夕星みみ

好きな世界を広げたい。星空が好きな物書きです。ほんの少しでも、誰かの心を灯すことができたら。

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マガジン

  • きらきら星

    大好きな星空のこと。 これを読んだあなたが、美しい星空に出会えますように🌠

  • うさぎのおみみ🌱

    日々のこと。私なりに感じたこと。 おさんぽ気分で、読んでいただけたら嬉しいです⛅

  • うさぎのおくち🥕

    食べることが好きです。 食べ物のことを書いた記事をまとめました。

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初日の出

空の玉手箱がひらくと 雲の煙がみるみるあふれ 白き光がみるみるみちて おおきな富士の頂きに うつくしき珠の姿 垂れた光の帯が 山肌を漆黒に染め上げ 輪郭を浮かび上がらせる 数多の光の矢が 新年を祝福するように一斉に解き放たれて 草木を目覚めさせ 湖をかがやかせ やがて太き黄金の腕へと変わり ぐんぐん空を押し上げる 私と目が合うと この小さな心も やわらかく押し広げた あおい湖面で光がはねる 富士からつづく白き道が ゆらめいて白き影となり

    • 今朝投稿した記事の中で、オリオン座の“小三つ星”の漢字を間違っていました!(読んでくださった方、すみません。) “小”さな三つ星で“小三つ星”です🌠

      • 秋の真夜中に

        快晴に恵まれた日の夜。 眠れなくて布団を抜け出す。 冷たい窓、冷たい空気、星の気配。 目が暗闇に慣れるまでの時間がもどかしい。 南の空にひとつ、ふたつ。そのあとはあっという間だった。白い光の粒が視界いっぱいに飛びこんでくる。 こんなにも、星・・・・・・ 真夜中の住宅地。家々の明かりは消え、惑星や冬の1等星たちがひときわ輝く。 秋の星座は控えめな星が多いけれど、この時間は恥ずかしがらずにその優美な光をはっきりと届けてくれた。 見える星の数が想像していた以上で、くらっ

        • 雨の土曜日

          朝から雨が続いている。 目的もなく走らせた車は私を遠くに連れていってはくれるけれど、ときめきや発見を与えてくれるわけではなかった。 知っているようで知らない道の赤信号に出会うたびにコマーシャルのように流れていた思考が途切れ、また流れ出す。 車を降りようとすると雨足が強くなる。 さっきまで小降りだったのに、と皮肉を込めて傘は車内に置いていく。 チェーン店の回転寿司屋。駆け込んだ店内は、遅めの朝食とも早めの昼食ともいえる中途半端な時間帯だからか土日なのに客が少ない。 こういう

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        記事

          懐かしい歌声

          学生たちの帰宅時間。 黒い制服に身を包んだ男子中学生たちが夕暮れの道を楽しそうに歩いている。 おしゃべりに夢中になっている集団の横を車で慎重に通り過ぎ、道を曲がって住宅地の奥に進む。すると、同じ制服を着た後ろ姿をもう一人見つけた。 こちらもゆっくりと追い越す。その時、窓越しに彼が両腕を大きく動かしているのが見えた。 胸に風をかき集め、解き放つような動き。 あ、合唱コンクール。 校内合唱コンクールは、確かこの時期だったはず。彼は指揮者なのだろうか。車通りが少ない住宅地

          懐かしい歌声

          秋に染む

          彗星が落ちていく 月はのぼり 雲は満ち引いて 部屋も私の瞳も 深海色に沈みゆく 秋桜が花ひらく 空は高く 川は光り 蜻蛉羽ゆらめいて 土星の実がはじけ 葉は木星もようを描き 銀河の形にミルクティーは回る 鼻をくすぐるのは 懐かしい甘い香り 白鳥の羽ばたきが 遠くに聞こえる 私にもあなたの宙にも 宇宙色の秋が来る

          月の記

          ◇9月18日 ススキの穂が玄関先で朝の光を浴びていた。 光に透ける穂の束は私が近くを通るたびに小さくそよぎ、やわらかい時間を運んでいく。 穂に顔を寄せる。黄金色の穂先を間近に見れば、ふさふさした睫毛に見えてきた。 睫毛にのせた      淡き想い 夜風を味方に      見上げれば 光る君の    目映き姿 見つめるほどに       染まりゆく ススキの色は      恋の色 私はふだん、月に女神を重ねることが多い。月といえばかぐや姫が浮かぶから、

          月と聲

          細いお月さまが お耳の形に見えた ねぇ すこし聞いてくれる? 色々あったんだ 心配も不安も とまどいもあったけれど やさしさにも触れられたよ 言わないけれどきっと 誰もが それぞれに 抱えているの だから 今だけ 見上げた人に お月さまのお耳を かしてちょうだいね

          確かなこと

          学生時代の記憶は断片的で、ぽろぽろとこぼれ落ちている。 思春期の頃はとくに。 教室、登下校、放課後、部活、休日、選択授業・・・・・・ その時々でグループが変わり、その人だけにしか見えない顔を、いくつも持ち合わせていた気がする。 友人と何を話していた? 毎日何を考えていた? 私はどんな人間だった? SNSを極力避けているから、同級生との繋がりをほとんど持たない。 差しのべてくれた手をぎゅっとつかみ、本当に、本当に久しぶりの再会だった。 自分でも忘れてしまっている

          確かなこと

          今日は隠れんぼをした。鬼は太陽。木々のすき間からじわじわねらって、ついに「見つけた!」と嬉しそうに照らす。 そのあとは追いかけっこ。縮まらない距離が心地いい。日向と日陰のすごろくは、風まかせ。ひこうき雲も「まぜて!」と飛び込んできた。 涼しくなったら、今度はたっぷり遊びましょ。

          今日は隠れんぼをした。鬼は太陽。木々のすき間からじわじわねらって、ついに「見つけた!」と嬉しそうに照らす。 そのあとは追いかけっこ。縮まらない距離が心地いい。日向と日陰のすごろくは、風まかせ。ひこうき雲も「まぜて!」と飛び込んできた。 涼しくなったら、今度はたっぷり遊びましょ。

          0への手紙

          雷鳴 風の唸り なだれ込む雨音 雷轟、ふるえる空 稲光 心に浮かんだのは、数日前に訪れた海のこと 美しい青の一帯 風が止む そして、静寂 “もうすぐ、終わろうとしている” でも、決して終わりではない “そして、始まる” でも、すでに始まっている 0という数字の真新しさにどきどきする 生まれたての卵の形 始点と終点をなめらかにつなぐ どんな形にもなれる、最強の魔法 轟く雷鳴 はげしい雨風 そんな時に、心に浮かぶ景色がひとつでも多

          0への手紙

          夏の小枝あつめ

          頭の中は毎日おしゃべりだ。 こんなにもスラスラと巧みに(時には物語のナレーション風に、あるいは淡々とエッセイ風に)一人言を連ねているというのに、文字に残さないことで“何も無い日”と未来の私が振り返ってしまうのなら、それはあまりにも惜しい。 でも、書こうとしてはやめてしまう。 1、2行だけ書いてみたものの、続かないまま永遠に眠った文章がスマホのメモ欄に溜まっている。 だって暑いから。 言葉が、ぷわっと浮かんでパチッとはじける。 原形を忘れないうちに急いでこねてのばして広

          夏の小枝あつめ

          緑のボタンの話

          緑のボタンがひとつ、出て行った。 何も言わずに。 カーディガンの前ボタン。 いなくなった分の 広すぎる間と小さい点の跡。 どこで、いつから? 足下も辺りにも見当たらない。 座ろうとしていたオレンジ色のベンチ。 受け取ったばかりのソフトクリームが 溶けてしまうことの方が気になった。 そんなに遠くまで歩いていない。 甘くやわらかいかたまりを 口の中で溶かす間、 すぐ見つかるだろうと思っていた。 歩いた道も、車の中も、玄関も。 いくら探しても見つからな

          緑のボタンの話

          聞こえてくる音色

          か え る の う た が き こ え て く る よ どこから? 高い金属音のメロディ。 最初はオルゴールだと思っていた。 別の日に耳をすましていたら、次第に音が外れてトン、テン。 あれ? 途切れたメロディの代わりに「あー」と幼い子どもの声。 すぐ近所に小さい子が住んでいる。去年の今ごろは夜泣きする声も聞こえていた。 最近は早起きで、パワーあふれる声に私も元気をもらっている。 カラフルな鉄筋のおもちゃを想像する。 きっと親が叩いてみせて、子どもが真似している

          聞こえてくる音色

          地球のおりひめ

          会いたいのに 雲隠れ 満月に 誰が浮かぶ? ため息の 星屑が 天の川に のみこまれる夜 うおつりぼしの 灯火は いつまで赤く  かがやくの? 今宵は ひとり川岸で 夜風に 足を浸しながら 鼻歌で 静けさを消してみる うつむいていた あの向日葵は 明日は前を向くかしら

          地球のおりひめ

          7月2日の夜に想うこと

          7月がやって来た。 いや、“迎えにいった”。 やりたいことをやり切った。だから、7月が待ち遠しかった。 7月に爽やかなイメージを持つのは、7の形がそうさせるのだと思う。胸を張り、すっくと立っている。 何か変わったかと聞かれたら、特段何も変わっていない。 でも、自分にとって挑戦の期間だったこの3ヶ月間で自信につながるものを手に入れた。だから次のステップは、その分だけ軽く駆け出せるはずだ。 私は“のんびり”が好きだ。  “まったり”とか、“ゆっくり”とかも好き。 テキ

          7月2日の夜に想うこと