ギリシャ旅行記 (備忘録として)
※10/31に微妙に追記しました。
SNSや直接会った人にはお話ししていたので知っている方もいると思いますが、10月3日から11日にかけてギリシャに旅行してきました(現地の友人曰く、6月から9月は暑すぎるので観光に向いていないとのことです)。渡航に際してアドバイスをくださった方々、本当にありがとうございました!周囲でギリシャ渡航経験のある人が把握している範囲では皆無かつ心配性な性格だったので帰りの帰国までは不安が付きまとっていましたが、なんとか楽しみながら滞在できたと思います。
そもそもどうしてギリシャに興味をもって行きたいと思ったのか。これについては日本でもギリシャでもよく訊かれました。個人的にはギリシャの文化/文化観に興味を持ったからです。立地の面でいえば、ギリシャは地中海に面しているほか、イタリアとトルコに挟まれています。すなわち、EUの国の一つではあるものの、ヨーロッパ的な文化と中東/東アジア系の文化が流入し独特の文化形成がされているのではないか推測していました。
実験音楽に絞って考えてみても面白いです。有名どころでいえば、現代音楽の重鎮のIannis Xenakis、映画「炎のランナー」や「ブレードランナー」などの音楽を担当したVangelis、電子音楽の作品としてはかなり有名なレコード[Greek Electronic Music 1]もあります(タイトルのとおりギリシャの電子音楽家の作品を紹介しています)。レーベルも、ぱっと思いつく範囲だけでもThalamos、Organized Music from Thessaloniki、Rekem、Granny、More Mars、Dasa Tapes、Antifrostなどがあります。また、レーベル兼ショップのStellageは現在アテネにお店を構えています。
ギリシャ出身の実験音楽系作家もかなりの数が思い浮かびます。Tasos Stamou、Yannis Kyriakides(彼の作品でギリシャの伝統音楽であるレベティコ(Rebetiko)の存在を知りました)、Kostis Kilymis、Dimitria Lazaridou-Chatzigoga、Vasilis Liolios(Eventless Plotのメンバー)、Savvas Metaxas、Costis Drygianakis、MMMD(旧Mohammad)、Jani Christou、Spyros Polychronopoulosなどなど。枚挙に暇がありません。
自分のレーベルzappakでもすでにギリシャ人の作品を3作リリースしており(Elena Kakaliagou、Charis Pazaroulas、Dimitra Kousteridou)、さらに現在進行中のもので2作品あります。そんなこんなで、はじめてのヨーロッパ旅行の目的地はギリシャとなったのです。
今回の旅行の日程は、3日から5日までテッサロニキ(Thessaloniki)、6日の朝に飛行機で移動して、以降11日の朝までをアテネ(Athens)で過ごしました。当初はもう少し色々な場所に行きたいと思っていて、渡航前からコンタクトをとっていたベニュー「nekubi」でライブするためにカヴァラ(Kavala)に、複数の友人からの勧めで港町のヴォロス(Volos)に、そして崖の上にある巨大な宗教建築メテオラ(Meteora)を見るためにテッサリア(Thessalia)地方にも行きたいと思っていましたが、「(おそらく)最後の家族旅行に」と両親が同行することになり、あまり移動せずに街の雰囲気をゆったり味わう旅行にしようと変更し、今回のスケジュールとなりました。とはいえギリシャの知り合いが多くいたのもあり、機会があればライブしたいなと思っていたので、各都市で1公演ずつ予定を入れました。テッサロニキでは5日に「MOMus」という国立の(?)美術館シリーズのなかの「Experimental Center for the Arts」という場所でおこなわれたフェスティバル「STEREOMA」に参加し、アテネでは6日に「Ov Off Studio」にて弊レーベルzappakのレーベル・ショーケースをおこないました(なお、ベニュー名はギリシャ語表記で、「Ov」は英語で「On」の意味です)。
8日ほど滞在していて記録したいことがありすぎなので、全体を総括するようなしっかりしたまとめかたはせずに、滞在日ごとに記録していきたいと思います。なお、各名所や店舗にリンクがある場合は旅行ガイド系のサイトか公式サイトに飛んで住所など詳細を見られます。
ちなみに、旅行には簡単な挨拶を覚えてから行ったのですが、現地で使うと割と嬉しがってもらえたので、覚えておくといいと思います。僕の場合、実際の会話でよく使ったのは「ειά σας!(ヤーサス!/こんにちは!)」と「ευχαριστώ(エフハリスト/ありがとう)」です。使いやすいうえに言うチャンスは結構あるかと思います。また、実用性は低いですが「Είναι κινέζικα!(イネ・キネジカ!/それは中国語!(=難しすぎ!(英語でいうところの「It’s Greek to me!」のギリシャ語バージョンです)))」も現地の人との会話で使いました。それぞれのアクセントなどはググっていただければ。
10/3(木): テッサロニキ1日目
2日の夜に羽田空港を出発してトルコのイスタンブールで2時間ほどのトランジット、そこからテッサロニキに移動して3日の朝に到着しました(計14時間ほど/日本からギリシャへの直行便は現在ありません)。テッサロニキ・マケドニア空港からテッサロニキ中心部まではタクシーで1時間弱かな?空港でUberを使用して移動しました(ギリシャ国内でUberで呼べるのは正規タクシーのみです)。ここでは「ホテル・ルクセンブルク(Hotel Luxenbourg)」という場所に泊まりました。ホテルのWi-Fiを設定して購入した海外SIMカードの動作確認をしたのち、ゆるりと近場を散策しに出かけました。夕食は有名店の「The Rouga」にて。
10/4(金): テッサロニキ2日目
この日は少し遠くまで歩いてみました。コースは「中央市場」から始まり、「アギア・ソフィア聖堂(Agia Sophia)」、ギリシャの友人に紹介された「Lotus」というレコード店(ロックなどが中心ですが、エクスペリメンタル系の作品もありました)、「ガレリウスの凱旋門(The Arch of Galerius)」とそのそばにある「ロトンダ(Rotunda)」、アレクサンドロス広場を経由して海岸沿いの「ホワイト・タワー(White Tower)」へ。昼食は凱旋門の目の前にあった「De-Tox Cafe」、夕食は穴場的なバー「Tripia Potiria」にて。
10/5(土): テッサロニキ3日目
この日は雨模様かつライヴがあったので、だらだらと過ごすことに。まずはホワイト・タワー付近にある「考古学博物館(Archaeological Museum of Thessaloniki)」へ。そして(入れなかったけど)「パナギア・ハルケオン教会(Panagia Chalkeon)」にも。昼食はロトンダ近くにあったトルコ系料理屋さんの「Kamara Grill」でバーガーを。夜はMOMusでライヴをしたのち、ちょっと離れたところにあるクラフトビール屋さん(名前と写真撮るの忘れた)で出演者(Jasmine Guffondさん)、キュレーター、一部の観客の皆さんと打ち上げ。この日はギリシャの知り合いであるSavvas MetaxasさんやVasilis Lioliosさん、Yorgos Holさん、さらにはイタリアから来てくれた在イギリスのLi Songさんなどとも会えました。
この日のライブはお客さんの反応がかなり良くて、演奏終了後の休憩時間や終演後にいろいろなお客さんから嬉しい感想を直接もらえて、少なめに持っていっていたCDが完売するなど、純粋に「ギリシャで演奏できてよかった」と感じられた日でした。
10/6(日): アテネ1日目
朝いちばんでホテルをチェックアウト。前日にUberで予約していたタクシーに乗って空港へ。3時間前に着いたら乗る便がオーバーブッキングということで、30分後に発つ便に変更(あとでギリシャの知り合いにこのことを話したところ、それはお金を請求するべきだと言われました。次回行く方はご参考までに)。そしてエーゲ航空に乗ってアテネに到着したらまっすぐ予約していたホテル「Moon And Stars」へ。こちらは結構立派なつくりのホテルで、もともとは豪華な個人邸だったんじゃないかな。部屋は5部屋くらいあって、屋上には宿泊者全員が自由に使えるテラス(お風呂あり)付き。泊まった部屋は「Music Box」という名前で、3人部屋ということで結構広くてきれいな感じでした。ここに引きこもって毎日だらだら過ごせそう。
夜は「Ov Off Studio」にてCharis Pazaroulasさん、Dimitra Kousteridouさんとともに"zappak label showcase"として各ソロでの演奏をおこないました。多くのお客さんにご来場いただけて非常に嬉しかったです。
10/7(月): アテネ2日目
この日はホテル最寄駅のモナスティラキ駅からその隣にあるシンタグマ駅までのあたり(プラカ地区)を散策。道中は「民族楽器博物館(The Museum of Greek Folk Musical Instruments)」、「オリンピック競技場(パナシナイコスタジアム/Panathinaiko Stadium)」、「国立庭園」に立ち寄ってから帰ってきました。昼食は名前を記録し忘れたのですがシンタグマにあったギロス(Gyros/薄切り肉を焼いたもの。このお店ではパンにようなものにくるまれていて、トルコのケバブに似た感じでした)のお店で。いったんホテルで休憩したのち、夕食はシーフード料理店の「アトランティコス(Atlantikos)」へ。
10/8(火): アテネ3日目
午前中は「国立現代美術館(National Museum of Contemporary Art)」に行き、「新アクロポリス博物館(Acropolis Museum)」の近くのレストラン「Regal」で昼食(博物館は激混みで諦めた)。いったんホテルに戻って休憩したのち、夜は日曜のライブ会場と同じOv Off Studioにて、Charis Pazaroulasとレコーディングセッション。終了後は近くの居酒屋(バー?)「Καφενείο Άγιος(Kafenio Agios?)」(調べてもあまり情報なし/住所はAgiou Thoma 7, Athina 115 27でした)で会場オーナーのNefeli Stamatogiannopoulouさんを含めた3人で打ち上げ。余談ですが、ギリシャ語で「乾杯」は「εια μαs(ヤーマス)」と言うそうで、旅行ではお酒を持ってきてくれた店員さんがグラスを置きながらこれを言う場合もありました。
10/9(水): アテネ4日目
この日はついに有名な遺跡巡りをしてきました。入園料があるところばかりですが、有名どころは30ユーロで通し券(有効期限が数日あるので一日で回り切れなくても大丈夫です)を購入できるので、巡る予定があればそれを買うのがおすすめ。僕が行ったときもそうでしたが、パルテノン神殿のある「アクロポリスの丘」は早朝から込み合っているので、事前に予約するかチケットを購入して近くの遺跡を見て時間つぶしするのもいいかと思います(行ったときは1時間以上の待ち時間があったので、近くにある「ローマのアゴラ」と「ハドリアヌスの図書館」を見ながら時間をつぶしました)。
アクロポリスのすぐ近くにあった「Diskouri」にて昼食をとったあとは電車に乗ってレコード店「Stellage」へ(最寄りのVictoria駅まで乗ったのは緑(Green)の電車だったのですが、「緑の電車はスリとかがよくあるから気を付けたほうがいいよ」と友人から注意されていたので、かなり警戒しながら乗りました。列車は全面落書きだらけで、故障してて開かないドアもある。地下鉄は割ときれいだったけど、こちらはスリがいてもおかしくなさそう)。実験音楽のレーベルでもあるだけあって品ぞろえは結構尖っててすごい。たくさん買い物したかったのですが、会計は現金のみとのことで買い逃していたFrancisco Meirinoの4CDボックスだけ購入しました。いろいろ回って疲れたので、いったんホテルに戻って休憩したのち、ホテル近くにある「Lithos」で夕食。
10/10(木): アテネ5日目
前日までに観光はほとんど済んだので、最終日は食べ物系のお土産の買い物をしつつ、まったり過ごすことにしました。なお、最終日の翌11日は早朝にホテルをチェックアウトして空港に向かったため、コメントは省略します。
まとめ
まずは街の雰囲気。テッサロニキは割と経済都市っぽくてブランドファッションの通りがあったりした一方、アテネは割と汚い。あと、とにかく落書きが多い(テッサロニキは中心部を離れると急に増える、アテネはほぼ全域にて)。ホームレスは両都市にいて、行動範囲だけでいえばアテネのほうが格段に多かったです。気にしながら街を歩いたりしていればしょっちゅう見かけるし、積極的に近づいて物乞いしてくる人もいる。建物は全体的に古くて、治安とかの面では結構不安なところもあると思います(テッサロニキのブランドショップ通りも1階を若干リノベしただけのようで2階より上は古い建物がそのまま残っているというのを感じました)。また、遺跡とかがあることからかアテネは空気が汚くて、ある日に乗ったタクシーのドライバーはアレルギーで鼻水が止まらないとか言っていました。街中を走っている車も車体がチリのようなもので汚れたものが多かったです。
街中を走るタクシーは、割と大音量でラジオをかけていたりシートベルト非着用で運転する人がいるので、割とアトラクション的な感じでした(面白かったけど、速度が出るといろいろな意味で不安になる)。深夜のレコーディング終わりに乗ったタクシーには助手席にドライバーの娘が乗っているなんていうなんともアナーキーな事例も。
加えてびっくりしたのが歩行者用信号。「点滅」という概念がないので青信号から急に赤信号に替わります。しかも青信号は普通の横断歩道で7~8秒程度、普通の歩幅では渡り切る前に赤になります。歩行者が残っていると車は走ってこないので僕は小走りで渡っていました。
車は歩行者には寛容ないっぽう対車ではドライバーの反応が変わっていて、青信号になった瞬間に動き出さないとクラクションが鳴る。道に迷ったのか走行中に減速などする車にはバスが執拗なクラクション攻めをしていて、文化感の違いにびっくりしました。早朝でも夜でもお構いなしにクラクションが聞こえます。異文化の記録としての録音には最適ですが、一般人にはどうなんだろう...…。
そして土産物屋がとにかく多い、というか街を歩いている結構な割合が観光客(アジア系も多いけれど、おそらくそのほとんどは中国系)。アジア人なのでどこに行っても「どこから来た?」と訊かれるし、お店の人の呼び込みも結構激しい(立っていると強引に)。基本的には英語が通じるけれど、ギリシャ語の訛りのキツい場合もあって(イタリア語のように聞こえる)、高齢な方のやっているお菓子屋さんでは英語が通じずお土産チャレンジ失敗。
ご飯は朝食が9-10時ごろ、昼食は13-14時ごろ、夕食は20-21時ごろが中心っぽくて、日本人のライフスタイルかた考えると若干遅め。ライブやレコーディング以外の日は基本的に18時ごろにホテルを出てレストランに向かったけれど、19時くらいまでは街も明るくて、周囲の人々もあまりご飯を食べるムードではなかったかも。
...…と、以上そんな感じでした。いろいろな経験をできて個人的には非常に楽しかったです。個人的にこの旅行は書いてある以上に濃密な体験だったのですが、全部を話すと文脈がめちゃくちゃになる気がしたので、かいつまんでここまでのボリュームにしてみたのですが、はたしていかがだったでしょうか。次にギリシャ旅行する人の参考に少しでもなれば幸いです。では!
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