Katsuhisa Sakita

【 読書メモ・創作の種の保存庫 】 様々なジャンルの読み物を取り上げています。 書棚に並ぶ背表紙のように、書き連ねています。 初めて手に取るとき、読み直すとき。読書を忘れないときのために。 (最近はInstagramの下書き) 「soranitikaiiro」で僕を見つけて。

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100万分の1回のねこ

📚『100万分の1回のねこ』 〈初版:2015/7/15〉 《著者》 江國香織・岩瀬成子・くどうなおこ・井上荒野・角田光代・町田康・今江祥智・唯野未歩子・山田詠美・綿矢りさ・川上弘美・広瀬弦・谷川俊太郎 🖋️ 1977年に刊行された佐野洋子の名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる短編集。人気作家13人による短編小説や詩のアンソロジー。 🖋️ 『100万回生きたねこ』は、1977年に出版された佐野洋子作の絵本。 …主人公の猫は、ある時は一国の王の猫となり、ある時は船乗りの猫と

    • きじも鳴かずば

      📙『きじも鳴かずば』 🪶「まんが日本昔ばなし」 1976/5/15 放送 🪶「日本の民話1」 信濃の民話 (題名「おしになった娘」) 1957 瀬川拓男・松谷みよ子 🫘 犀川という川のほとりに、小さな村があった。川は毎年秋になると氾濫し、村人を困らせていた。この村に弥平という父親とお千代という娘が二人で暮らしていた。お千代の母親も先の洪水で亡くなってしまっていた。ある年の秋、お千代は重い病にかかるが、貧乏なので医者も呼ぶことができない。お千代は「あずきまんまが食べたい」と

      • 黒い樹海

        📓『黒い樹海』 松本清張 1958〜1960 「婦人倶楽部」連載 「先生、参りましょうか。もう犯人が着いていますわ」 …この日、 祥子は、十時前からアパートの前に立った。その朝は、殊に入念に化粧をした。彼女はだんだん姉より美しいと云われてきた。社の女たちがそう云うのである。姉の美しさを小さいときから羨しく思っていた祥子には、それがうれしかった。 …貿易会社に勤務している「笹原祥子」は親切で頭の良い姉「笠原信子」を慕っていた。ある日、突然、信子の訃報が入る。信子は仙台へ旅に

        • 波の塔

          📓『波の塔』 松本清張 1959〜1960 「女性自身」連載 「どこにも行けない道って、あるのね」 …この日、 某省局長の娘「田沢輪香子」は友人と深大寺に出かけた際、ある青年と再会する。かつての一人旅の最中、上諏訪で知り合ったことのある青年であった。彼は美しい女性と同伴していた。その新聞を読んだとき、輪香子にすぐ浮かんだのは、深大寺の森で会った頼子の姿だった。 …司法実習生の「小野木喬夫」は、芝居の観劇中に隣席の女性が気分を悪くしているのに気づき、医務室へ連れて行った。一

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          蝶々夫人

          🦋『ある晴れた日に』 プッチーニ 蝶々夫人 第二幕 🚢 ある晴れた日 遠い海のかなたに 煙が立ち 船がやがて見える 真白い船は 港にはいり 礼砲を打つ ごらん あの人よ だけど 迎えには行かない 近くの岬に出て そこであの人を待つのよ いつまでも ・・・・・ 🦋『蝶々夫人』 Madama Butterfly プッチーニによって作曲された三幕もののオペラ。 1904年、ミラノ・スカラ座で初演。日本初演は1921年、ロシア歌劇団による。 🖋️ 舞台は明治時代の日本。没落士族

          鬼平犯科帳

          📘『鬼平犯科帳』 池波正太郎 「オール讀物」連載 1967〜1989 全135話(作者の死去により未完) ・・・ 江戸の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵を主人公とした捕物帳。配下の同心や密偵、或いは彼らと敵対する盗賊どもを、主人公と同等、もしくは時としてそれ以上の比重で描き、これまでの捕物帳にはなかったリアルな人間関係を打ち出すことに成功している。 ・・・ 👹 「むかしの女」 長谷川平蔵が、その女・・・・おろくと二十余年ぶりに出会ったのは、座頭・彦の市が行方知れずとなって間

          軽井沢にて

          📕『軽井沢にて』 正宗白鳥 (一九四二年三月「旅人の心」より) ・・・ 長谷川伝次郎氏の『ヒマラヤの旅』には、二万尺以上の霊峰を跋渉した時の壮快な印象が記されている。…私にも、その光景が微かに空想されないことはない。海抜三千尺に過ぎない軽井沢にいてさえ、快く晴れた朝など、ふと、下界に居る時とは生き心地の異った恍惚境にいるような感じに打たれることがある。…私は、軽井沢の大路小路を、当てもなく、あちらこちらと歩きながら、未知のヒマラヤの高原を空想し、一瞥したことのあるスコットラ

          おおかみと七ひきのこやぎ

          📘『おおかみと七ひきのこやぎ』(グリム兄弟) DER WOLF UND DIE SIEBEN JUNGEN GEISSLEIN (Bruder Grimm)楠山正雄訳 底本:「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」小峰書店 1949(昭和24)年2月20日初版発行 🐐 むかし、あるところに、おかあさんのやぎがいました。このおかあさんやぎには、かわいいこどもやぎが七ひきあって、それをかわいがることは、人間のおかあさんが、そのこどもをかわいがるのと、すこしもちがったところはありま

          おおかみと七ひきのこやぎ

          ムーミン谷の冬

          📙『ムーミン谷の冬』 トーベ・ヤンソン 1957 … その広間には、大きなせともののストーブをかこんで、ムーミン一家のものたちが、長い冬のねむりにはいっていました。いつでもみんなは、十一月から四月まで、冬眠するのです。 … ☃️ ムーミントロールは、冬眠から目を覚ます。目覚めたのは彼だけ。冬眠中のみんなを何度も起こそうとするがうまくいかない。不安、そして好奇心からムーミントロールは外へ出かけ、冬という思いもよらない世界を発見する。それは、ムーミシ一家の生活の中でこれまで語

          ムーミン谷の冬

          無花果とムーン

          📘『無花果とムーン』 桜庭一樹 2012 🛸 《悲しみは川の流れに似てるって、あたしは思うの》 … 「あたし」は前嶋月夜。「無花果町」の高校三年生。誰よりも大好きなお兄ちゃんに目の前で死なれてから、「あたし」の存在は宙に浮いてしまった。 … 月夜は「パープル・アイ」持つ。見えないものが見えて、会ってはいけないものと会話ができるチカラがある。月夜は、あの日に亡くなった兄と出会い会話をする。 「明日の朝に、ね」 「えっ、明日?」と、あたしは聞きかえした。 「未確認飛行物体に乗っ

          無花果とムーン

          定本 八木重吉詩集

          📕『定本 八木重吉詩集』 没後刊行 🍂 「ことば」 一九二五年(大正十四年)六月七日編 《秋》 ひとり静かにものをおもいたい 秋になると心は感傷にほだされて単純に幼くやわらぐ おこるときははっきりと怒ってしまいたい こえをだすときば あかるくころがってゆけとおもう 🍂 「木とものの音」 ー九二五年(大正十四年)九月二十一日編 《木とものの音》 秋になると 木がすきになる ものの音がよくなってくる 《秋》 秋になると ふとしたことまでうれしくなる そこいらを歩るきなから

          定本 八木重吉詩集

          ともしい日の記念

          📕『片山廣子随筆集 - ともしい日の記念』 (早川茉莉編、ちくま文庫) 2024 随筆+短歌。単行版未収録の2作品も追加 《十月 溜息する》 🔖よめいり荷物 彼女のためには良人と子供たち、それに良人の働いてゐる世界とかが彼女を取り巻く 🔖「子猫ノハナシ」 さめない眠りの中で私も童話のやうな子猫の世界に遊びにゆけたら幸福であらうと 🔖花屋の窓 静かなおちつきの世界を芥川さんも私もおのおの違った時間に覗いて見たのであった 🔖銀座で 可愛い子猫をお手に載せて背中のごみを吹いておや

          ともしい日の記念

          美味礼賛

          📗『美味礼讃』 ブリア-サヴァラン 1825 「生命がなければ宇宙もない。そして生きとし生けるものはみな養いをとる。」 🥗 ブリア-サヴァラン(1755〜1826)はフランスの政治家で美食家でもあった。いかなる学問芸術にも通じ、古代語はもちろん、ヨーロッパすべての国語をかたり、あらゆる学術用語を我が物としていた。フランスの有名な医者の多くと親交があり、かれ自ら解剖学者、化学者、天文学者、考古学者、特に文学者であった。詩も上手で作曲もできた。こういった人物が、あらゆる「蘊蓄

          異人たちとの夏

          📗『異人たちとの夏』 山田太一 1987 1988:映画化・監督大林宣彦 2023:イギリスで再映画化 🥂 人気シナリオライターである原田は妻子と別れ、マンションに一人暮らし。ある晩、同じマンションの住人であるというケイという女性が、飲みかけのシャンパンを手に部屋を訪ねてきた。「お近づきのしるしに、と思って」。一晩一緒に過ごしたいと言う。この日に仕事をも失いかけ、不機嫌だった原田は、彼女を冷たく追い返した。数日後、原田は幼い頃に住んでいた浅草に迷い込み、幼い頃に死別した

          異人たちとの夏

          コイのレシピ

          📗『コイのレシピ』 塚田浩司 2022 🔪 16歳の青春物語。 長野県佐久南高校普通科。授業では使われていない第二理科室。その部屋の片隅には大きな水槽があって、鯉が二匹ゆったりと泳いでいる。「一緒に全日本高校生WASHOKUグランプリに出てほしいんだ」高校生限定で和食料理を競う大会。二人一組。副賞はニューヨーク行き。 💙櫻井潤 老舗料亭の息子。双子の兄「上村宗太」がいる。離婚をして佐久市の実家に戻る母親に同行して櫻井姓となる。成績はトップクラス、部活に入っていないのに体育で

          コイのレシピ

          わたしを離さないで

          📓『わたしを離さないで』 (原題:Never Let Me Go) カズオ・イシグロ 2005年 2010年 イギリスにて映画化。 2016年 TBS テレビドラマ化。 📖 1990年代末のイギリス。幸福な少年時代を持たない臓器提供者が、語り手である介護人のキャシー(31歳)に、子供時代の思い出を話してくれとねだる。「薬と痛みと疲労で朦朧とした瞬間に、わたし(キャシー)の記憶と自分の記憶の境がほやけ、一つに交じり合うかもしれない」からと。キャシーは「ヘールシャム」という全

          わたしを離さないで