葉室麟『古都再見』 歴史小説は詳しくないが、歴史小説家のエッセイはなんと面白いことか。その中でも興味深かったのは法然の境遇であった。法然の父親は地方の役人であり夜討ちに遭って殺された。著者は法然にカラマーゾフの兄弟を見、ゾシマ長老を見出した。なんという視野の広さ、と感心した。
只今、葉室麟『この君なくば』を読み終えました。幕末維新の激動の時代を舞台に、私利私欲まみれの、展望のない私闘を許すまじの世界観が読み手を引きつけて止まない。 私にも「この君なくば一日もあらじ」という人がいると、言いたい、主人公 の栞のように。