読書記録(28)島崎藤村『夜明け前』(第一部・下)
*(第一部・上)の感想*
開港・開国の動きが、抗いようのない流れとして加速していく。退潮する尊王攘夷論は、最後に「天狗党の乱」という線香花火のごとき輝きを放って潰えた。いよいよ慶喜が大政奉還。
手元にある『もういちど読む 山川日本近代史』という高校日本史教科書(的な本)では、この辺の動きが僅か数ページに収まっている。それはそれで分かり易いけど、当時の庶民層がこの幕末激動期に何を考えどう過ごしていたか。『夜明け前』を読むと、教科書の行間に埋もれている維新のリアルな力学が浮か