「政治家が信用できないから、選挙に行かない」〔クリシェ【凡百の陳腐句】14〕
政治家が信用できないならば、「選挙に行く」一択である。
思うに、選挙に行かない人は、数パターンの"常套句"を理由に棄権することが多い。
「忙しいから」
「政治に興味がないから」
「投票したって何も変わらないから」
「周りに意識高い系と思われるから」
「政治家が信用できないから」
など。
多種多様のあらゆる"棄権常套句"。
その中で一つ、"問題発言"といえる一言がある。
「政治家が信用できないから、選挙に行かない」
である。
発言者は、この一言に内在する"大きな自己矛盾"に気がついていないからだ。
現在の選挙制度では「一定の投票率に達しなければ、その選挙は無効」とはならない。
投票率がたとえ10%に低迷したとしても、投票結果によって政治家は選ばれ、あらゆることを決定する。
棄権をしたとしても、誰かしら政治家は選ばれ、何かしらの政策を行っていくのだ。
つまり棄権とは、「誰が当選し、どんな政策を実行しようが全てお任せします」という意思表示に他ならない。いわば誰かに白紙委任状を渡すことに等しい。
そう考えると、「政治家が信用できないから、選挙に行かない」という言い方は大きく自己矛盾を起こしている。白紙委任状を渡すという、最大級の信頼を抱いている相手にしかできないようなことを、「信用できない」といいながらやっているのだから。
政治家が信用できないならば、棄権をして「全てお任せする」べきではない。
「政治家をもって、政治家を制す」投票行動をすべきだ。
つまり、自分の望みや考え方に近い候補者・政党に投票して、他の政治家を制御してもらう。
これが、政治家が信用できないときにとれる、唯一にして最善の手なのである。
政治家が信用できない。なればこそ、選挙に行くべきだ。
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