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種と土理論から、ファシア状態論を考える

 がんの「種と土理論」に関しての考察を引き続いておりました。種としてのがん細胞のみに、焦点を当てていた従来の理論に対して、その母体(マトリックス!)となる「土」にも大きな役割があるのでは、と考える理論です。

 この辺りの考え方としては、医学史における論争も無関係ではなさそうです。つまり病理の原因をどこに求めるか、ミクロの領域における原因探索の焦点の問題です。現代医療の直接のオリジンとしては、ウィルヒョウの細胞説であることはいうまでもありません。しかし、実はその前にビシャ―による組織説などが展開されていたことは現状としてはあまり話題になりません。しかし、生気論を強く推していたビシャ―の姿勢は、三木成夫らにより注目されていた視点でもあります。(科学史において正当化する少し前の理論が新たな視点をもたらす例としてはエーテル理論などが好例だと思いますが、この問題は長くなるのでまた別機会に。ブログ内検索でも過去記事でいくつか議論しています)

 いわば全体を捉えようとする「種と土理論」ですが、これをがん治療の具体例として考えると、細胞の基底膜としてのコラーゲンの存在に行き当たります。
 ここで仮に、正常と異常の2種のコラーゲン線維の上に細胞が増殖するとして、正常な網目状のコラーゲン線維の上には、きれいに正常細胞が配置されることになります。一方、異常なコラーゲン線維はきれいな網目状をとらないとすると、そこには異常な細胞が配置され、組織修復においては瘢痕化するといわれます。これが恒常的に続くとすれば、異常な基盤の上に、異常な細胞群が塊として集積してもおかしくありません。
 こう考えると、高濃度ビタミンC点滴などによりコラーゲン生成の異常を是正することで、がん化したとされる細胞塊がそのまま抑制されて増大化せず、さらなる新たながんの発生や転移が抑えられるとする実践的な経験と矛盾しません。
 がん細胞の線維芽細胞による包囲というより、基盤としてのコラーゲンの正常化と、その異常化の阻止と考えることが出来ます。

 こうした考えは、まさにコラーゲンの集積体でもあるファシアそれ自体の、がんへの直接効果といってもよいものです。正常なコラーゲン生成とそれによる組織でのファシア状態の是正。いわば環境の調整的な方法論が、がん治療そのものに転化する可能性を示すのではないでしょうか。仮にそうであれば、これはファシアの状況改善が治療効果をもたらす可能性も示します。
 ファシア近辺のいわゆる「ファシア瘀血」の除去や、ファシア重積の解除などファシアに関連する介入法(インターベンション)が、がん治療に有効な可能性を示すことになります。
 かつて刺絡は、自律神経と免疫の関連から「安保・福田理論」として一世を風靡しましたが、こうした自律神経調整の意味合いのみならず、ファシアへの介入として新たな解釈を与える必要があるのかもしれません。これらは、現在痛みの治療に特化して議論されているハイドロリリース法にも言えると思います。
 また、ファシアには、電気的な影響により(荷電状態)プラークや残骸など「ゴミ」の付着や停滞の可能性も考えられます。私はこれを「ファシア・デブリ」と称していますが、これらはQPAなど波動治療器において出現してくるものと考えています。これらの存在もファシアの健常な在り方には影響してくるだろうと思われるので、当然がんとも無関係ではなさそうです。

 種と土理論から派生する、ファシア状態論は、いろいろと調べるほどにがんへの対策としては無視できない重要なものとなりそうです。
 ファシア・デブリとファシア状態論に関しての詳細な報告は、これも第2回のマトリックス統合医学研究会にて発表予定ですので、ご興味ある方はご参加ください。

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