「幽霊より、生きている人間の方が怖い」〔クリシェ【凡百の陳腐句】7〕
仲間内で怪談話をしたり、「幽霊は本当に存在するのか」について議論をしたりするとき、高確率で出てくるテーゼが「幽霊より、生きている人間の方が怖い」である(後者の場合、安手の論点ずらしの役割も兼ねる)。
確かに、個々のヒューマンホラーの話は本当に怖いものが多いため、オチに一言添えれば、その場の雰囲気と相まってそれなりに「映える」かもしれない。
けど、冷静に考えれば「その程度でいっぱしのこと語った気になられても…」である。
そもそも、「人間は人間にとっての狼である」ことは、トマス・ホッブス以降当たり前だ。
それゆえ、「人間の、人間による、人間への対策」として、法や警察制度などの拡充を図ってきた。
いかに治安のいい日本といえど、皆戸締まりは必ずするであろう。
最終的には100%運次第ではあるが、ある程度対処のしようがある人間より、どうしようもない幽霊の方が少しばかり怖いのではないか、と思う。
なお、「幽霊は本当に存在するのか」について。
「幽霊は科学的に証明できない」のはセオリーなのだろう。
しかし、これを言う者で「東京の地価40億円の超一等地にある某霊所を、移転できない理由」を"科学的に"説明できる人間を一人も見ないあたり、"そういうこと"なのかなあ、と思う。