イキウメの『人魂を届けに』を書き終えて、充足しています。本気で演劇の神と向かい合った極限の舞台。その作品について、どれだけの言葉を、できるだけ早く、紡ぎ出せるのか。批評家として、生きることの意味を問いかけられました。一方、篠井英介さんについて、短いエッセイを書いてみたいなあとも。
魂が凍る舞台を観た。イキウメの『人魂を届けに』(前川知大作・演出)は、政治、宗教、法、死刑、共同体、無差別殺人、家族の崩壊など、多岐に渡る現在形の問題を突きつけてくる。自らの魂を売り渡してはいないか。魂を削られるような生活を送っていないか。魂をまるごと落としてはいないか。凄い。
動き出した。イキウメの『人魂を届けに』や文学座の『地獄のオルフェウス』のように、全力で針を振り切るような舞台が生まれている。コロナ禍から放たれて、キャストもスタッフも、そして観客も前のめりになっている。ようやくこんな時期が来た。ただただ嬉しい。