斉藤らむね

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斉藤らむね

読書馬鹿です!スポーツ馬鹿でもあります。フルバージョンの内容はこちらのブログで! https://www.ramunesaito.com/

最近の記事

東村アキコ/偽装不倫(2)

たんこぶ。 どうやらこの漫画は、 ドラマ化されているようだ。 たんこぶはどうなっているのだろう。 さすがに登場してないのかな。 テキストで表現されているのかな。 何ともユニーク、面白い。 ジョバンニとカンパネラ。 銀河鉄道の夜。 肉欲の現実性とロマンチックな物語。 そのバランスはいったい、 どう両立するのだろう。 どこでスイッチが切り替わるのだろう。 それともそれらは両極に位置するものでなく、 繋がっているものなのだろうか。 偽装不倫。 婚姻を偽装して、その上で不倫

    • 葉室麟/潮鳴り

      羽根藩シリーズの2作目。 1作目「蜩ノ記」は「隠密の花」がテーマ。 表舞台ではなく、誰にも評価されぬ、 それどころか無実の罪にて切腹が決まった中で、 誠実に清廉に生きる男の姿を描く。 対して2作目は「落花を咲かす」がテーマ。 一度落ちた花は、咲くことがない。 それでも、もう一度咲かそうという物語。 人生をやり直す、再起を果たすことは可能なのか。 人は挫折から立ち直ることができるのか。 堕ちるところまで墜ち、ボロボロとなっても、 そこから這い上がることが出来る。 そんな強いメ

      • 東村アキコ/偽装不倫(1)

        純愛のシチュエーションには、 どういったものがあるだろうか。 いがみ合う両家の認められぬ愛。 醜い容姿、深刻な症状を追う相手に対する、 献身的な愛。 自分が得るものは何もない。 相手を想い、相手に思われる。 愛のための愛。 障壁が高ければ高いほど、 それを乗り越える愛は深まる。 どうやらそうしたシチュエーションでは、 現代の純愛は測れないようだ。 多様な価値観が乱れ咲き、 共通認識がなくなりつつある今、 ある種、特殊な設定が必要なのかもしれない。 不倫。 結婚ではなく、

        • 東村アキコ/私のことを憶えていますか(9)

          スターと一般市民。 その接点はあるだろうか。 たとえ、かつての幼馴染だとしても、 そんな簡単には会えないかもしれない。 スターの日々は忙しいし、 プライベートで行動しようとしても、 その範囲は制限される。 自由に街角を歩くわけにはいかない。 光の当たる世界とは裏腹に、 影となる部分も多い。 誰かの強烈な支持を受けるということは、 その反動の批判や否定も強くなる。 主人公の仕事内容は、芸能ライター。 といってもゴシップを専門に扱う、 スキャンダラスな内容だ。 一般市民といって

        東村アキコ/偽装不倫(2)

          佐々木倫子/チャンネルはそのまま!(6)

          佐々木倫子さんが描く物語の主人公たちは、 僕が知る限りいつだって破天荒な女子だ。 時にふてぶてしく、時に天然に、 恐ろしいほど自らの欲望に正直で、 常識だとか相手の気持ちだとか吹っ飛ばし、 自分を中心に回る世界の中で生きる。 普通であれば、わがままで我慢ならぬ奴と、 周囲から露骨に敬遠され、 爪弾きにされてもおかしくない。 それなのに主人公たちは、なぜか嫌われはしない。 それどころか、周囲は主人公に振り回されながらも、 どこかそれを楽しむ気持ちになり、 ほって置けない気にさ

          佐々木倫子/チャンネルはそのまま!(6)

          高橋ツトム/JUMBO MAX(5)

          久しく離れていて戻った際、 すんなり戻れる物語ももあれば、 なかなかその世界観に浸れないこともある。 どちらが優れているとは、簡単には言えない。 自分の暮らす世界と親和性が高ければ、 比較的すぐにその世界に入っていきやすい。 一方、自分の住む世界からかけ離れるほど、 その距離の分、飛び込む時間が必要だ。 正直にいって、久々にこの物語を読み、 その世界に入り込むまで時間がかかった。 登場人物たちの心に共感するのに苦心した。 彼らがたどり着いた地平は、 一般人の生活からはみると

          高橋ツトム/JUMBO MAX(5)

          Number1054 日韓W杯 20年後の告白。

          この表紙の顔ぶれ! 今の日本代表に負けずとも劣らなぬ存在感だ。 それぞれの個性が際立ち、聳え立つ11の男たち。 巻末近くにパリサンジェルマン来日、 ジャパンツアー2022の広告が掲載され、 そのコピーは「全員、超人。」だ。 この表紙に並ぶ横に、 そのコピーがあっても違和感はない。 2002年から2022年。 あれから20年がたったか。 今や日本代表の大半は、欧州組が占める。 いやひょっとすると、全メンバーが欧州組か。 2022年の代表メンバーが発表前ということもあり、 現役

          Number1054 日韓W杯 20年後の告白。

          佐々木倫子/チャンネルはそのまま5

          とんでもないエースに化けるかもしれない、 「バカ枠」採用の女子と、 その面倒を見る優秀な「バカ係」の男子。 バカ枠女子はその馬鹿さぶりを存分に発揮し、 バカ係男子もまたその優秀さを髄所で見せる。 報道と情報と所属部門も異なるのに、 ことあるごとに二人は引き寄せいあい、 時に行動をともにする。 バカ係男子は心底、 バカ枠女子にうんざりしている。 その無神経さ軽率さに心乱れまくる。 夢にまで見てうなされる。 バカ枠女子はバカ係男子を、 自分をフォローしてくれる奴、 困った時に頼

          佐々木倫子/チャンネルはそのまま5

          葉室麟/蜩ノ記

          人が影響を受けるものは何だろう。 書籍だろうか。映画か。 スポーツか。芸術だろうか。 それとも日常のほんの些細な事か。 ありとあらゆるものに、人は影響を受け得る。 ただ何より人が影響を受けるのは、 人なのかもしれない。 書籍にしても、映画にしても、 スポーツも芸術も日常も。 そこにある人の気配に、 人の物語に影響を受けるのではと思う。 冤罪と思われる裁きによって、 切腹の時を待つ戸田秋谷。 城下から離れた村に幽閉される彼と交わると、 すべての人が変わるという。 清廉にして潔

          葉室麟/蜩ノ記

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(8)

          飽食の時代。 食べ過ぎより、 良いものをちょっとだけ食べる方が、 知性を感じさせる。 ドカ食いや肥満は、 だらしなさや怠惰さを感じもする。 ほっそりしなやかな身体の方が、ウケがいい。 流行りだ。 でも時代を遡れば、 あるいは今の時代でも国が変われば、 ふっくらが憧れだったり、 富の象徴だったり、流行りだったりするわけだ。 食べるという行為は、 人間にとって、いや生物にとって重要な行為だ。 生きる行為そのものともいえる。 熱意や意思を感じさせる。 今や、熱意や意思さえも 流行

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(8)

          仕事に行ってきます⑩ 図書館の仕事 祥弘さんの仕事

          中表紙の写真がいい。 図書館の通路で本を抱え、 カメラに向かって笑みを浮かべる。 もし様々な制約条件なしに、 自分が選んだ職業に就けるとしたら、 どんな職業がいいだろうかと考えることがある。 僕の中では、図書館員は上位候補に挙がる。 本に囲まれた中で、 自分のペースで本に関わる業務を行い、 本を愛する人たちに対応する。 幸せのひとつの形。 まあ、それほど良いことばかりでなく、 僕らが知らぬ辛いこと大変なことが、 たくさんあるのだろうとは思うけれど。 穏やか陽だまりの中の静か

          仕事に行ってきます⑩ 図書館の仕事 祥弘さんの仕事

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(7)

          もし、あの日あの時あの場所で、 あの出来事が起きなかったとしたら、 起きたとしたら・・・ 一体どうなっていただろう。 どうならなかっただろう。 すべての物事は変わり続ける。 そもそもが不安定な人間は尚更、 ちょっとしたことで、些細なことで、 瞬時に変わっていく。 次の瞬間、次の一瞬、どこにいるか分からない。 変わらないと思っていたものが、砕け散る。 登場人物たちの距離感・関係性は、 どんどん変わっていく。 近づいたり遠のいたり。 ただ高速で走る人の横で高速で走ると、 そのス

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(7)

          小島俊一/会社を潰すな!

          一冊で3つの物語を楽しめる本。 将来を嘱望された銀行員が仕事で失敗し、 地元の書店チェーンに出向となる。 かつての勢いをすっかり無くし不振にあえぐ書店。 銀行からは債権回収をすることを望まれ、 書店からはリストラを警戒される。 海外赴任した奥さんとは疎遠と四面楚歌。 1つ目の物語は、逆境から這い上がる男の物語。 粘り強く周りを味方につけ、 周りによって自分自身も変わる。 2つ目は、ビジネス書としての物語。 企業再生を果たす中で、 経営のノウハウ・視点・知識を学ぶことが出来

          小島俊一/会社を潰すな!

          松田奈緒子/重版出来!(18)

          久々の子熊ちゃん。 相変わらずの熱き編集者魂。 他人の面倒をどこまでも見る姿勢がすごい。 それを頑張ってやるのではなく、 当たり前にやってしまうところ、 楽しんで何気なくやるのがいい。 根っからの編集者体質なのかもしれない。 自分が主役になれるタイプなのに、 誰かを応援する方、支援する方に回る。 こんな心強いこともない。 そんな子熊ちゃん、今回は合コンにも参加する。 どうやら興味があるのは、 メンズではなく料理の方のよう。 どんなことを振られても、恋ではなく、 ひたすら料理

          松田奈緒子/重版出来!(18)

          Number1053 井上尚弥 無限の拳。

          モノトーンに浮かび上がる、 ファッションモデルのような男。 細身で引き締まった身体に、 自信と繊細さに満ちた表情。 モンスターと呼ばれる男。 ボクシング軽量級界の頂点に君臨する。 井上尚弥。 ボクシングに疎い僕ですら、名前を知っている。 顔を見れば、この人だとわかる。 それくらい圧倒的な人だ。 チャンピオンであり続ける。 無敗。 攻めても良し、守っても良し。 打たれないから、きれいな顔のままだ。 日本が誇る世界チャンピオンたちが、 井上尚弥のどこが凄いのか語る。 左ボ

          Number1053 井上尚弥 無限の拳。

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(6)

          物語の設定が上手いと思う。 東京でゴシップサイトの記者となって主人公。 地元でワイナリーのオーナーとなった幼馴染。 子どもの頃の初恋の相手、年下の男の子は、 超人気の俳優となって現れる。 経済的社会的成功という意味では、 主人公が一番不幸だ。 昼も夜もなく、ひたすら仕事に追われている。 どうやら主人公は今の仕事が嫌いではない。 幸せとまではいかないものの、 充実感を覚えている。 幼馴染は主人公を不憫な状況ととらえ、 結婚したいと考えている。 子どもの頃から、 ずっと好き

          東村アキコ/私のことを憶えていますか(6)