オッペンハイマーは、イギリス人監督によるフラットな視点があってこそ、これだけの影響力を持つ作品になったと考える。日本人やアメリカ人だけの視点ではここまで踏み込んだ作品にはなり得なかっただろう。そして、それは監督が今作のオマージュ元にしたアラビアのロレンスに通ずるものである。
米映画として、オッペンハイマーの内容に皆が侃々諤々。製作はアメリカの制作会社であるからして、原則的には米映画。けど、これまで何度も映画の企画が持ち上がっては頓挫し続けたこの作品を完成までこぎ着けたのがイギリス人のクリストファー・ノーランであることは、作品を理解する上で重要である。