【詩】凧揚げはよそで!
かろうじて息をする縄文の名残りを
ヘビのように締め上げる電線
消費社会の奴隷をとっ捕まえるために
垂らされた宣伝の釣り糸
山盛りに折り重なった折れ線グラフ
弛緩した琴線にぶら下がるブラ紐
きみ、凧揚げはよそでやってくれ!
せめて、凧揚げだけはよそでやってくれ!
これ以上線やら糸やらが絡みついたら
人の世がこんがらがってしまう
そう言って私が抱える頭はビザンツ建築
重いドームの中には滅茶苦茶なモザイク画
絡み合うギリシャの饒舌、キリストの茨の冠
イスラムのアラビア文字、そしてしめ縄
しかし最も始末が悪いのは
カール・マルクスのあごひげ
まとわりつくもじゃもじゃの唯物論
だからきみ、凧揚げはよそでやってくれ!
せめて、凧揚げだけはよそでやってくれ!