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初めての一人海外旅、ギリシャでの記録。なにもしないことの美学。


わたしの人生初、ひとり海外旅はギリシャだった。一人で行動を決められる日々。自分がどこに行き、何をやるかを、自分で決められる日々。自分のことを、自分ですべて決められる日々。そこで私が何をしていたかというと…


なにもしていなかった。



ほんとうに何もしていなかった。

私が行ったのは割と大きな島だったから、数日かけて回るお決まりの観光コースがあったのだと思うけど、わたしはそれらのほとんどに行かなかった。理由はシンプルに、めんどくさかった。


一人旅の前、2ヶ月以上、ヨーロッパ周遊旅を共にした友達とベルギーで別れた後、私はヨーロッパ旅の最後の国をギリシャに決めた。ロドス島という、トルコに近い島に飛んだ(その日ベルギーからはロドス着の飛行機が安かったからというだけで選んだ)。そこではAirbnb(民泊)でアパートの一室を借りて5日間滞在していた。


ふとカメラロールを辿ると、懐かしい現地での写真が出てきたので、そこでどんな生活を送っていたかを書きます。2019年のことである。

・・

ロドス島に着いたのは6月16日の夜だった。



アパートに到着し、近くの食堂に入って遅めの夕食をとる。近くにいた陽気なおじさんにギリシャのお酒を奢ってもらう。部屋に戻って0:00就寝。



翌6月17日。11:00起床(笑)アパートの部屋から外を眺める。外はもうすでに陽が高い。



コーヒーを入れ、リュックの中にあったシケたクラッカーとチョコレートを食べつつ、ベランダでぼーっとする。



15:00。ようやく外へ。周りを散策する。キッチンの調理器具が充実しており自炊ができそうなので、食糧調達のためスーパーを探す。



お金を下ろそうと思ったがATMがこれである。だめそう。



17:00。早めの夕食兼遅めのランチ。よく分からない野菜をよく分からないまま調理。



溜まっていた洗濯物を洗う。



キッチンで本を読んだりベッドで動画を見たり、ゴロゴロ。1:00就寝。



翌日12:00。アパートの管理人に勧められた近くのカフェへ行く。カフェラテとドーナツを食べる。



kindle内でずーっと放置していたおいた源氏物語をこの機に、と読み始めるが、今日もあまり読み進まなかった。



近くを散歩する。



風になびくギリシャの国旗。



主人を待つイヌ。



島には野良猫が多い。






16:00アパートに戻る。



ベランダでたそがれる。


17:00夕食。あとは前日と同じくダラダラ。0:00過ぎ就寝。



翌日10:00起床。今日こそ観光人らしいことをしよう!と、近くの城に歩いて行く。



観光客(多くはバカンスを過ごしに来たヨーロッパの人)がたくさんいた。みな良く日焼けしている。



城下には、昔の街並みが残っている。


この島の歴史をよく分からないまま来てしまった。





相変わらずここでもネコが多い。


そういえば、日本の島でもそうだけど、なんで「島」にはネコが多いんだろう?


レストランに入りランチ。


15:00くらいなのでお昼時でもないし、他にお客さんはほとんどいない。




17:00アパートへ戻る。夕暮れである。帰る途中で買ったコーヒーと共に、ベランダでたそがれる。夕食を作る。寝る。



翌日12:00。今日は海に行くぞ!と服の下に水着を着て外出。



海を目指す。


ビーチ!


パラソルを一ヶ所借り、海でちゃぷちゃぷ泳ぐ。しょっぱい。30分ほど泳いで、飽きたので砂浜で日光浴。水着が乾くと服を着て、退散。



帰り道に、アイスクリームを!ココナツ味とか最高すぎる。


少し遠回りして、路地裏散策。


路地裏は城より、市場より、海より、ずっとずっと面白かった。この島に来てよかった、と思った。



この島では夕焼けが青い。




翌朝。ロドス島を去る日である。わたしこのアパートの部屋が大好きだったな、としみじみ思う。



おわりです。こうして書いてみると、ほんとうに何もしていなかったのが分かる。リアルにアパートから3キロ圏内くらいでしか行動していなかったし、ギリシャまで来てなんでベッドでYouTube見てるんだろう、とか思った。

「今日を有意義に過ごさなければ」、「なにかをしなきゃ」という焦りは、旅先でも日本にいても、いつもうっすらとある。しかしギリシャにいたときは、もはやそんなことはどうでも良くなっていた。

それまで2ヶ月強ヨーロッパ周遊していた疲れもあったし、というか、「人間どこにいたって何をやったって同じだな」と思い始めていたから。それは、とても感覚的なものだけど。ギリシャから帰り、私は旅への執着というものがなくなってしまったように思う。



ギリシャ滞在時に残したときのメモが出てきたので、添付しておわりにする。


ブログ書かなきゃ、観光しなきゃ、時間がもったいない、とか、日本に帰ってどうすんの、とか、しるか。私はいま、幸せなんだ。ごろごろするのが好きなんだ、朝寝坊が好きなんだ、このベランダから見てる景色が好きなんだ、幸せなんだ、幸せなんだ、だから、もう義務なんてなんにもない。

やらなきゃいけないことなんて、ほんとは何もないんだ。ただ、ここで、いま私が幸せでいることの方がずっと実質的で、ああ、ここに来れてよかったなあ。ブログ、書かなきゃいけないなんてことは、ないんだ。いつでもやめてもいいもんねーだ。

ヨーロッパで3カ月くらして分かったことは、人間は、どこに行っても同じ人間で、だからこそ、人はどこにいても、等しく幸せになれるはずだということ。どこに行っても太陽があって風があって、どこにも街があって人の暮らしがあって、夜があって朝があって、どこに行っても、嬉しいことで笑うし、悲しくて泣く。

どこに行っても、笑顔は同じ意味を持っているから、わたしたちはたぶんどこにいたっていい。


なにもしないことを肯定してくれた、ギリシャでの日々。「べつに人生、何もしなくたっていい」と教えてくれた、ギリシャのベランダからの青い夕焼けが、私の骨の髄に今でも染み込んでいる。


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