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サントリーニ島での地震と、人の温かさに支えられた日(ギリシャ)
憧れのリゾート地
一度は行ってみたい旅行先として名を連ねることが多い場所、ギリシャのサントリーニ島。
2月は閑散期という括りになっているが、別に気にしないよねとのことで行ってみることに。
小ぶりな飛行機でアテネからサントリーニ島の空港まで飛ぶ。
1時間もしないうちに、雲を抜け、青い海が広がる。
2月は時々天気が悪くなるらしいのだが、太陽も出てて、なんだか大変良さげ。ふたりともテンションが上がる。
今回は空港からは少し離れたイアに泊まった。
いわゆる、Theサントリーニ島の景色が見れる場所だ。
3日間景色を楽しみながらゆっくり過ごしたいねとのことで、海とカルデラを眺められるテラスがある、洞窟式のお部屋だ。
いつもは予算に厳しい我々も今回だけは少し奮発してみた。サントリーニだしね!みたいな。
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そんなホテルのテラスで美しい景色を存分に満喫したり、周辺を歩いてイアを探検した。
どこを歩いても、美しい街だった。
閑散期なのでレストランもほぼ開いておらず、お土産屋も1・2件程度しかなかったが、むしろ人が少なくて歩きやすく、私的には全然悪くなかった。
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1日目の夜、地震を認識
さて、夜になり部屋でゆっくりしてたところ、ふいに揺れを感じる。大きくはなく、すぐ終わったのだが。
サントリーニ島って地震あるんだね?みたいな間抜けな会話をした後、ふいにニュースを調べて、ちょい待てやとなる。
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え?え?と軽くパニックになり情報を色々仕入れ始める。
どうやら1月末頃からサントリーニ島周辺でM4前後の揺れが多発してるらしい。
その時点まででは大きくてM4.8を記録。
パニックを避けるために地元の学校も閉鎖になっているんだとか。
地震。1年以上ぶりに経験した。
ブリュッセルに住んでいると少なくとも地震とは無縁だったので。
まさか旅行先でそんなことになるとは。
もちろん日本人という括りでは慣れてるのだが、異国の地でこれはさすがに少し不安になった。
サントリーニ島には火山があって、随分前だが大噴火した歴史がある、と恥ずかしながらこのときニュースを調べる過程で知った。
地震のプレートがほどなく近くにあり、地震はまあまあ起きるということも。
政府の発表だと、この地震は火山の噴火には関係ないとされていた。(正しくは、"いる"。この記事を書いているいまも変わってないので)
ただひどい時は5分起きに揺れたりもするので、火山じゃなくても大きい地震の予兆かもしれない、という意見も見られた。
私は、それらのニュースや政府の発表を読みながら、どんなに科学的でも、楽観的な見解も、悲観的な見解も、「自然のことは結局誰にも分からないやん」と思ってしまうタチで。
とりあえず言えることは、自分の足元がそれなりの頻度で揺れるという事実だった。
2日目、予定の変更
翌朝、携帯を見たら夜中にまた地震があったようでGoogleさんからお知らせがきている。
うーーーん。
夫と話し合い、本当に残念だけど早めに帰ろうという合意に達する。
2泊3日で、3日目の夜の遅い便にしていたのだがそれを早めることに。
本当に早くて、1日早めて今日の便、と思っていたのだが、まさかのその日の便はすべて完売、空席無し。
同じ3日目ではあるのだが、早朝便に変えることがその時できる最善の対応だった。
その日も最高の天気で、テラスにいるだけで完璧な日になりそうなのだが、寝てたりゆっくりしてるとなんせ揺れを感じて悪い方向に物事を考えてしまいそうなので、
もうどうにもできないわけだし、気分転換も兼ねて、バスに乗ってフィラの街に行くことに。
イアからフィラにはバスで30分程度?で行けた。
バスターミナルの近くの店で、ピタを食べて腹ごしらえ。
不安でも腹は空くのである。←
ピタの店から見えたのだが、なにやら近くにあったフェリーのチケット売り場はすごい人集りになっていた。
飛行機が取れないから、フェリーで本土に帰りたいということだと思う。
テレビ局も来ていて、その様子を中継していた。
(そういうのが人々の心理を煽るんだから良くないなと思った。。)
そんなとき、皆の携帯がビーっと一斉になる。
日本でいう緊急速報みたいなイメージだ。
でも内容としては、「政府からのお知らせ」として、地震が起きてるから、火の始末とか気を付けてな、という至って一般的な内容。
恐らく政府としてはその地域にいる人に「通達した」という事実が大事なのだろう。
でもこれもあり、結構みんなの不安レベルは一気に上がった気がした。
ちなみに2/3時点で渡航禁止例や避難勧告など強制力の働くものは公式には出てなかった。
アテネからサントリーニ島への空便も船便も通常通りある。
わざわざネットで調べない限り地震の情報は来る前だと手に入れる機会が少なく、とりわけ大体の観光客は実際に島に降り立って「え、揺れてる?」と気付くという流れを辿っていると推測する。
ビーの件もあり、なんだかフィラの街を歩く気分でもなくなってしまい、すぐに宿のあるイアに帰還。
フィラにはピタを食べに行っただけだった笑
いくつかの出会い
イアに帰って私はまた街歩き。
猫たちは相変わらず今起こってることには無関心とばかりにぐーすか寝ている。
鳥たちもチュンチュンと元気良く飛び回っていた。自然界にはまだアラートは出てないのだろうという勝手な解釈をする。
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とあるレストランの前を通りかかったとき、ギリシャ人にWhere are you from? と声をかけられる。
日本やで、と返すと随分と陽気に話し始め、店の名刺を渡されるのと、自分の兄弟の奥さんが日本人でさーと言って、なにやら家族写真を見せてくれた。
多分わたしが日本人って思って声をかけてくれたのだろう。
もらった名刺には電話番号があって、空港までタクシーとか必要なら電話してや!!とのことだった。
ありがとう〜、と言ったあとに、地元民の彼にこの地震についてどう思ってるのか聞いてみた。
あ〜こんなのサントリーニでは全然普通ね〜〜!!
という回答だった。笑
日本のように島で、元々地震が少ない訳では無いので、心配になる気持ちも分かるがそんな騒ぐことじゃないと。
彼から圧倒的なポジティブバイブをもらい、私もぐっと心が軽くなった気がした。
声かけてくれてありがとう、と言ってその場を離れた。
夕方、夫も合流しイアの端にある教会の前まで歩き座ってたら、ひとりの日本人の男性と知り合う。
日帰りでサントリーニ島に来ているらしく、夕日の時間まで少し休憩しているようだった。
3人で喋っていたら意気投合し、夕日を3人で見ることに。
人当たりが良く、誰からも好かれそうな人で、楽しい時間を過ごさせてもらった。
仕事の話や海外旅行のことなど、色々なことを話した。
飛行機は夜便だというので、結局夕日を見たあとも我が宿で軽く食べ飲みしながら一緒に過ごした。
本人には言ってないのだが、その明るさに私達二人もだいぶ気持ち的に救われた気がした。
一緒の時間をありがとうございますと言ってくれたが、こちらこそ感謝だった。
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そして、彼が空港までのタクシーを探しているということで、「さっきの名刺!!!」となり、
まさかの早速の依頼の電話をかけることに。
オジ様のセールス、早速実になっててすごい。笑
さっきのオジ様が電話に出ると思ってたら、
電話口はまさかの日本人のお姉さんが。
え〜っ!となり、少し話したところ、さっきのオジ様が写真を見せてくれた、ギリシャ人の旦那様(つまりあのオジ様の兄弟)とご結婚されたあの日本人のお姉さんだったのだ。
当日の急な依頼にも関わらず、快く空港までの送迎を引き受けてくださり(しかも良心的な値段!)
、ありがたい話だった。
そして日本人のお姉さまとも少し地震の話をした。
ギリシャ人は用心深いからね!アラートとか出してるけど、もうこんな地震はこっちだと全然普通だから、心配しすぎなくて大丈夫ですよ!と前向きな言葉をいただく。
ポジティブバイブその2。しかも日本人からの。この言葉にどれだけ励まされたか分からない。
そして最後に、その空港までの送迎に来てくれたのがあのオジ様の兄弟だった。
もう主要登場人物の皆さん、大集合なのだ。笑
そしてそのブラザー、兄に負けずとてつもなく明るくて、今日一番のポジティブバイブを最後にくれる。
もし地震のことで心配になったらいつでも俺たちに電話してよ!!!というなんとも優しさと思いやりに溢れた言葉を残していってくれた。
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旅行先で被災する可能性があるということ
私は、これまでそれなりに海外旅行をしてきた。
35カ国程度は行っていて、そのうちの半分以上は一人旅だ。
だから勝手に自分はタフで、ある程度のことは大丈夫だと思ってたけど、今回の件に関してはさすがにちょっと気持ちを整理することが難しいときがあった。
だって、異国にいてもし被災となったら、ちょっとさすがに怖い。正直誰だって同じだと思う。
そんなときに、まず夫が一緒にいることは心強かった。そしてご縁で2日目に出会った人々にとても元気付けられた。
もちろん地震の頻度が高まっているという事実を受け止めた上で、しっかり最悪を想定して準備をしておくことは大事なことである。
ただもうなにもこれ以上なにもできないときに悲観になりすぎても、仕方ないのだ。
でも人間なんだから、恐れるという能力を持っている以上、完全にコントロールできないときがある。
そんなときに、前向きな言葉をかけてくれたり、そもそも地震とは関係ない話で盛り上がれたり、そんなふうにして私を前に持っていってくれた出会いにただひたすら感謝しかない。
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次の日の早朝便でわたしたちはアテネに戻った。
本日時点では政府は見解を変えておらず、この地震は数週間続く可能性があるが、大きな問題ではないとしているようである。
今も、これからも、サントリーニ島に何も起きずにまたシーズンにはたくさんの人の笑顔と活気で溢れることを本当に本当に心から祈っている。
※地震に関しては最新の公式情報をチェックしてください。
※つぎは写真多めでニャントリー島の様子をお届けします笑