三木成夫「はらわたと中身の関係は、いってみれば鋳型と鋳物の関係です。鋳物というものは、これはもうれっきとして人類の伝統工芸の世界です。手塩にかけて造り上げるものです。はらわたすなわち内臓を見直す、これ以上の説明はないと思う」
三木「或る人間の表情がいつもと少し違っている事が分かる、その理由は何かと尋ねられた時われわれは一体何と答える事が出来るであろう?日常の接触を通して何時の間にか体得したその人間の”いつもの顔”と言うものが無意識の基準に置かれている。では”いつもの顔”とは何を言ったものであろうか…」
三木「正月、カルタ遊びで、小学2年生の坊主が『ヒサカタノヒカリノドケキハルノヒニ…』とたどたどしくやっている。もちろん、何のことやらわからない。しかし、このひとつひとつの言葉のもつ「ヒビキ」ただそれだけを、先にたたき込んでおくのです。やがてそのような心に育ってくるのですから…」