一見フツー、画家の今井陽子さんが、ロック過ぎてやばかった話
今井陽子さんは、小さいころから絵が好きだった。「画家になりたい」とあこがれ、難関を突破し、とうとう東京藝術大学油画科に入る。
その後、画家として個展を開き活躍するかたわら、絵画を教え始め、NHK 学園や上野の森美術館において講師を務める。
それを聞いて、アカデミズム路線の落ち着いた道を歩いてきた人だろう、と思った。だいたい、外見も穏やかで、にこにこしたりして親切そうだったのだ。
だけど、話してみたら、全然違った。
「やばい」人だった。
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「私が憧れたのは、そういうものじゃないってわかっちゃったもの。だから、もうできない」そう今井さんは笑う。
「うまい絵」を描くのは、難しくない。技術はあるのだし、それらしいものも描く要領も分かる。でも「それじゃない」というひっかかりが、いつもあったそうだ。うまい「だけ」の絵は描きたくない。
藝大では、三木成夫先生の講義を受け、大きな衝撃を受けた。それからずっと三木先生のことが頭にあるという。野口体操に出会い、そのお弟子さんのところに入門した。「身体性」に、なぜかこだわってしまう。
ある日、駅のエスカレーターで登っていた今井さんは衝撃をうける。柱に貼ってあった大きな絵が、目の「片隅に」入ったのだ。電気に打たれたように動けなくなった。エスカレーターはすすみ、その絵は、後ろになった。
絵の気配だけで、身体が震えたという。振り返らなくても分かった。その絵は、まるで別次元のようなエネルギーがあった。
それは、あるアボリジニアーティストのものだった。西洋の伝統的な絵画とは、まったく異なる、何かがあった。
「こういうことだ」
そう、確信したという。自分がしたかったのは、こういうことだと。
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絵画講師として確立した地位もあり、個展も開ける画家なのに、彼女の関心は「こういうこと」の探求に向かう。
それは、今まで学んできたことを、捨てることだった。安定した道だったはずなのに「これじゃない」と思ったのだ。
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私は共感しながらも、質問する。
「だって、怖いですよね。今までやってきたことがあるのに、、」
「でも、自分があこがれてたのは、そういうものじゃないって気づいちゃったんだもの。嫌いなんだもの!」
うわわ、、と思った。
この人、本気だ。
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そういえば、初対面の時、どんな絵を描いているかと質問すると、彼女は答えた。
「いまは、ただ、絵の具を垂らすことをやってる」
「垂らす? 描くのではなくて、垂らすのですか? プランもなしに?」ききかえす私に、彼女は首を傾けて言った。
「だって、考えたら意味ないじゃない」
分かってないわ、というようだった。
「考えたら意味ない」かあ。普通は分からないと、思うよ、、、。
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描けなくなった時期もあるという。そういうときは、辛いのだという。
「でも、描かないと、それはそれで、調子が悪いの」
今井さんは、眉をしかめて言った。
私はうなずく。
描くことが人生なんだろうから、描けないなんて、生きてないようなことなんだろうな。
「私は才能があるわけじゃないから」
そう彼女はいうけど「アーティスト」というのは、きっと、こういう人なんだと思う。
生きることが、描くこととイコールなんだもの。
そりゃ、描けなかったら辛いと思う。
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だいたい、自分の思うような絵を描くために、(なぜか)空手を10年以上習ってる。(←おかしいだろ、とちょっと思う)
「50才を過ぎたころから、やっと、自分の身体を信頼できるようになってきたのよ。
だから、これからは、思い切りやっていこうと思う。今なら、もっと思ったように絵を描ける」
子どもの頃は、身体が弱かったのだという。だけど、空手の修行は、彼女を「思い切りやれる」ようにした。だから、年齢を得た今のほうが、元気なのだそうだ。
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彼女は、あこがれていたような絵を描くために生きているようだ。
あまり友達がいない、というけど、人を選ぶだろうと思う。自分の生きる意味を知っている人の姿は、時に、まぶしすぎる。
60才を過ぎた今井さんの関心事は、すてきな家に住むことでも、おいしいレストランに行くことでもない。
「画家になりたい」というのでは、本当はなかったんだろう。ポジションではなくて、自分が思う「絵」が描きたいと、そればかり考えてるんだろう。
「うまいだけの絵」を描くのがいやな人だ。そして、空手をして、絵の具を直接、カンバスにたらしている人だ。
下は、今井さんの「自作を語る。」だ。ものすごいと思った。
それにしても、見た目では分からない。
初対面の日、上野駅で別れるとき、今井さんに「ポイントカード、なに使ってますか?」と質問した。マレーシアから帰国して、困っていたからだ。
えへへ、と恥ずかしそうに彼女は笑った。そして「そういうの分からない」と言った。
そういうことを聞く相手じゃなかったな、と今なら分かる。
社会生活、、、。苦手なのかも。
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先日、今井さんとZoomで対談した。ご本人は「また暴言はいちゃって」と言ってる。まあ、確かにすごい。
笑う。
でも、何を言っても「本物」のピュアさで溢れている。私は、こういう人、好きだ。(変な人だとは思う)
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この今井さんが、今度、講座をする。彼女が、一番つたえたいことを、がつんとやるそうだ。「これからは、思い切りやる」と言い切るのだから、まあ、すごそうだ。
未経験者も経験者も、大歓迎。お子さんもOK(小さいお子さんの場合は、お問い合わせしてください)。
「うまい絵」でないものを描きたい人。自分の可能性に出会いたい人。アートに興味はあるけど何から始めたらいいか分からない人。なんだか分からないけど今井さんにあってみたい人。
今井陽子さんから直接教えてもらえるチャンスだ。ピンときたら、来てほしい。何かが始まるときって、そういう直感が動くと思う。
今年のゴールデンウィーク、東京の八王子。
宿泊はできないけど参加したい、一日だけ行きたいなどのご要望も柔軟に対応するので、お問合せも気軽にしてください。サイトからの申し込みがややこしい、と困っている人もご相談ください。
(エイミーにコメントしてくださってもいいです)。
〆切は本当は28日(金)なので、それ以降だと、部屋の確保などで問題がでることもあるので、至急お申込みをお願いします。
今井さんは、、、
けっこう、やばい人と思う
(でも、感じはいい)
とりあえず動画みて↓
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