七重丸

🦉🦧🦆🦕? 🐇「ねぇねぇ、ななえまるって詩とか書くらしいよ」

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最近の記事

【詩】オフィーリア

雨粒一つ 手の甲に 落ちてはじめて 空を見る 見慣れた山が ある方に 蛙のような 雲がいる 追い払っても 詮無いことで もっと詮無い にらめっこ 濡れる足元 重くなる袖 仰向けに倒れ 込むラッコ 空の海落ち 街を飲み込み ソーラーパネル 魚になった アルバム一つ 波間漂い あの頃の夢 消え去った 肺に後悔 今流れ込む こんなものさと ただ涙飲む しかしふと見た 霧の先には 「まだよ」と首振る オフィーリア 「まだよ」と首振る オフィーリア

    • 【短歌】秋は巡るよ一巡り

      釣竿の 先にとまった 赤とんぼ 時の流れを 覗きこむ午後    秋湿り 時の流れを 噛みしめて また踏みしめる 駒場の落ち葉    並木道 落ち葉巻き上げ 走り去る フォルクスワーゲン 目指すは高原   ワーゲンの Wにトカゲ 突き刺して Vに腰掛け 「撮りなよ」とモズ   贄くわえ 通り越すモズ 枝探し やわいコスモス 未だモズ来ず    コスモスが 顔で目を引き 隠すのは 枯れた下葉の 乱れたすね毛    一本の すね毛にぎゅっと 足寄せて とまる

      • 【詩】爆破解体

        料理は冷めて 円卓の 上は手悪さ会場と化す 下では脚の 矛楯を 振るって君と 膝つつき合う この食事会 とかいうもので 帰り支度が お気に入り 帰り道こそ オー シャンゼリゼ! 閉会の辞は お断わり 車の中で うなずくは Kanye Westの "Runaway"の歌詞 「俺から逃げろ 逃げるんだ」 そうだ行け行け! 餞別はなし 全てがダルく 鬱陶しくて 溜め息マシン 音が鳴る ジャンヌがダルク 誰だよおまえ? あと5秒したら イヤになる  それから5秒 スマホが光り 画

        • 【詩】あるモグラの死

          蝶番が外れてしまった 僕をかろうじて未来に繋ぎ止めていた 友という蝶番が 太陽に凝視され転がっている 夏の青空はまるで 拒食症モデルのアイシャドウ 膨れ上がる積乱雲は のっぺらぼうのミシュランマン 舞台『狂気の季節』の死体役に 君は選ばれてしまったらしい メトロ、君はいつだって必要な時に 僕の寝ぐらの壁をぶち破る 塞ぎ込んだ僕の心を つるはしで一突きする ビンゴカードのリーチの箇所に 風穴を空けるように そしてよく連れ立って 憂さを晴らしに出掛けた 颯爽と歩くジョニー・ウォ

          【詩】キッキ キビタキ!

          枝から枝へと黄色の矢 空中に描く光の輪 虫は冷や汗逃げ惑う 人は見上げて群れ集う めくれや図鑑 震える手 落として割れるハズキルーペ どこから来たのだね?君たち 「キッキ キビタキ!」とキビタキ   お地蔵さんの硬い肩 ちょこんと乗りくつろぐお方 お遍路さん驚いて問う 「OK Google! いつもこう?」 二度見三度見 見開く目 なんてことだ!とひろげる手 どうして居るのだね?君たち 「キッキ キビタキ!」とキビタキ   探すもどかしさたとえれば 「二階から めんつゆに

          【詩】キッキ キビタキ!

          【詩】丸焦げポテト

          水が止まった 噴水の 側を後ろ手 組み歩く 少し剥がれた 敷石を 靴で踏んだら 端が浮く 午後の日差しは はちみつ色で 甘い追憶 脳裏に垂らし 瞼の裏に 広げられた絵 なびかせるのは 秋の木枯らし 「イチョウはナゲット じゃああれは?」 「もみじケチャップ 竹はストロー」 「たぶん手水舎は フライヤー!」 君とふざけた あの日を想う 落ち葉のように 散る暦 掴もうとしても 降り積もり 君に会えたら 言いたいよ 「秋の桜は 丸焦げポテト」

          【詩】丸焦げポテト

          【短歌】秋の詰め合わせ

          彼岸花 通りすがりの あなたへと モグラが「はいッ!」と 渡す花束 秋の香を 深く吸い込み 溜め込むは 甘い吐息に 使うためなり  思い出は 金木犀の 枝を差し ひねれば開く 鼻が鍵穴   渋柿を 投げ過ぎた猿 肘壊し ドラフトの日の 胴上げ想う そのさまに 葉っぱも色を 失って モズのくぎ付け モズにくぎ付け

          【短歌】秋の詰め合わせ

          【詩】酒神

          包囲を受ける 軍人も 政敵前に 貴婦人も 酒をあおれば 仰がれる 獅子と見まごう 英雄に マッチ擦れば 引火して 燃えるたてがみ 酒の神 アルコール度数 表記には 「6」の数字が あるものの こちら逆立ち やめたなら 不思議と瓶に 「9」の文字 太陽頭 下にして 逆立ち中の 午前2時 重低音は 鳴り響き 虚ろな心 震わせる 星は二つか? いや一つ バスに揺すられ 夜空舞う 席に身を投げ 咳一つ バスに揺られて 君は酔う 乾ききりたる 土の色 砂埃上げ 視界なし ワイング

          【詩】酒神

          【詩】ろうそくの火

          ろうそくの火は 花びらで 吐息を受けて 舞い揺れる 浮かべる水も ないままで 芯を伝って 舞い落ちる 「退屈」「焦燥」 表、裏 不意をつき急に 入れ替わり 飴の入った 缶のふた 叩く中指 ふと止まり どれだけ音楽 流してみても どれだけ写真 貼り付けても 散文的な 日常はどれも 同じ顔をした おぼろ雲 スマホの画面 鏡のように 文明の忙しなさを映し スワイプスワイプ 右から左 夕陽スワイプ また次の日 置き配された 白い箱 爪で引っ掻き 開けてみる 中には瀕死の 伝書鳩

          【詩】ろうそくの火

          【詩】朱色、青空、黄金色

          稲荷の朱色はよく澄んだ 秋の青空に寄りかかる 西陽は窓を覗き込み 頬杖さえも黄金色 駅前 車がひと周り 風と落ち葉もひと周り 人生はコインパーキング お取りください駐車券 行き交う革靴、コンバース 名無しの権兵衛、ごんぎつね みなで見上げたうろこ雲 微笑み交わすもすぐ別れ 一人だと長すぎる 秋の夜 二人には一瞬の 人の世

          【詩】朱色、青空、黄金色

          【詩】月夜の街

          冷たい北風に吹かれて 街の灯りが震えている 真っ白な月が夜景の上を 横へ横へと滑って行く 暗い足元で踊る木の葉 車が通る度に鳴るシャッターのシンバル この夜空が黒板だったなら 「まだここにいるよ」と書き記したい チョークの粉が雪のようだ 三日月に伝言板を引っ掛けられたなら 「君はどうしてる?」と尋ねたい チェーンの玉が雨粒のようだ 遠くの信号が青から黄色に そして黄色からほどなく赤へ 鮮やかな機械仕掛けの紅葉 都市のあちこちで点滅する四季 マンションの窓がまばたきをして

          【詩】月夜の街