【音楽編】ハニートースト - 1st EP「Shoes」
Soothee.(スージー)です。
前回に引き続き、楽曲「ハニートースト」の解説をしていきます。
前回の記事はこちらから。
非常に元気で楽観的だけれど、どこか心穏やかになれる落ち着きもある
音楽面ではそんな路線を目指しました。
しみじみと幸せを感じる———。
みたいなものが欲しかったのです。
オープニングを飾るから
私たちの出す最初の曲であり、
リスナーが初めて触れるSoothee.の曲です。
非常に快活なピアノの前奏から幕が開きます。
いわゆるラグタイムのような雰囲気を出しつつ、
J-Popらしさも感じられるかと思います。
ライン・クリシェ
こんな風にコードの大枠である"C"を変えないまま、
一音だけを動かしていくことを、ライン・クリシェと言います。
同じようなメロディの繰り返しでも、
クリシェで少しずつコードが変わっていくことで、違う響きを得られます。
さらに、最後が"C7"で終わっていますね。
このコードのあとには"F"が来ますから、
ここにドミナントモーションが起こります。
"C7"というコードは"F"に行きたがるよ、という認識で大丈夫です。
その"F"に行きたがる"C7"に、4小節かけてパワーを溜めるのが、
冒頭のライン・クリシェです。
5小節目でかなり開放感があるのが伝わるかと思います。
サブドミナントマイナー
さて、ライン・クリシェ→ドミナントモーションで、
開放感を得た後、少し暗い響きになりました。
ここではこのようなコードを使用しています。
楽曲には基本的に、
明るい雰囲気の"長調(Major)"と、
暗い雰囲気の"短調(minor)"があります。
この曲は基本的にはハ長調(C Major)で進行していますが、
上記の区間では、ハ短調(C minor)に一時的に転調しています。
このように同じ「ド」を主とする調から借りてきたコードを、
サブドミナントマイナーと呼びます。
これにより、ただ明るいだけでない、含みのある空気感を演出しています。
先ほどのライン・クリシェ、ドミナントモーション
そしてサブドミナントマイナーを組み合わせたことで、
前半で登って、後半で下がる、なだらかな山のような進行になりました。
これを2回繰り返して、イントロの完成です。
ゆったりとした大きな山は、イントロの他に、
Aメロ、間奏、アウトロでも使用しています。
ハニートーストの一番重要なコード進行です。
キャッチーさと複雑さと
ここまでですでに1000文字を超えてしまいました。
Bメロは飛ばして、サビの紹介をしましょう。
丸サ進行にプラスして
サビの基本形はこのようなコード進行です。
丸印のついたところだけをピックアップすると、
かの有名な丸サ進行が出てきます。
定番化している進行だからこそ、
耳馴染みがよくキャッチーな印象を与えてくれますね。
先ほどドミナントモーションの話をしました。
丸サ進行というのは、丸印の1個目と3個目に対して、
2個目と4個目がそれぞれドミナントモーションをしているものでして、
だから何度繰り返しても違和感なくスムーズなコード進行になります。
この2個目と4個目に対して、
さらにドミナントモーションをかけたのが、
丸印のついていない2つのコードなのです。
丸サ進行に寄り道要素を足して、
"minor"な雰囲気をプラスできたかなと思います。
パーカッションをひとつまみ
コードの話ばかりになってしまったので、
音色とか楽器の話について。
実は作曲した当初、
ピアノとボーカルのみで構成しようと考えていました。
曲調が曲調なのと、
一番最初に聴いていただく曲なので、
少し豪華にしようとなりまして、
様々な音を足していくことになったわけですが。
手始めにドラム、ベース、ギターなんかを入れて、
アコースティックバンド的なサウンドにしてみました。
これは失敗でした。
あまりにありふれすぎたセットだし、
私たちの雰囲気にも合っていないな〜と。
結果として、角のないベースと電子ドラムのキック音に加え、
アコギのボディを叩く音や、シェイカー、ウィンドチャイムなど、
パーカッション的な音を数多く入れ、
可愛らしいサウンド感になるようにしました。
落ち着いているけど、どこか楽しげな、
そんな曲に仕上がったかな、と思っています。
おわりに
前半、音楽用語のオンパレードにしてしまいましたが、
興味があったらぜひ調べてみてください。
私自身もコードについてはそこまで詳しくないですが、
コード進行を先に作曲すると、
毎回いろんな景色が見られるようになります。
音楽を作って、楽器を弾いて、文字を書いて。
そんな日々を唄えば、これ以上の幸せはないなと、
そう感じている毎日です。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
次回は、1st EP「Shoes」の二曲目、
「キツネ雨」について書こうと思います。