見出し画像

「七息思案」とは?小説「いのちなりけり」より考える

いのちなりけり(葉室麟 著)を読了したので、記録します。
水戸光圀など実在した人物の出てくる歴史ノンフィクションで、第140回直木賞候補作です。

本作を読んだ正直な感想は「難しい」です。

歴史小説にあまり慣れていないためか、今とは違う名前の人物が多く出てきており、話の時間軸が前後したり、場所が京都や江戸になったりと変わって、物語の把握がしにくかったです。
特に名前が全く覚えられませんでした・・
そのためイマイチ理解が出来ずに物語が進んでいく感がありました。

※以下ネタバレを含みます※

物語の中で印象に残った言葉があります。
「七息思案」という言葉で、これは武士の心得を書いた「葉隠」の一節だそうです。

『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれた書物。肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝が武士としての心得を口述し、それを同藩士田代陣基(つらもと)が筆録しまとめた。

Wikipediaより

脱線しますが、葉隠には「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という有名な一節もあり、物語の中で幾度かこの表現も出てきています。

「いのちなりけり」においては、随所に書かれている葉隠の考え方が主人公の生き方をうつしており、それが周りや本人がいのちを考えるきっかけにもなっているのだなと感じました。

『葉隠』は武士達に死を要求しているのではなく、死の覚悟を不断に持することによって、生死を超えた「自由」の境地に到達し、それによって「武士としての職分を落ち度なく全うできる」の意である。武士として恥をかかずに生きて抜くために、死ぬ覚悟が不可欠と主張しているのであり、あくまでも武士の教訓(心構え)を説いたものであった。

Wikipediaより

「七息思案」について、本作では「いらずらに迷わず、さわやかに、凛とした気持であれば決断は七度息をする間にできる」と説明しています。

この言葉はとても印象に残りました。
情報がたくさんあり、他者の気持ちがこちらが意図しなくても容易に見えてしまう現代で、この七息思案は大切な言葉だなと感じたからです。

また、他にも「伝えたいことがあり、聞きたいことがあるのを恋というのでしょう」という言葉も印象に残っています。
飾らずにただそう思える相手がいることは、確かにそれこそが恋なのかもしれないと、ポエムでも書き出しそうな思いにふけりたくなります。

物語自体は難しかったのですが、行き方や恋についてなるほどと思う言葉を本作から知れました。

疲れた時はうさぎの動画を見て癒されましょう🐰💛 (犬も猫も鳥も爬虫類も…みんなかわいいですよね)