246.塩野七生の『ローマ人の物語』をあれだけ読んだのに、自分でギリシャ・ローマを書いてみたら、悉く彼女の見解と異なる感じになった。ギリシャ理解が異なり、素直にプルタルコスに従ったせいだろう。霊感の有無も大きな認識の差になっている。ただ巻末の英仏独伊の文献リストには頭が下がる。
238.この小説は、時間が渦を巻いている。伏線を張って、シナリオを回収して、謎の答え合わせをしている。そして今はもう存在しない多神教の信仰観に基づいて、自らの運命を委ねる。予定調和をこう描くとは。特に7巻、8巻は圧巻で一気に読めた。小説を書く者のなら、この技法は学ぶべきだろう。