マガジン

  • ちょっと気になる——納得いかない話

    日々にであった、ちょっと納得にいかない話しをご紹介。あくまでも個人の見解です。

  • デザイナーの机の上で…見つけた!

    デザイナーの机の上には、デザインが終わって出版された本や、資料用の本や、興味を曳くものがいろいろ見つかる。断って借りてくる。 視点が固まってしまいがちな自分の視点が拡がるのが分かる。

  • (裏)浅草通信

    裏浅草裏観音が好きでずっとそこを拠点にしている。感覚も生き様も。主には裏浅草の食べ物を気にした通信でもあるけれど、蔵前あたりにまで出張って、おいしもの素敵な場所を紹介したりもする。気ままな通信。

  • 中川多理 Favorite Journal[樺太/サハリン]

    神田『Passage』中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より 特集[サハリン/樺太]の本を読む

  • 中川多理 Favorite Journal から本を読む

    https://passage.allreviews.jp/store/CX7JTYBNZAS6H5YUEW65NVB2に登録された本は、毎月、あるテーマによって選ばれている。それを読み解き、もって歩きながらの感想を述べる。

最近の記事

『老天使の肋骨』中川多理人形展までの徒然⑴

展覧会のタイトルは『老天使の肋骨』と決まって 中川多理はいま窯の作業も仕上げの裁縫も佳境に入っている。 会場は元映画館。 11月29日から12月3日までの展示となる。 中川多理は最終作業に入ると、所謂文芸的頭を動かさなくなる。本人の言葉によれば動かなくなる。 なので代替えに少し、展覧会の背景を紹介していく。 ただし、あくまでも予想で想像なので、展覧会までの盛り上げ、期待の時間稼ぎというようなものとして受けとめて頂きたい。 イメージやコンセプトを受けたものは、 『老水夫

    • 日々是徒然/『一匹のトカゲが焼けた石の上を過った』/笠井久子

       いろいろな人生があって、人それぞれなんだという、ほんとうにあたり前のことが、ようやくうっすらと分かりかけて来た頃に、人生は終わりを迎える。そんなものなのだろう。とくに半ちくに生きてくれば。  編集のまねごとをやってきたからなのか、もともとそういう性だったのか、人に従って生きてきた。人の欲望を見ながら伺いながら過ごしてきた。  人の欲望は、自分の欲望に置き換わり得ない。それでもそれを興味としてきた。生きるエネルギーにしてきた。  ここで云う欲望とは、演劇をする欲望、絵を描く

      • 中川多理 Favorite Journal/『ゴダールの悪魔』尾崎まゆみ/書肆侃侃房

        Passageに黒い背の奇麗な歌集をみつけて、すらりと抜いてみる。 『ゴダールの悪魔』尾崎まゆみ/書肆侃侃房。 中川多理は展覧会が近い。11月末から元映画館で展示がある。その関係だろうか、悪魔とか天使とかがタイトルについている本がPassageに何冊も入荷している。 感覚についていけるようにと、何冊か購入した。 今回の、展覧会のために整えている感覚は、身体、人形、人形の内部/空、肋骨…。 無意識に歌を抜き書きすると、なんとなく展覧会に関連するものになった。 地下鉄へ螺旋

        • 夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』④Coda/仮のお話/ある想定問答集

          ある人形作家に攻撃を受けて、撤退を始めたのが2013年だからもう十年が経つ。ギャラリーはもちろん、雑誌の仕事もやめている。やるとしても、極力人と係わらないようにして作業する。 辞めても、自分の感覚は事件以前には戻らない。びくびくしながら、人との対応をしている。対人の仕事は、インタビューを含めて一切したくない。できない。 ことを起こした、ある人形作家は、出禁のままだが、それでも突然、情報収集に来たりすると、僕は逃げ出して顔を合わせないようにする。お願いだから近づかないでね…

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        • 『老天使の肋骨』中川多理人形展までの徒然⑴

        • 日々是徒然/『一匹のトカゲが焼けた石の上を過った』/笠井久子

        • 中川多理 Favorite Journal/『ゴダールの悪魔』尾崎まゆみ/書肆侃侃房

        • 夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』④Coda/仮のお話/ある想定問答集

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          8本
        • デザイナーの机の上で…見つけた!
          3本
        • (裏)浅草通信
          18本
        • 中川多理 Favorite Journal[樺太/サハリン]
          3本
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          13本
        • 山尾悠子・中川多理のコラボレーション・ドキュメント
          9本

        記事

          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』③エピローグ

          エピローグ  夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』の記事の後日談が少しだけある。  岡田尊司さんの治療から戻って…(その途中にも別件のストーキング的ボーダー行為をされたが、それはいつか…いや、たぶん語る機会はないと思う。)そのドキュメントを夜想『少女』特集に掲載する準備をはじめた。    そのときビスを辞めることを決めていた。もしかしたら夜想も引退するかもしれない。それは何となく世の中にも伝わっていた。理由説明として記事を読んでもらいたいと思って、治療の記事をのせ

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          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』③エピローグ

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          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』 2

          プロローグの続きが、 夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』になる。 大糾弾大会のあとに、その人形作家の友人の映像作家が、教えてくれた「あの人は境界性人格障害だと思うよ」と。調べて行くうちに、10年分くらいの衝撃が自分を襲った。引退勧告されなくても、仕事できないくらいのショックだった。それで大阪まで精神治療に行くことになった。 夜想に載せたのはその時の、ドキュメントだ。 ぜひ、読んでいただきたいと思う。 そして、大阪に治療を受けに行く前にもう一つ事件が起きた。 パラ

          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』 2

          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』 公開されなかったプロローグ

           最近、ぽつぽつと、夜想『少女』の号が、バックナンバーで動いているので、なんでだろうと思いながら、久しぶりに自分が書いた『少女的?拡がる痛みの心性』を、読み返してみた。鮮やかにその時の痛みは甦る。そのときのことは、気持ちの中で何も整理されていないし、ある種、自分で理解もしていない。封印してあるようなことだ。記事を読んだらふつふつと戻りがあった。  むかしの自分、境界性人格障害の人について、必死になって様子を取材しているのが痛々しい。何にも分かっていなかったから、あの時は…。も

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          夜想『少女』特集『少女的?拡がる痛みの心性』 公開されなかったプロローグ

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          ◎歌集・ミントコンディション◎光野律子/デザイナーの机の上に

          デザイナーの机の上に本を見つけた。ミント色をした歌集だった。 ◎歌集ミントコンディション◎光野律子 でもこのミントは、カードのトレーディングや美術品の二次販売のときに使う「新品同様」のミントだ。 そのことは、自身のあとがきの中にも書いてある。作者の新品同様の気持ちでリスタートする決意が込められている。 わが裡に黒胆汁の満ちくるや水無月の朝のメランコリアよ 弁護士が狎れた口調にわがな呼ぶ黙せば秋の夜は更けゆく   上の句、まさに自分も経験した。弁護士はクライアントのため

          ◎歌集・ミントコンディション◎光野律子/デザイナーの机の上に

          日々是徒然/松岡正剛「わかりやすさ」に抵抗がある/朝日デジタル

          ____________松岡正剛 だいぶ以前から、悩んでいることがあって、未だに解決の糸口さえみえない。 そうしているうちに消滅のときは来るのだから、生きているということはこういうことなのだろうなとも思う。 若い頃から、その時に旬の表現をしていた作家の傍に居させてもらうことが多かった。寺山修司、土方巽、一瞬だけどヨゼフボイス、泉勝志、折田克子、笠井叡、田中泯、そして勅使川原三郎…まだまだ挙げるときりがない。坂本龍一の『アヴェックピアノ』『TVWAR』もディレクションしなが

          日々是徒然/松岡正剛「わかりやすさ」に抵抗がある/朝日デジタル

          (裏)浅草通信[桃のお尻の話] 2024/08/09

           桃のようなお尻の話じゃなくて、お尻のような桃のはなし。  今年も猛暑。そして桃の季節になった。今年は、桃を食べる機会が向うからやってくる。時々寄っていた上野近いカフェ[Nagi Ueno]。桃のチーズケーキが売りの一つ、お店では食べられていなかった。その[Nagi Ueno]が、ポップアップで浅草のホテル一階に[Petika sukemasacoffee]に登場するということで、自転車で、会社からちゃっと駆けつけた。薔薇の花のような姿のチーズケーキ。味も、イ・ケ・ル。 す

          (裏)浅草通信[桃のお尻の話] 2024/08/09

          (裏)浅草通信 2024/08/06

          ここ5年ほどで浅草もだいぶ変わった。 自分も大きな病をして、そことつきあいながら生きていくことになった。 浅草もだいぶ長いし、裏浅草、裏観音のちょっとした食べ物情報を書いていこうと思ったのだが、コロナがあって、戦争が継続して、災害も多くなり、気候も明らかにおかしい。体温より高い気温の日が、こんなに続くなんて…。 浅草の不動産事情も変化があって、元々そんなに安くはないけれど、一坪250万の賃料のところもある。なんだかしらないが、神戸牛の店がやたら多くなっているし、そして観光

          (裏)浅草通信 2024/08/06

          ミテ第167号 追悼唐十郎 其のⅡ

          『ミて』第167号について少し書いてnoteにしたら、新井高子さんに反応をいただいた。 その言葉にまた思うことがあって、さらにそれをメモのように書き記す。 書きながらおもっていること。 ○泣く演出家・泣く役者 近藤結宥花さんの文章 、私も感動しました。唐さんは彼女の情の濃さが大好きだったんだと思います。自分の稽古場での宴会でも、結宥花さんがいると、劇中歌を歌うことを必ず所望し、そして、聴きならたいていは泣いて いました。(新井高子) という言葉を新井高子さんからいただい

          ミテ第167号 追悼唐十郎 其のⅡ

          ミテ第167号 追悼唐十郎 号

           新宿梁山泊の見はじめたのは、第5回公演の「千年の孤独」からだった。誘われてでかけたのだが、すぐさまに虜になった。(『千年の孤独』は戯曲を出版してもいる)多くの個性派の役者の中に、近藤結宥花はいた。女学生のような、それでいてちょっと大人なような…新宿梁山泊の役者の個性とはちょっと違った方見ている個性だったが、光りを放っていた。その近藤結宥花が、追悼号に寄稿している。唐十郎ともだいぶ縁深い関係だったのだと、はじめて知った。  酔っぱらって肩を組んで歩いたとか、いろいろな言葉を書

          ミテ第167号 追悼唐十郎 号

          中川多理『廃鳥庭園 PartⅡ』 ~Petit(プティ)

          『廃鳥庭園 PartⅡ』 ~Petit(プティ)の展覧会がはじまった。  展覧会が、始まる前に、人形の柔らかいことと可愛いについて少し書いた 下にリンクを貼ってあるので、よろしければ読んで下さい。  人形の~と、書いたけれども、この展覧会では、それがとても重要なところだ。  この展覧会には、川野芽生の
――ありあはせの布(きれ)をあつめてなんどでもつくつてほしいぼくのからだを(『人形歌集・骨ならびにボネ』川野芽生)という歌が添えてある。
この歌が、ぬいぐるみ界隈で話題にな

          中川多理『廃鳥庭園 PartⅡ』 ~Petit(プティ)

          『一首のものがたり』加古陽治

           其の本の、ぱっと開いたところが俵万智の記述だった。仕合わせそうなヒット物語で、なんでいまさらこんなもの読まなくてはならないのだと、ぱっとゴミ箱にほおりこんだ。普段、そんなことはしないのに、良く分からない衝動だった。  一ヶ月したときに、本がゴミ箱の側に置かれるようにしてあるのに気がついた。誰かがゴミ箱から救ったのか、手元狂って側に落ちていたのか。  捨てるなということなのかと気をとりなおした。  なえし手に手を添へもらひわがならす鐘はあしたの空にひびかふ 谷川秋夫『ひま

          『一首のものがたり』加古陽治

          中川多理『白堊』について/展覧会が始まる前に思ったこと

           鳥越神社のすぐそば、九楊ビルのパラボリカビスに、厳重に梱包された人形たちが運び込まれた。最近、いろいろなことが気にかかっていた。最近じゃないかもしれない。ずっと思いつづけていたのかもしれない。行動するには、今なのかもしれない。  ビスクになっての本格スタートなので、もちろん出来も気にかからない分けでもなかったが、いつも、何かを変化させてもそれでトップレベルに到達するので、そこはまったく気にしていなかった。  運び込まれた日の夜遅く、ひとりで会場に入ったが、人形は梱包を解か

          中川多理『白堊』について/展覧会が始まる前に思ったこと