![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172641076/rectangle_large_type_2_ae2db87e890fde98d04ab2add99ac5be.jpeg?width=1200)
「頑張れるときに、頑張れる人が」ーギリシャで出会った優しさ
前の晩、よく寝れなかった。
「明日何時に起きなきゃ」と思うと、どんどん目が冴えてくる
ギリシャへ向かうこの日ももれなくそんな感じの日で、
フライト前から後まで終始眠かった。
(せっかくギリシャにいるのに、疲れすぎて何も考えられない)
(でもホテルのすぐ近くにレストランがあるみたいだから、
そこに寄って、スーパーでヨーグルトだけ買って帰って帰ろう。
それで寝る。それだけ。)
そう決めて、ホテルに到着するなりさっと調べた。
トルコ料理とどこか似ているけれど、
スパイスが控えめで、ヨーグルトの優しい酸味がアクセントになっているギリシャ料理
シンプルで栄養たっぷりで魅力的な食文化。
そんな中で絶対に外せないのが「ギロピタ」
何を食べるか迷ったら、とりあえずギロピタを食べておけば間違いない。
でも今回は、ただ「近いから」という理由だけで選んだレストラン。
とにかく眠いし、疲れてるし、何も考えずに入った。
「食べて、寝る。」
それだけだったはず…
…だけど、お店のドアを開けるとローカルの人ばかり
メニューもなく、
サブウェイのようなカウンターに、出来立ての料理が並んでいる。
「え、どうやって頼めばいいですか?」
思わず声に出してしまったわたしに店員さんが笑顔で話しかけてくる。
「ヤーサス(こんにちは)」
"Hi 初めてかい?"
「はい」
"アレルギーある?嫌いな食べ物は?"
「ないです、なんでも食べます」
"OK、じゃあ10ユーロくらいで適当に盛るよ、美味しいパン持ってくるからそこ座ってて"
「あ、ありがとう!」
言われるがままに窓際の席に座ると、
すぐに紙のテーブルクロスがさっと広げられ、
その手際の良さに目を奪われていると
パンがポンと置かれる
「Enjoy、すぐ他の料理も持ってくるからね」
炭酸水を口に含みながら、ぼーっとパンを眺める
なんだか落ち着くなあ…。
そこから次々と運ばれてくる料理。
フェタチーズが豆腐みたいにドンと乗ったギリシャサラダ。
ギリシャ産のオリーブオイルがたっぷりかかっていて、
それだけで美味しい
気づけば、テーブルの上はあっというまにいっぱいに。
![](https://assets.st-note.com/img/1738414747-eLBfg2Tks7Kvc9DAWdU8wHVJ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738417080-ylPdRwYaB8xiWACcjUnI391f.jpg?width=1200)
「お疲れだね、You」
「はい、どうしてわかったの?」
「疲れが顔に出てるよ、メニュー決めさせるのも申し訳ないくらいだったからてきとうに盛った」
「助かったよ、今日は何も考えられなくて。」
「へいきへいき、頑張れるときに頑張れる人がちゃちゃっとやっちゃえばいいの。
(メニューを決めるとか)そういうのが大変に感じる時は疲れてるってこと。
だったら、僕みたいな人がちょっと助けてあげればいいだけ。」
英語が流暢な彼は、
当たり前のようにごく自然に、そんなことをさらっと言う。
感動しているわたしをよそに、
彼はさっとキッチンへ戻り、
「たくさんサービスで盛ったから、余った料理は、これに入れて持って帰りな」
と、アルミのテイクアウト用ボックスとビニール袋を渡してくれた
「ただいっぱい食べて、いっぱい寝るんだよ
僕たちの国の料理は最高だからね。お母さんが作ってくれたのもこういう味なんだよ だからEnjoy!」
爽やかな笑顔で去っていく。
その言葉と笑顔にじんわりと温かい気持ちになる。
疲れ果てていたはずなのに、
目の前の料理をゆっくり味わううちに、少しずつ心が落ち着いてくる
何回か来たことある友達の家にいる気分になってくる。
なんの期待もせずにきたけど、一つ一つ丁寧に作られていて、ちゃんと美味しい
お肉はほろほろ、ソースの味は絶妙で濃すぎず、
素材の味が活かされている
豆も野菜もたっぷりで栄養も満点。
食べ終えて少し余った料理をテイクアウト用ボックスに詰め、
「ヤーサス!」と店内に向き直って挨拶した
忙しそうだった彼は、それでも手を振ってくれた。
レストランを出ると、スッキリした気持ちになっていた
ちょうど昼寝の後みたいに、心地よいリフレッシュ感。
……あれ?「ヤーサス」って最後に出るときに言ったけど、
こんにちはだっけ?
ま、いいや笑
今ならちょっと幸せな気持ちで爆睡できそうだから。
帰りのフライトで、ギリシャ出身のキャプテンが言っていた言葉を思い出した。
“Make mistakes! I love to see people making mistakes.
Because that means they tried.”
ミスをするのは、挑戦している証拠。
どこかあたたかさと余裕が感じられて、
何気なく放たれたそのことばが、心に残った。
そういうふうに、どんと構えて、人のミスを許してあげられる余裕。
何かあったら全部責任を取る、という懐の深さ。
そしてあのレストランで聞いた言葉ももう一度思い出す。
「頑張れるときに、頑張れる人がやればいい。(助ければいい)」
人を助けるという優しさが、
まるで空気のように日常の振る舞いや言葉に溶け込んでいる。
ギリシャに行って、ところどころで出会うこういう気質に
わたしはあのときすごく救われた。
疲れも吹き飛ばすようなどでんとした感じが、
わたしはすごく好きだと思った。
次にアテネを訪れたとき、アクロポリスにも行ったけれど、
最初に入ったあのレストランの光景が
今でも一番心に残っている。
潔くて、自然で、温かい。
そんなふうに、
わたしもなりたいと思った
なんかそういう真に胸に届く優しさに
ただ憧れる
P.S.
![](https://assets.st-note.com/img/1738414646-hbz6u2A1BQxK9ZU4nmDGEHtp.jpg?width=1200)
パッとホテルの窓を開けると目の前に広がるのはこんな感じの家々だったよ
![](https://assets.st-note.com/img/1738414973-RMjrPGlSysvp8qDzbBfO7UxI.jpg?width=1200)
ギリシャ語の見た目が可愛い
ジョージア語と同じくらい個性的で魅力的な見た目の文字に惹かれましたとさ。
いいなと思ったら応援しよう!
![未来](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171332992/profile_8672fabfcf36fa5b08f1597d485734ed.png?width=600&crop=1:1,smart)