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読書会「蛍草」✧♡

 葉室麟「蛍草」の読書会記録。
 結末を語る方も多いのでネタバレ注意です。

早くに両親を亡くし十六歳で奉公にでた菜々だったが、主人の風早市之進が無実の罪を着せられてしまう。驚くことに市之進を嵌めたのは、無念の死を遂げた父の仇敵だった。風早家の幼き二人の子を守るため菜々は孤軍奮闘し、一世一代の大勝負にでる。

蛍草のあらすじ

Aさん
 時代物は難しいと言うイメージがあったが、苦が無く読めた。
 奥様が可愛がっていた主人公、16歳の娘に襲い掛かる数々の大変なこと!でも、彼女を取り巻く周りの人の人情の深さに感じ入った。
 この小説で面白かったのは主人公が人の名前を聴き間違えるユーモア。彼女が一生懸命生きているうちに、すべてが「なんとかなる」という物語がよかったなあと感じる。

Bさん
 主人公の菜々の健気さを見ていると、周りが応援したくなる。菜々には健気さだけでなく、この世を生きていくしたたかさもあったと思う。
 出会った人たちの名前を間違う所も面白い。
 そしてあらゆる災難に対する菜々の態度の立派さ、その賢さ。
 すべてがうまくいきすぎますが、そこが面白かった。乗せられちゃったかしら?と思うところがスコシ、口惜しい。

Cさん
 この物語はBS時代劇で見ていた。葉室作品は元々好きです。この小説はただただ、面白かった。読後感が、明るく爽やかな小説。
 苦境にめげず懸命に生きる主人公の王道の小説だと思う。頑張ればなんとかなると思えれば生きられると、菜々の姿に想いました。

Dさん
 なぜ「蛍草」というタイトルなのだろうと初め思った。読んでみるとほわ~っと心をあっためる感じの小説。
 主人公の菜々はまだ16歳。そそっかしいところと、わきまえて才覚があるところの両方を持っている。菜々の仕える奥様も、物腰、気配り、昔の人は本当に生きていく知恵にあふれていると感じる。現代の我々よりずっと大人ではないか。女の子とは思えぬ剣の力が研ぎ澄まされていき、相手をやりこめるところとか、この小説は本当にエンターテイメントですね。

菜々


Eさん
 時代劇はあまり読まないので、言葉の意味と、漢字の読み方がわからなかった。この小説全体に、優しい空気を感じた。
 最後は、武士になったのか、平民になったのか?

Fさん
 葉室麟さんの小説はいつも読んでいる。まず表紙の絵がいつも綺麗なんです。奥様が菜々に「蛍草」と教えてくれる。菜々も、苦労しながらけっこうそそうもしていたり、この小説全体が暗い結末にならない。
 水戸黄門じゃないかと思う。出てくるひと、皆が菜々の味方になって行く。かたき討ちも成功して、いいところしかない。菜々のいとこの宗太郎さんが浮かばれてもいいと思いました。


菜々にツユクサを蛍草と教えるシーン

Gさん
 御主人の親戚に罰があればいいと思うようなひどい仕打ち。
 主人公の菜々の、人へのあだ名の付け方にユーモアがあり、笑うところも有り、時代物にしては読みやすい。
 時代物を読むと40代で老婆です(笑)現代で考えるとこの時代の年齢は2倍でいいんじゃないかと思います。たいへん面白く読みました。

Hさん
 この物語はこう決着するのだろうなと思ったような結末を、絶対に外さず最後まで持っていった。言葉も易しく、難しい言葉を使わずに我々読者に伝える。相手に伝えることの難しさを考えると、すごい力のある作家なのではと思う。厳しい出来事を書いているけれどあったかい結末。すぐ映画化、テレビ化しそうな読後感のよさ。この時代は、50歳までの人生だとしたら25歳で大人にならないとダメ。現代の我々の年齢で、今の生きざまはどうなのか考えさせられた。

I さん
 別の作家が、現代よりも時代劇の方が発想が自由に出来て良いと語っていた。SFとまではいかないが、嘘でもないことが書ける。
 正助ととよの言葉が可愛い。権蔵親分に石を投げるシーン。
 4歳になる孫が、口の中にむしがはいったと言った夜に、吐きました。むしが半分出て行って半分残っていると言う。小さい子供って面白いことを言う。この小説はエンターテイメントでお腹いっぱいです。

Jさん
 BSドラマで観たのが最初だったので、小説を読んでいると登場人物がドラマの配役で動いていたのだが、とても物語にぴったりだった。
 特にヒロインの菜々が清原果耶さんで、ピッタリの配役だ。
 物語は出てくる人たちがいい人たちばかりで、いい人たちに囲まれて、めでたしめでたしであった。

Kさん
 ドラマが先で小説を一気に読んだ。だんご平衛というキャラが好き。轟と肩を並べるぐらい強い剣士でありながら、どこかピリッとしない。どのキャラも、人間が完璧じゃないところがいい。銭形平次が好きだが、十手持ちは「半良半悪」で、そういうキャラがいるわけがないのだが、小説家に読ませる力がある。この小説も御前試合に敵討ちとかあり得ないと思うが面白ければいいと思った。時代物というが、現代劇では?と感じた。


あやのん
 皆さんの話を聴き、菜々が出会う人達の名前をちょっとずつ間違えてあだ名をつけていったことが、自分の世界に取り込んで、皆を味方にしていった術ではないかと感じた。菜々の幼くても身を捧げて主人に奉公する姿を見て、若い時の自分に、そういう態度で仕事に臨め!と言ってやりたい気分になった。若くて前向きな女の子には誰だって神様だって味方するとNHKの連ドラを観ていても感じている。

ドラマも見てたことに読んだ後、気づく✧♡