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【演劇】奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話(イキウメ)
2024年8月、イキウメの『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』を観劇しました。場所は、東京芸術劇場シアターイーストです。記録を残します。
〈公演期間〉
・東京公演:8月9日(金)〜9月1日(日)
・大阪公演:9月5日(木)〜8日(日)
■本作について
本作は題名にもあるように、小泉八雲が書いた怪談を原作としています。脚本・演出は、イキウメ主宰の前川知大さんです。
怪談は「語り」による形式が多いのでしょうが、本作でも、山奥の旅館に滞在する小説家、そこに訪れる男2人、旅館の女将に仲居たちによって、5つの作品が語られます。
配布チラシによると、その作品は「常識」「破られた約束」「茶碗の中」「お貞の話」「宿世の恋」の5つです。(小泉八雲の作品として私は未読ですが、いくつか青空文庫にありました。)
現代から、作品の舞台となる江戸時代や明治を振り返ります。山奥の旅館ですが、場所は日本のどこの地域でしょうか。方言もありましたが、私は正確には押さえられませんでした。和装とそれにあわせた動きも面白かったです。
■イキウメについて
観劇後、イキウメのHPで、劇団の成り立ちや過去作品、俳優の方の経歴などを追いました。主宰の前川知大さんのページに、劇団の作風について書かれた部分があり、引用します。
〈前略〉超常的な世界観で、日常生活の裏側にある世界から人間の心理を描く。見立てと、空間・時間を同時に編集するシームレスな演出を特徴とする。〈後略〉
小泉八雲の作品をベースとした本作は勿論ですが、超常的・非日常的な世界を、現実世界と対比的に見るのでしょうか。
そして、本作では話が進むにつれて、5つの小品が静かに結びついていく、深まっていく感じがしました。「シームレス」という表現に納得です。
エネルギッシュに、大きなブロックのようなものが「ズガン、ズガン」と嵌まっていく作風も面白いですが、こうした「シームレス」な演出というのも面白いですね!
私は、イキウメの舞台を観るのは、今回初めてでしたが、作風の異なる劇団を観るのは世界が広がる感じがします。また、劇団や作家、演出家などを相対的に捉えることが出来る面もあります。例えば、劇団Aの方がフィクション性が強いとか、劇団Bの方がエネルギッシュであるなど。
そして、個人的には、パワフルな作品より、落ち着いた雰囲気の作品が、好きというか、自分のテンションに近い気もします。イキウメの次回作も観てみたいなと思いました。
■その他、個別の感想など
怪談の怖い要素に、事件の真相を追うミステリーの要素や、呪いや怪奇現象ではなく現実的に捉えるとどうなのかといった要素もあり、現代と繋がっている感じがしました。
今回私は、前の方の席で観ることができました。表情まで追えたのもありますが、俳優の方々が、自分の台詞がない傍らに立つような場面でも、「役」に入っていることを感じました。カーテンコールとの違いでしょうか。グイグイ、パワフルに進む演出とはまた異なり、非日常的な要素はあるものの、落ち着いた雰囲気の舞台だからこそ、尚更、実感できたのかもしれません。
もう少し上手い纏め方や、個別の感想も書けたような気もしますが、本日は以上です。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
■キャストなど
[原案・原作]小泉八雲
[劇作・脚本・演出]前川知大
[出演]浜田信也 / 安井順平 / 盛隆二 / 森下創 / 大窪人衛 / 松岡依都美 / 生越千晴 / 平井珠生