Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫…

Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫が好き。 https://canoma-parfum.com/ https://www.instagram.com/canoma_parfum/?hl=ja

最近の記事

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言葉の刃物

もう25年以上も前のことだが、今でも折に触れて思い出される出来事がある。それは私の人生における「後悔」の一番最初の記憶であり、また今までで一番頻繁に思い返された事でもある。 その一方で、私はこの出来事について今まで誰かに語ったことは一度もないし、3年以上毎日書き続けているこのnoteでもそれについて触れてこなかった。なぜそうしなかったのかと問われると、ひとつはそれが他人にとっては取るに足らない出来事であろうと思われたからであるが、それにも増して、それを語ることが私にはとても

    • ちゃんと着陸しました。

      飛行機の中で目が覚めた。目的地のパリまでは残り7時間。ということは6時間半ほど眠っていたことになる。 羽田空港第2ターミナルに到着後、荷物を預けて手荷物検査、出国審査と終えるまでに20分程度しかかからなかった。第2ターミナルから出る国際線はまだ少ない上に、最新設備が導入されているため、とにかくスムーズだったのだろう。 搭乗までの2時間ちょっとを、免税店の物色、朝ごはんにラーメン(羽田空港から海外へ飛び立つ際は何時であろうといつもラーメンなのだ)、そしてnoteの執筆にあて

      • 生きていれば69歳

        親愛なる母へ お元気ですか?彼岸前の東京はまだ厳しい残暑です。あなたのいるところはいかがでしょうか?きっと快適なのでしょう。 このようにたまにオンライン上にあなた宛の手紙を公開していますが、天国には届いていますか?そちらでもWi-Fiが使えるようになっているかもしれないと思ってのことですが、いかがでしょうか。 「天国に届いているかも」などという発想を馬鹿げていると感じる人も多いかもしれませんが、それでも私は定期的にこのような記事を書いていこうと思っています。だって、死後

        • 今日の最後の晩餐

          出国の前日というのは得てして慌ただしくなるものだ。 今日は朝から荷造りをして、日中はバタバタと仕事をした。夕方の予定が急にキャンセルになったのが幸いだったが、それでも夜6時ごろまで忙しくしていた。 明日の朝の便でパリへと向かう。このnoteをアップした数時間後には家を出なければならない。 出国前にいくつか買い足したいものがあったので、夜は新宿へと出かけた。ハンズや本屋を回って買い物を済ませた時には7時半過ぎになっていた。 なんだかひどくお腹が減っていた。 さて、何を

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        言葉の刃物

          インタビュー裏話

          今日は朝から電話会議やらミーティングやら雑務やらに追われていたが、私は“心ここに在らず”で、ソワソワし続けていた。 それは私のインタビュー記事が掲載されたBrutusが今日発売だったからだ。小特集「GOOD COSME for Mr. Brutus」の『だから今、香水』の1ページがçanomaになっている。気になる方はぜひ見てほしい。 どのような誌面になったのか気になっていたが、午前中はどうしても買いにいけなかった。 昨日の夜に“フライング”で発売されるのではないかと思

          インタビュー裏話

          人のために悩む

          今日が連休最終日であるということに私は絶望していた。出張の疲れが全く抜けずにこの日を迎えてしまったのだ。疲れもうまく抜けぬまま、火曜、水曜の過密スケジュールをこなし、木曜の早朝の便でパリへと向かう。 大丈夫か、私…? そんな中、今日は3つの予定を梯子した(その前に、午前中は東京オペラシティで開催されていた『高田賢三 夢をかける』という展覧会の最終日に駆け込んだ。大変よかった。大変よかったが、これのために朝きちんとした時間に起きたことも、今の疲労と睡魔につながっているような

          人のために悩む

          あれから9年が経ちました

          夜9時過ぎに帰宅して外に干していた洗濯物を取り込もうとすると、ちょうど雨の降りはじめだった。幸い洗濯物は濡れていなかった。急いで取り込んだ直後に雨粒は大きな音で地面を叩き出した。 今日は何だか“ツイてる”1日だった。スーパーでは「ピュアホワイト」という白いトウモロコシと少し安めのシャインマスカットのどちらも最後の1つをゲットできた。コーヒーが美味しく淹れられて(豆はもちろん、大好きなDelecto Coffee Roastersのものだ)、電車の乗り換えがスムーズだった。外

          あれから9年が経ちました

          移動は大変で大切

          島根は出雲空港から羽田へと向かう飛行機の中でこの記事を書き始めた。今回は早朝の新幹線で広島に向かい、そこでミーティングとマーケットリサーチを済ませて1泊、翌早朝のバスで出雲に向かい出雲大社へ。その後車で松江に一度行き、また出雲へと戻ってお店をいくつか巡り、空港でバタバタと夕飯を済ませて夜8時前の飛行機に乗り込んだ。飛行機の出発が少し遅れてくれたのがむしろありがたかった。 時間があればもっといきたいところはあったのだが、取り急ぎ当初行きたかったところはだいたい周れたからよしと

          移動は大変で大切

          鹿と出会う、2度

          少し仮眠を取ろうと思ったら、例によって寝落ち。noteは一文字も書けていない。深夜3時、広島のビジネスホテルで私は筆を執ったところ。 仙台藤崎での1週間のポップアップから中2日で広島出張に来た。早朝の新幹線に揺られ午前11時ごろ広島駅に到着。そこから車で30分くらいの場所に移動し(広島の道って、どうしてこんなに運転しにくいの…?ぷんすかぷんすか…)長めのミーティング。夕方ごろに広島駅の方に戻り、早めの夕飯(ランチをスキップしてしまった)の後マーケットリサーチであちこちうろう

          鹿と出会う、2度

          新潮社、大好き!

          昨日のお昼過ぎに1週間の仙台出張から帰宅した後、今日までずっと東京でバタバタと過ごしていた。明日は早朝から広島出張。正直、かなり疲れている。 1週間家を空けていて困ることのひとつは、荷物の受け取りである。昨日と今日はこの1週間で注文していたあれこれをいっぺんに受け取ったので、部屋の中が段ボールで溢れかえってしまった。ただでさえ整理整頓が苦手な私、これらの段ボールを片付けられるのはいつの日になることやら… ところで、数日前から気がかりなことがあった。「新潮ショップ通販事務局

          新潮社、大好き!

          解像度と愛とおやすみと

          今日は違うテーマで書こうと思っていたのだが、夜の出来事によって気が変わってしまった。 そういう日はたまにある。ちなみに今日は本当は「お返し禁止令」という内容で書くつもりだった。近日中にそれについても書く予定だ。 今宵は3人での会食だった。会食とはいっても、完全に仕事ではなく、かといってプライベートとも違うような、そういった会だった。独立して仕事をしていると、そういう機会がままある。 素敵な夜だった。とある業界の人ふたりと一緒だった。かなり長いことお店にいたが、とにかく話

          解像度と愛とおやすみと

          透明人間にはなりたくない

          「透明人間になってみたい」と思ったことがある人はどれくらいいるだろうか。私はあまりなりたいとは思わない。もしなってみたら、ひどく寂しい思いをするような気がしているからだ。 仙台藤崎でのポップアップ「KAORI LOVER」が無事に閉幕した。今年は去年以上に若い方々に来てもらったような印象がある。いい傾向なのではなかろうか。 ブランドを立ち上げてもうすぐ4年、ポップアップでの店頭接客は何度もこなしているはずだが、私の接客スキルは向上する気配を見せない。私は私なりに一生懸命、

          透明人間にはなりたくない

          私は、修行僧ではありません。

          仙台の「KOKO HOTEL 仙台駅前 West」に1週間ほど滞在しているが、朝食が美味しくて助けられている。おかずの種類も多くヘルシーな朝ごはんを楽しめる。毎回シェフのスペシャル料理があり、それもまた嬉しい。今朝はうなぎの入った炊き込みご飯がありテンションが大変上がった。もちろんとっても美味しかった。 身支度を整えて荷物を持って1階の会場で朝食をとってから仕事に向かうのがルーティンになった。8時半過ぎの朝食会場は半分ちょっとの席が埋まっている。日本人が多いが、外国人もちら

          私は、修行僧ではありません。

          「無知」と「正義感」

          先日、都内で車を運転していたときのこと。 信号が青になっても前の車が発進しなかったので、前の車に知らせようと、クラクションを鳴らそうとした。ところが、それまでの人生でクラクションを鳴らしたことがなかった私は、どのくらいの強さで押すべきなのかわからず、恐る恐る触り、“すかしっぺ”のような中途半端な音を出してしまった。 そのあと勇気を出して少ししっかりめに押し、“それなりの音”を出したが、前の車はびくともしなかった。ハザードランプを出し車を降りて、前の車を覗き込むと、運転席で

          「無知」と「正義感」

          白いフラミンゴの私

          土曜日の午前中、私は仙台藤崎のポップアップイベント「KAORI LOVER」の店頭にいた。 その朝はどういうわけか、他のブランドには人が入っているのに、çanomaのブースには誰も立ち寄ってくれなかった。午前中の1時間半、結局一度も接客することはなかった。 何が悪いのだろうか。とっかかりのないニュートラルなデザインのせいか、香りを簡単に試せるテスターを置いていないせいか、それとも私の80年代の香港マフィア風の服(メガネはMASAHIRO MARUYAMAの赤いもの、シャツ

          白いフラミンゴの私

          月の見えない部分

          どのような業界にも表があれば裏がある。 このように書くと、それには複数の顔があるように感じるが、実際のところは月のようなものであるとも考えられる。業界にはただひとつの実体があるだけで、それが外から見えるのはある一面だけ、ということなのではないだろうか。 このように考えると、一般的に“裏”と考えられている部分も、あるいは“必要悪”なのかもしれない。そういった裏側が存在することで初めて、美しい満月を地球にいる我々は楽しむことができるのだ。 そんなふうに世の中を捉えるようにな

          月の見えない部分