全てに汗をかき、恐ろしさある歩きぶり、木のサンダルの女まで、じらりじらりと近づいた、時) のポケツから、曲がったレシートが、ひらひらひら落ちたけれども、人の命も、このようにあっけないものかと、しみじみ、感じ深く、思われた。

          バス随想3

          電車のドアが開いたら、降りる人を先に通す、というのは、理にかなったルールである。 色々な理を、並べられると思うが私は一つだけ確実なものを挙げたい。 電車の中には病院がない。薬もなければ救急ボックスもない。故にそこから出られなかったために死ぬ人が出てくる可能性がある。逆は、まずない。 今日、なんば駅で体格の良い若者が、電車を降りる私を押しのけて乗車しようとしたので、私は手のひらを彼の目の前に出して、「are you sure?」と適当な英語を話した。彼は足元を見ていた。 私

          バス随想2

          きょう、しんきょうという飲食店で食事をした。 中華料理店である。 店の男二人は声が良い。通る。 食事も良い。達人の商品である。 そこへ中国のひとがきた。 向こうから6人くらい、こちらからは2人。 グループが二手にわかれて入ってきた。 スパイシー豚骨ラーメンの注文がされた。 やがて、食事が出てくると、こちらの2人が向こうの6人へ器を、渡そうとした。 先客の男性会社員の前を、器が移動した時、店主の男が「前を通すな」と叫んだが、誰にも何のことか分からなかった。 よく分からないマナ

          食後随想1

          食後に歩いていると、乳母車に載った赤ん坊と、その母親が私の進路にいた。母親が乳母車を後ろに引いて、私の歩く道が出来た。私が彼らを過ぎる時、赤ん坊と見えていた幼児が「歩きながらねんねする」と言った。 母親が「歩きながらねんねするのは出来ないよ」と言いながら笑った。 というのが前段だが、前段以外に書く事がない。千里中央の「美松」で、遅い昼食を頂きました、という一文で終わってしまう。 そういえば千里中央のあるところにツバメがいた。口を開けていた。ツバメが目に飛んできて、目を失う

          バス随想1

          乗ってから降りるまでの。 さだまさしについて、主要でなく重要でない事を書こう。 さだまさしは中国語読みで、 ゾーデンヤーツ で、1980年に中国で映画を撮った時、彼はかの国でゾーデンヤーツと呼ばれていた。 さだまさしが中国で映画を撮っている時、資金が足りなくなった。 長江を西へ西へ、進みながら撮影したかったのだが、各地で約束違いの足止めを喰らった。 なぜいったん下りた通行許可が取り消されるんだ、もっと本気で交渉しろよ、こっちは金もないんだよ、頼むよ、ちゃんとやってくれよ