東京・天使の詩―ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』
Ⅰ ベルリンから東京へ 『ベルリン・天使の詩』(1987)から35年、役所広司が天使になって東京の街に舞い降りた。といっても、彼には初めから翼はない。『ベルリン』の天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は当初、ランドマークの戦勝記念塔からベルリンの街を見下ろしていた。役所広司演じる「平山」―ヴェンダースが敬愛する小津安二郎『東京物語』(1953)の平山周吉(笠智衆)と同じ苗字だ―は、一貫してランドマークのスカイツリーを見上げるのだ。
本稿は、『ベルリン・天使の詩』を補助線とし