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ギリシャ旅行記 (備忘録として)

※10/31に微妙に追記しました。

SNSや直接会った人にはお話ししていたので知っている方もいると思いますが、10月3日から11日にかけてギリシャに旅行してきました(現地の友人曰く、6月から9月は暑すぎるので観光に向いていないとのことです)。渡航に際してアドバイスをくださった方々、本当にありがとうございました!周囲でギリシャ渡航経験のある人が把握している範囲では皆無かつ心配性な性格だったので帰りの帰国までは不安が付きまとっていましたが、なんとか楽しみながら滞在できたと思います。
そもそもどうしてギリシャに興味をもって行きたいと思ったのか。これについては日本でもギリシャでもよく訊かれました。個人的にはギリシャの文化/文化観に興味を持ったからです。立地の面でいえば、ギリシャは地中海に面しているほか、イタリアとトルコに挟まれています。すなわち、EUの国の一つではあるものの、ヨーロッパ的な文化と中東/東アジア系の文化が流入し独特の文化形成がされているのではないか推測していました。
実験音楽に絞って考えてみても面白いです。有名どころでいえば、現代音楽の重鎮のIannis Xenakis、映画「炎のランナー」や「ブレードランナー」などの音楽を担当したVangelis、電子音楽の作品としてはかなり有名なレコード[Greek Electronic Music 1]もあります(タイトルのとおりギリシャの電子音楽家の作品を紹介しています)。レーベルも、ぱっと思いつく範囲だけでもThalamosOrganized Music from ThessalonikiRekemGrannyMore MarsDasa TapesAntifrostなどがあります。また、レーベル兼ショップのStellageは現在アテネにお店を構えています。
ギリシャ出身の実験音楽系作家もかなりの数が思い浮かびます。Tasos StamouYannis Kyriakides(彼の作品でギリシャの伝統音楽であるレベティコ(Rebetiko)の存在を知りました)、Kostis KilymisDimitria Lazaridou-ChatzigogaVasilis Liolios(Eventless Plotのメンバー)Savvas MetaxasCostis DrygianakisMMMD(旧Mohammad)Jani ChristouSpyros Polychronopoulosなどなど。枚挙に暇がありません。
自分のレーベルzappakでもすでにギリシャ人の作品を3作リリースしており(Elena KakaliagouCharis PazaroulasDimitra Kousteridou)、さらに現在進行中のもので2作品あります。そんなこんなで、はじめてのヨーロッパ旅行の目的地はギリシャとなったのです。

Various [Greek Electronic Music 1]

今回の旅行の日程は、3日から5日までテッサロニキ(Thessaloniki)、6日の朝に飛行機で移動して、以降11日の朝までをアテネ(Athens)で過ごしました。当初はもう少し色々な場所に行きたいと思っていて、渡航前からコンタクトをとっていたベニューnekubiでライブするためにカヴァラ(Kavala)に、複数の友人からの勧めで港町のヴォロス(Volos)に、そして崖の上にある巨大な宗教建築メテオラ(Meteora)を見るためにテッサリア(Thessalia)地方にも行きたいと思っていましたが、「(おそらく)最後の家族旅行に」と両親が同行することになり、あまり移動せずに街の雰囲気をゆったり味わう旅行にしようと変更し、今回のスケジュールとなりました。とはいえギリシャの知り合いが多くいたのもあり、機会があればライブしたいなと思っていたので、各都市で1公演ずつ予定を入れました。テッサロニキでは5日に「MOMus」という国立の(?)美術館シリーズのなかのExperimental Center for the Artsという場所でおこなわれたフェスティバル「STEREOMA」に参加し、アテネでは6日にOv Off Studioにて弊レーベルzappakのレーベル・ショーケースをおこないました(なお、ベニュー名はギリシャ語表記で、「Ov」は英語で「On」の意味です)。

8日ほど滞在していて記録したいことがありすぎなので、全体を総括するようなしっかりしたまとめかたはせずに、滞在日ごとに記録していきたいと思います。なお、各名所や店舗にリンクがある場合は旅行ガイド系のサイトか公式サイトに飛んで住所など詳細を見られます。

ちなみに、旅行には簡単な挨拶を覚えてから行ったのですが、現地で使うと割と嬉しがってもらえたので、覚えておくといいと思います。僕の場合、実際の会話でよく使ったのは「ειά σας!(ヤーサス!/こんにちは!)」と「ευχαριστώ(エフハリスト/ありがとう)」です。使いやすいうえに言うチャンスは結構あるかと思います。また、実用性は低いですが「Είναι κινέζικα!(イネ・キネジカ!/それは中国語!(=難しすぎ!(英語でいうところの「It’s Greek to me!」のギリシャ語バージョンです)))」も現地の人との会話で使いました。それぞれのアクセントなどはググっていただければ。


10/3(木): テッサロニキ1日目

2日の夜に羽田空港を出発してトルコのイスタンブールで2時間ほどのトランジット、そこからテッサロニキに移動して3日の朝に到着しました(計14時間ほど/日本からギリシャへの直行便は現在ありません)。テッサロニキ・マケドニア空港からテッサロニキ中心部まではタクシーで1時間弱かな?空港でUberを使用して移動しました(ギリシャ国内でUberで呼べるのは正規タクシーのみです)。ここではホテル・ルクセンブルク(Hotel Luxenbourg)という場所に泊まりました。ホテルのWi-Fiを設定して購入した海外SIMカードの動作確認をしたのち、ゆるりと近場を散策しに出かけました。夕食は有名店のThe Rougaにて。

ホテル・ルクセンブルク外観。ビュッフェ・スタイルの朝食付きで3名1部屋を予約。部屋などはちょっとボロい印象で、カギ穴が緩んでいるのが少し不安でした。3つ星ホテルではトイレに紙は流せないことが多いので注意しましょう(ルーム・メイクは依頼しない限りやってくれません)。
ライヴ会場の下見として港の倉庫街にあるMOMusへ。すでに展示はやっていたので雰囲気を知るためにもふらっと行ってみました。小さなスペースですが面白い感じでよかった。倉庫街も小さいので短時間でぐるっと散策できます。行った日は軍艦が泊まっていて、(入らなかったですが)中を見ることもできるようでした。
昼食はMOMusから目と鼻の先にあるサンドウィッチ屋さん(?)のチェーン「Gregory's」にて。ギリシャで飲めるアイスコーヒーは基本的に「Espresso Freddo」というエスプレッソに氷を混ぜてシェイクした飲み方のもので、泡立っている層の下に少し薄いアイスコーヒーが入っている感じ。
散策したテッサロニキの海岸近くの様子。横浜を少しローカルにしたような雰囲気で、きれいな街並み。路地に入れば穴場風なレストランやタベルナ(比較的安い料理のレストラン)がたくさん。
夕食は事前に日本人旅行者のブログで見つけていた「The Rouga」にて(めちゃくちゃ広いうえに大人気店でした)。この写真は「Mediterranean Variety」という前菜のコース。ヨーグルトや豆のペースト、ドルマーデス(米などをブドウの葉でくるんだもの)、魚の酢漬けなどなど。
カラマリ(Calamari/イカのフライ)とスヴラキ(Souvlaki/串焼きの肉)。スヴラキは「3本ください」と言ったつもりが3皿と伝えていたようで、食べきれないくらいの量が届いてしまいました(食べ残しが嫌いな家族ゆえポテト以外は食べきりましたが、上記のオーダーなら本当は3人で1皿で十分です。現地の人にはさぞ大食漢な家族と思われただろう…)。ギリシャ・ワインもおいしかったです。
20時過ぎから店内でおこなわれたブズーキとギターによる生演奏。ギリシャのブルースことレベティコ(Rebetiko)をメドレーにて聴けました。流しではないのでお金を要求されませんでした。

10/4(金): テッサロニキ2日目

この日は少し遠くまで歩いてみました。コースは「中央市場」から始まり、アギア・ソフィア聖堂(Agia Sophia)、ギリシャの友人に紹介されたLotusというレコード店(ロックなどが中心ですが、エクスペリメンタル系の作品もありました)、ガレリウスの凱旋門(The Arch of Galerius)とそのそばにあるロトンダ(Rotunda)アレクサンドロス広場を経由して海岸沿いのホワイト・タワー(White Tower)へ。昼食は凱旋門の目の前にあったDe-Tox Cafe、夕食は穴場的なバーTripia Potiriaにて。

中央市場の様子。たくさんのお店が立ち並んでいて、そのうえとにかく肉屋が多い(肉屋の隣も肉屋、向かいも肉屋という調子。これでやっていけるのか?)。ただ、スーパーマーケットというものがあまりポピュラーではないのか、日中は割と現地の買い物客でにぎわっていました。
アギア・ソフィア聖堂内部。礼拝がなければ自由に見学できて、天井画もきれい。周囲にお店が立ち並んでいるからか、門のあたりには高校生くらいの子どもたちがたむろしていた。
ロトンダ。中は博物館のようだったが割と高めな入館料を取られるうえにこの日は激混みだったので、外観写真をバシバシ撮って終了とした。こういった古い建物が突然ドカンと出現するので、目的なくぶらぶら街歩きしているだけでも結構楽しかったです。
ホワイト・タワー。東ローマ帝国時代に作られた塔で、砦や牢獄として使われてきた。現在は中が博物館となっている。開けたところにどしんと存在しているので海岸線の遠くからも見える。
夕食をとったTripia Potiriaの外観。このブロックは外側に別の店が立ち並んでいて、ところどころにある入口から店を突っ切っていくと中庭があり、そこに飲食店が立ち並ぶという独特な構造。この写真はTripia Potiriaに直接入れる道。メニューが少ないので、居酒屋のようにお酒のおつまみを頼むというスタイルがいいのかなと思います。
ここで頼んだお酒はウゾ(Ouzo/アニスの入ったリキュールで、水や氷と混ぜると白濁する。ストレートでは結構甘く、水割りが個人的には一番好きな飲み方でした)とレツィーナ(Retsina/松ヤニのワイン)の2杯。タコやフライドポテトやソーセージなどを食べながらちびちびと飲みました。

10/5(土): テッサロニキ3日目

この日は雨模様かつライヴがあったので、だらだらと過ごすことに。まずはホワイト・タワー付近にある考古学博物館(Archaeological Museum of Thessaloniki)へ。そして(入れなかったけど)パナギア・ハルケオン教会(Panagia Chalkeon)にも。昼食はロトンダ近くにあったトルコ系料理屋さんのKamara Grillでバーガーを。夜はMOMusでライヴをしたのち、ちょっと離れたところにあるクラフトビール屋さん(名前と写真撮るの忘れた)で出演者(Jasmine Guffondさん)、キュレーター、一部の観客の皆さんと打ち上げ。この日はギリシャの知り合いであるSavvas MetaxasさんやVasilis Lioliosさん、Yorgos Holさん、さらにはイタリアから来てくれた在イギリスのLi Songさんなどとも会えました。
この日のライブはお客さんの反応がかなり良くて、演奏終了後の休憩時間や終演後にいろいろなお客さんから嬉しい感想を直接もらえて、少なめに持っていっていたCDが完売するなど、純粋に「ギリシャで演奏できてよかった」と感じられた日でした。

考古学博物館にて。歴史の教科書にあったような像がたくさん収蔵されていて、説明文を読まなくても十分楽しめるかと思います。行った日はエントランスに客席と複数台のハープが用意されていたのだけど、夜は演奏会などがあったんだろうか。ライブがなかったら見たかった。
テッサロニキ、アテネともに街中では野良犬や野良猫が結構いました(犬はテッサロニキのみで発見、代わりにアテネの遺跡などでは野生の亀がいました)。犬は大型犬が多く、「財政破綻して飼えなくなって捨てられたのかな」という雰囲気。どの犬も特に攻撃的ではなく、猫などは夜にレストランのテラス席で食べてると客席を巡回しているのをよく見かけました。
パナギア・ハルケオン教会の入口。作り込まれた庭園のなかに教会があるというのはギリシャの宗教建築のなかではかなり珍しいのでは?閉まっていたけど、可能なら中まで入ってみたかった。
夜の街の様子。暗くなると人通りが激しくなってくる。男女で歩いている、またはテラス席で食事をしていると、花売りが割と強引に花を売ろうとしてくる(体に押し付けてくる)のを見た。
ライヴ会場(MOMus)の様子。同日出演のJasmine Guffondさんのサウンドチェック中の一枚。

10/6(日): アテネ1日目

朝いちばんでホテルをチェックアウト。前日にUberで予約していたタクシーに乗って空港へ。3時間前に着いたら乗る便がオーバーブッキングということで、30分後に発つ便に変更(あとでギリシャの知り合いにこのことを話したところ、それはお金を請求するべきだと言われました。次回行く方はご参考までに)。そしてエーゲ航空に乗ってアテネに到着したらまっすぐ予約していたホテルMoon And Starsへ。こちらは結構立派なつくりのホテルで、もともとは豪華な個人邸だったんじゃないかな。部屋は5部屋くらいあって、屋上には宿泊者全員が自由に使えるテラス(お風呂あり)付き。泊まった部屋は「Music Box」という名前で、3人部屋ということで結構広くてきれいな感じでした。ここに引きこもって毎日だらだら過ごせそう。
夜は「Ov Off Studio」にてCharis Pazaroulasさん、Dimitra Kousteridouさんとともに"zappak label showcase"として各ソロでの演奏をおこないました。多くのお客さんにご来場いただけて非常に嬉しかったです。

アテネのホテルと最寄駅のあいだにて、古物商のお店。鉄くずとかむき出しのレコードとかが売られているけれど、ごみ屋敷との違いが分からないほど。店員さんは違法コピーしたCDを袋詰めしてましたが、「地球の歩き方」曰くそういった商品を買うと罰せられるとのこと。注意。
ホテルの「Music Box」室内。こちらは寝室の様子(部屋全体の半分くらいかな)。
こちらはリビングのほう。スペースは広いしトイレとシャワーが分かれているのにもびっくり(写真奥の左右)。かなりゆったりしていてリラックスできます。ここではウェルカムドリンクとして小さなマスティハ(Mastiha/地中海のリキュール)の瓶が置かれていました。
ライブ会場「Ov Off Studio」にてサウンドチェック。映っているのはDimitra Kousteridouさん。この日はオーストラリアからヨーロッパツアー中だったMegan Alice Cluneさんがアテネ滞在中で、まったくの異国の地で再会を果たせました。こちらでは感想を言ってくれるお客さんは少なかったけれど、20人ちょっとくらいかな、たくさんの人に観に来てもらえて嬉しかったです。

10/7(月): アテネ2日目

この日はホテル最寄駅のモナスティラキ駅からその隣にあるシンタグマ駅までのあたり(プラカ地区)を散策。道中は民族楽器博物館(The Museum of Greek Folk Musical Instruments)オリンピック競技場(パナシナイコスタジアム/Panathinaiko Stadium)「国立庭園」に立ち寄ってから帰ってきました。昼食は名前を記録し忘れたのですがシンタグマにあったギロス(Gyros/薄切り肉を焼いたもの。このお店ではパンにようなものにくるまれていて、トルコのケバブに似た感じでした)のお店で。いったんホテルで休憩したのち、夕食はシーフード料理店のアトランティコス(Atlantikos)へ。

ホテルの朝食。オーダーシートに書いてある朝食のメニューから希望するものを記入しておくと、翌朝に部屋まで運んできてくれるスタイル。オーガニックとか凝ってそうなメニューでヘルシー志向にはありがたいのかも。手前にあるコーヒーには粉がたくさん入っているので、上の棒を下までぐっと下げてから注ぐべきみたい。間違えて少しだけ元に戻したら粉まみれになってしまい後悔。
ギリシャの民族楽器博物館にて。こちらはギリシャのバグパイプ。初日に最寄りのモナスティラキ駅までちょっと歩いていたら道端で吹いている人がいた(録音はし損ねた)。棒(管?)が1本しかないように思ったので、有名なスコットランドのものとは違って単音しか出せないのかな?
ギリシャといえば!なブズーキなどの弦楽器もたくさん収蔵されています。どういうシチュエーションでどう使用されるのかまで細かく説明があるので、広くはない施設ながら長居できそう。
アテネのプラカ地区の街並み。整備されているようでいて、しかし古い建物もたくさん。アテネ最古の建物もここにある。観光産業がメインなのか、どこまでもお土産物屋さんが続く。モナスティラキ駅とシンタグマ駅のあいだにあり、シンタグマに近づくと飲食店も増えて活気づいてくる。
古代の兵士の恰好をした人を盗撮。パルテノン神殿の近くでも見かけたけど、そこの人は「写真を3ポーズ撮って5ユーロ」と言っていたのでこのように勝手に撮ったら怒られるのだと思う。
オリンピック競技場ことパナシナイコスタジアム。第1回オリンピックの徒競走はここでおこなわれました。残念ながらこの日はライブか何かの準備で設営がおこなわれており、入場料払ってこれはないよーと思ってしまい、中には入らず外観だけ写真撮って移動。入れば階段も上がれます。
夕食はホテルの人のおすすめから1軒、シーフードがおいしいという「Atlantikos」で。写真は左から順にインゲン豆のガーリックソース、カラマリ、小エビのフライ。ビールに合う!ちなみにここで飲めるビールは地ビールの「Mythos」。有名なギリシャビールはこのほかに「Fix」「Alfa」があり、なかでも個人的にはラガー感の強い「Alfa」が好みでした。
レストラン外観。まだ明るい18時ごろには行列が始まります。周辺のお店が閉まるとそこまでテーブルを持っていって席数を増やすという感じで、お客さんでかなり賑わっています。アジア系(雰囲気は中国系かなという印象)のお客さんが多かったのですが、どこかで紹介されていたのかな。食べていると流しのパーカッショニストが次から次にやってくる(この日は食べているあいだに3人来ました)。音楽はまだいいのですが、物乞いも来るので食事中にはちょっと迷惑なくらい。
ホテル屋上テラスの様子。連日ビールを買い込んでは夜景を見ながら飲んでいました。
(母が映り込んでいるため、顔の箇所を加工しています)
屋上テラスからはライトアップしたパルテノン神殿が見られました。至福。

10/8(火): アテネ3日目

午前中は国立現代美術館(National Museum of Contemporary Art)に行き、新アクロポリス博物館(Acropolis Museum)の近くのレストランRegalで昼食(博物館は激混みで諦めた)。いったんホテルに戻って休憩したのち、夜は日曜のライブ会場と同じOv Off Studioにて、Charis Pazaroulasとレコーディングセッション。終了後は近くの居酒屋(バー?)「Καφενείο Άγιος(Kafenio Agios?)」(調べてもあまり情報なし/住所はAgiou Thoma 7, Athina 115 27でした)で会場オーナーのNefeli Stamatogiannopoulouさんを含めた3人で打ち上げ。余談ですが、ギリシャ語で「乾杯」は「εια μαs(ヤーマス)」と言うそうで、旅行ではお酒を持ってきてくれた店員さんがグラスを置きながらこれを言う場合もありました。

ホテルからアクロポリスに向けて歩いた道。個人で作ったと思しきグッズを売る人たちが並ぶ。
ライブ会場にてMeganさんからおすすめされた国立現代美術館の入口。地上5階地下1階となっていて、この日は10種類の企画展/コレクション展が同時開催されていた。ギリシャの現代美術作家による展示を観るチャンスは日本ではなかなかないのではと思っていたので、現地で観られたのは非常にラッキーだった。個人的ハイライトは1960年代中心に活動していたギリシャの作家、Chryssa Romanosによるコラージュ作品群。ご興味あればググってみてください。
国立現代美術館の最上階からの一枚。遠くに見えるのが「リカヴィトスの丘(Lycabettos)」。個人的にはすごく行きたかったけど、遠方から見てこの高さかつその周辺で気になる観光スポットがなかったので家族旅行としてはハードルが高くて断念。でも遠くから見ても圧巻でした。
こちらもMeganさんおすすめのレコード店「Underflow」。国立現代美術館から近いのでこの日はハシゴしよう!と意気揚々と向かったのですが、残念ながら臨時休業で入れませんでした。窓からの覗き込んだ感じではさまざまなジャンルのレコードがありそうでした。
昼食は新アクロポリス博物館の目の前にあったレストラン「Regal」で。頼んだのは左手前から時計回りにクレタ風ペンネ(意訳/メニューにはSkioufichta Creteとある)とムサカ(Mussakas/牛ひき肉のオーブン焼き)、ギリシャ風ピザ(Greek Pizza/トマトソースとフェタチーズのピザ)。写っていないけど、このあと母の頼んだ特大ボリュームのパンケーキが届きますが、3人には多いです。
新アクロポリス博物館は激混み(あと入場制限でチケットを買っても入場時間を指定されるっぽい)。入口にあるフクロウの像だけ写真を撮って帰りました。短期旅行だったりしっかりスケジュールを決めて観光したりするのであれば事前に予約しておくのが吉かも。
レコーディングセッションのお相手はCharis Pazaroulas(コントラバス)。会場はOv Off Studioにて。
レコーディングセッションのあとは近場の居酒屋(的なところ)の「Καφενείο Άγιος」にて打ち上げ。ここで飲んだお酒は「ラキ(Raki/二人にどういうお酒か訊いたところ、クレタ島のお酒で、工程はチプロ(Cipro)と同じとのこと。なんじゃそりゃ)」。ウゾやマスティハはかなり甘い印象だったのですが、こちらは甘みがほとんどなく、ストレートでも個人的には美味しく飲めました。

10/9(水): アテネ4日目

この日はついに有名な遺跡巡りをしてきました。入園料があるところばかりですが、有名どころは30ユーロで通し券(有効期限が数日あるので一日で回り切れなくても大丈夫です)を購入できるので、巡る予定があればそれを買うのがおすすめ。僕が行ったときもそうでしたが、パルテノン神殿のある「アクロポリスの丘」は早朝から込み合っているので、事前に予約するかチケットを購入して近くの遺跡を見て時間つぶしするのもいいかと思います(行ったときは1時間以上の待ち時間があったので、近くにある「ローマのアゴラ」「ハドリアヌスの図書館」を見ながら時間をつぶしました)。
アクロポリスのすぐ近くにあったDiskouriにて昼食をとったあとは電車に乗ってレコード店Stellageへ(最寄りのVictoria駅まで乗ったのは緑(Green)の電車だったのですが、「緑の電車はスリとかがよくあるから気を付けたほうがいいよ」と友人から注意されていたので、かなり警戒しながら乗りました。列車は全面落書きだらけで、故障してて開かないドアもある。地下鉄は割ときれいだったけど、こちらはスリがいてもおかしくなさそう)。実験音楽のレーベルでもあるだけあって品ぞろえは結構尖っててすごい。たくさん買い物したかったのですが、会計は現金のみとのことで買い逃していたFrancisco Meirinoの4CDボックスだけ購入しました。いろいろ回って疲れたので、いったんホテルに戻って休憩したのち、ホテル近くにあるLithosで夕食。

アクロポリスにあるヘロディス・アッティコス音楽堂(Odeon of Herodes Atticus)。パルテノン神殿に登る道中にこの方向から観ることができます当日はなにやら音楽イベント用に設営中で、現在でもコンサート会場として機能しているらしい。歴史的な建造物が現在でも当時とまったく同じ用途として保存されて使われているのって素晴らしいですね。
混雑で入場制限をしているアクロポリスの丘、そのなかにあるのがパルテノン神殿。当日券を買ったため約1時間待ち(待っているあいだは同じチケットで入れる近場の遺跡を観光)。肝心の神殿はご覧のとおり工事中なのが少し残念だったけど、近くで見ると「ザ・神殿」という圧巻の存在感。
アクロポリス周辺にて(1)。おそらく楽器はバグラマ(Baglamas)
アクロポリス周辺にて(2)。こちらは楽器名分からず。
キプセリ地区にあるレコード店、Stellage店内の様子。実験音楽のレコード、CD、カセットを買うなら是非ここへ(日月休)。金曜日から2日間かけてそうそうたるラインナップによるフェスティバルが店内地下にておこなわれていたのですが、スケジュール的に行けませんでした。悲しい...。
この日の夕食はホテル近くにある「Lithos」にて。揚げ物のほうのメニューは失念してしまいましたが、もうひとつは「タコのサラダ(Octopus Salad)」。ここはメニュー以外にも驚くことがあり、それはお店のサービス内容(というか店員の行為)でした。荷物を道路側に置いている人に置き場を変えるように促したり(スリ被害の予防として)、物乞いがお店に近づいたらお店の人が店とのあいだに入り込む(テラス席の客に近づけないようにする)などをしていました。すごい!

10/10(木): アテネ5日目

前日までに観光はほとんど済んだので、最終日は食べ物系のお土産の買い物をしつつ、まったり過ごすことにしました。なお、最終日の翌11日は早朝にホテルをチェックアウトして空港に向かったため、コメントは省略します。

オモニア地区(Omonia)?にあるアテネ大学(University of Athens)外観。現代的で巨大な建物かなと思いながら歩いていたのですが、こんな雰囲気。割と大きい規模の裁判所かなにかかと思った。
ミトロポレオス大聖堂(Mitropoleos)。12時に鐘が鳴るのでレコーダー片手に10分くらい待機。
夕食は7日に行ったアトランティコスを再訪。今回はイカ(ここのメニューには'thrapsalo'と表記されています)の丸焼きやイワシのグリルなども食べました。〆にエビのパスタを頼みましたが、パスタ自体の味は普通(もう少し湯で時間は短いほうが好みかも)。でもエビは美味しい。
地ビールのアルファとレコーダー。やはり最終日の夜もホテル屋上テラスにてビールを。屋上から夜の街の音を録りつつビールを飲むなど。最初のころはタイトなスケジュールを組んでいたので、家族旅行にならなければこういった時間の使い方はできなかっただろうな。こうなってよかった。

まとめ

まずは街の雰囲気。テッサロニキは割と経済都市っぽくてブランドファッションの通りがあったりした一方、アテネは割と汚い。あと、とにかく落書きが多い(テッサロニキは中心部を離れると急に増える、アテネはほぼ全域にて)。ホームレスは両都市にいて、行動範囲だけでいえばアテネのほうが格段に多かったです。気にしながら街を歩いたりしていればしょっちゅう見かけるし、積極的に近づいて物乞いしてくる人もいる。建物は全体的に古くて、治安とかの面では結構不安なところもあると思います(テッサロニキのブランドショップ通りも1階を若干リノベしただけのようで2階より上は古い建物がそのまま残っているというのを感じました)。また、遺跡とかがあることからかアテネは空気が汚くて、ある日に乗ったタクシーのドライバーはアレルギーで鼻水が止まらないとか言っていました。街中を走っている車も車体がチリのようなもので汚れたものが多かったです。
街中を走るタクシーは、割と大音量でラジオをかけていたりシートベルト非着用で運転する人がいるので、割とアトラクション的な感じでした(面白かったけど、速度が出るといろいろな意味で不安になる)。深夜のレコーディング終わりに乗ったタクシーには助手席にドライバーの娘が乗っているなんていうなんともアナーキーな事例も。
加えてびっくりしたのが歩行者用信号。「点滅」という概念がないので青信号から急に赤信号に替わります。しかも青信号は普通の横断歩道で7~8秒程度、普通の歩幅では渡り切る前に赤になります。歩行者が残っていると車は走ってこないので僕は小走りで渡っていました。
車は歩行者には寛容ないっぽう対車ではドライバーの反応が変わっていて、青信号になった瞬間に動き出さないとクラクションが鳴る。道に迷ったのか走行中に減速などする車にはバスが執拗なクラクション攻めをしていて、文化感の違いにびっくりしました。早朝でも夜でもお構いなしにクラクションが聞こえます。異文化の記録としての録音には最適ですが、一般人にはどうなんだろう...…。
そして土産物屋がとにかく多い、というか街を歩いている結構な割合が観光客(アジア系も多いけれど、おそらくそのほとんどは中国系)。アジア人なのでどこに行っても「どこから来た?」と訊かれるし、お店の人の呼び込みも結構激しい(立っていると強引に)。基本的には英語が通じるけれど、ギリシャ語の訛りのキツい場合もあって(イタリア語のように聞こえる)、高齢な方のやっているお菓子屋さんでは英語が通じずお土産チャレンジ失敗。
ご飯は朝食が9-10時ごろ、昼食は13-14時ごろ、夕食は20-21時ごろが中心っぽくて、日本人のライフスタイルかた考えると若干遅め。ライブやレコーディング以外の日は基本的に18時ごろにホテルを出てレストランに向かったけれど、19時くらいまでは街も明るくて、周囲の人々もあまりご飯を食べるムードではなかったかも。

...…と、以上そんな感じでした。いろいろな経験をできて個人的には非常に楽しかったです。個人的にこの旅行は書いてある以上に濃密な体験だったのですが、全部を話すと文脈がめちゃくちゃになる気がしたので、かいつまんでここまでのボリュームにしてみたのですが、はたしていかがだったでしょうか。次にギリシャ旅行する人の参考に少しでもなれば幸いです。では!

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