◆伝統的文章指導は、クリシェ(常套句や月並みな表現)への拒否を一つの基礎とする(久保正彰「ハーバード・カレッジの教養教育」『これからの教養教育』207頁,東信堂,2008)。表現がクリシェだということは、認識がクリシェ的だということ。現実や対象を生き生きと捉える言葉を探究したい。
◆現実認識の裁ち直し(1)分節ということは、差異と同一を感知して、仮に切断して仮に結合していることを意味する。なぜ「仮」なのか。現実の実相は、無限の諸相と内包を有し、かつ変転してやまない流動体であるゆえに、どのように分節しても掬い切れず、必ず「帯に短し襷に長し」となるからである。