気晴らしに劇場にいったら、いつの間にか役者デビューしていた日
こんにちは、たけしです。
自分のことを役者のように見ることが出来ると、自信がついて緊張と失敗により強くなります。
学生時代にロシアに留学していた私は、帰国すると大急ぎで就活を始めました。就活のいろはもわからぬまま、リクナビで「海外事業」「貿易」なんて検索し、まだ間に合う企業をかたっぱしから訪問する日々。
就活対策本も読みましたが、10社ほど受けても空回りばかりで全て敗戦・・・小心者で緊張しいなうえに、出遅れている焦りからイッパイイッパイで、とくに面接の受け答えはダメダメでした。
続々と届くお祈りメールや不合格を知らせる電話。自分を完全否定された気がして落ち込み、失敗が続くのが怖くなって、居酒屋に飛び込んではビール片手にモヤモヤしていました。
ある週末、気晴らしに趣味のお芝居を楽しもうと都内の小劇場にいきました。就活中の自分は役者さんたちを近くで見ながら、
「演技ひとつで人を笑わせたり泣かせたり、俳優ってすごい職業だよな」
なんてつくづく思ったものです。
帰りがけにロビーでチラシを見ていると、受付脇のスクリーンに気付きました。ホール後方のカメラの映像でしょうか、客席も舞台も一度に見わたせます。
舞台を片付けている人、まだ客席にいる人、ロビーに出てくる人なんかが映っていましたが、私にはなんだかそれが全部ひっくるめて劇の一場面に見えて、
「そうか、実は自分も役者で、さっきまで観客の役を演じていたんだ。そして、劇場を出たらまた何か別の役に切り替わる・・・こんな考え方もアリだな」
なんて思えたのです。
日々のあらゆる場面は幕のない舞台で、人は色々な役を切り替えつつ、泣いたり笑ったりして生き暮らしている
この小さな気づきは私にとっては大きな変化でした。
ところで、革命前後のロシア・ソ連の演出家で、スタニスラフスキーという人がいます。
彼は世界に大きな影響を与えた「※スタニスラフスキー・システム」という俳優の教育法/演技法を創り上げたことで有名です。
(※俳優が登場人物と同じ感情を「体験」し、その役を「生きる」ことを追求するための意識や想像に関する理論やテクニック)
このシステムは後に弟子たちによってアメリカにも持ち込まれ、俳優養成所で実践され、派生・展開していったそうですが、理論の差はあれ大元はみなこのシステムだそうです。
つまり、みなさんが大好きなトムクルーズもディカプリオも、言うなれば100年以上も前のロシアの演出家から生まれたようなものなんですね。
留学中にこんな話を聞いたことがあった私は「今日の気づきって、まさに『劇場の外のスタニスラフスキー・システム』じゃん!」と、少しジーンときたのです。
それからというもの、試しに色々な場面で自分を撮影してみました。
サークルの飲み会、予備校の授業、恋人とのデートなど、友達やバイト先の同僚や、彼女にお願いして(時には許しを得て)カメラをおかせてもらいました。
少し自分を撮影してみると、実にいろいろなことがわかってきます。
「へぇ、オレって周りの人からこんな感じに見えてるんだぁ」から始まり、
「しゃべる前に『まぁ』って言う回数が多いな」とか、
「いつも後ろの方で声が小さくなって最後もごもご言ってるな」とか、
「自分が思っていた以上(以下?)に表情がゆたかじゃないな」とか、、、
「なにか聞かれて答えに困るとまばたきが増えて早口になるな」とか、、、
「お酒を飲むと自信まんまんの発言ばかりだな」とか、、、(笑)
私は、デジカメに映る様々な場面の自分を見て、ポジティブもネガティブも紙に書き出してたびたび読み返すようにしました。そして、まずは就活を乗り切ることが最優先だったので、バイト先の社員さんにお願いし、模擬面接を撮影してもらうようになりました。
こうして、「録画」→「見直し」→「自分なりの反省」→「他者からのアドバイス」のプロセスを意識して何回か繰り返してみると、最初の録画と比べて明らかに自分が変わっていくことがよくわかりました。
言ってみれば、役者が稽古を重ねるうちに、演技の質が良くなり、役の幅も広がって成長していくようなイメージでしょうか。
この取り組みは、知らず知らずのうちに自信につながったのだと思います。というのも、それまで緊張と焦りで失敗ばかりだった面接で、少しずつ落ち着いて自分をうまくコントロール出来るようにもなっていったのです。
私は「その紙」をスーツの上着のポケットにお守りのように忍ばせて面接を受けるようになりました。
ある企業の最終面接で、怖い顔の人事部長に、開始早々「留学したって書いてあるけど、親のお金でいっただけなんでしょ?」なんてツッコまれた時のこと。
「うわっイタいとこ突くな~」なんて内心思いつつ、ポケットの中のあの紙の存在を感じることで、「あせっても早口にならない」、「意見は最後まではっきりと」といったポイントが浮かんできて、むしろ落ち着いてやりとりをすることが出来ました。
こんな具合であと10社ぐらいを受け、結局5社の最終面接に進むことが出来て、志望度が高かった3社から内定をもらうことが出来ました。ちなみに、最終的にはあの怖い顔の人事部長の会社を選びました。
この「自分を撮影して役者にしたてあげちゃう作戦」は、アラフォーサラリーマンになった今でも、お偉いさんへのプレゼンや、英語で国際会議を運営する時など、様々な場面で役立っています。
自分自身を一歩引いたところから見てみると、普段は見えない自分のクセや特徴が良くも悪くもよくわかります。
足りないと思うところをケアすることで自信につながり、結果として緊張や不安の中で自分をコントロールすることがより上手になります。
普段のがんばっているあなたを、思い切って撮影してみてください。
わかります、自分を撮影するのって、誰でも抵抗がありますよね。私も最初は本当に恐る恐るでした・・・その気持ちはよーくわかります。ですが、絶大な効果があるので、騙されたと思ってぜひ一度やってみてください。
スマホを置いておいてもいいですし、誰かにお願いしてもいいでしょう。そして、自分で思ういいところも、悪いところも紙に書き出してみてください。
誰に見せるでもありませんが、その紙の内容を繰り返し意識して行動してみてください。部屋の壁に貼って眺めるもよし、スマホに保存してもよし。
私のおすすめは、やっぱり紙をポケットに入れて「ここにあのお守りがあるな」と感じることです。
くりかえしになりますが、騙された気でまずはやってみてください。面接や発表、交渉、外国語学習などでバツグンの効果を発揮することにマチガイなしですよ。
日頃私たちは、上司、夫、父親、隣人など、様々な役を生きています。たまには「何でオレだけがこんな目に・・!?」と思うような役もありますよね。
でも、安心してください。そんなツイていない役だって、役なのですからいつかは終わります。あなたの中の役者さんは、泣ける場面も笑える場面も、きっと見事に演じきってくれるはず。
さあ、スマホをとりだして自分を撮影してみましょう。
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