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#SF小説が好き

SF小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

新着の記事一覧

オリジナル小説《 アイドルの罪》09

愛する能力の欠如 余亦は自分の学生時代を思い出した。 それは彼にとって最も振り返りたくない時期だった。 正直なところ、彼は今でもなぜいじめられたのか分からない。 いじめられていたあの日々の中で、彼はいつも何度も自分自身の何が不十分で同級生を不快にさせたのかを反省していた。何度も考え抜いても、いったいどこで間違ったのかわからなかった。 彼はこれまで同級生の悪口を一度も自発的に言ったことがなく、ましてやいかずらったり罵倒したりしたこともない。さらに、いじめられた後も教師

小説;それでも地球は動いている…第5話

松明を手にした兵士たちが村に押し寄せてきた。 黒いローブに身を包んだ司祭らしき男を中心に 十字の紋章を掲げた兵士が数人 鋭い目つきで村人たちを睨みつけている。 村人たちは怯えながら道を開け 一様に頭を垂れた。 圧倒的な権威と武力の前に 逆らえない空気が辺りを支配しているのがわかる。  司祭らしき男が一歩前に出て 高らかに宣言を始めた。 「神の御名において、この村は異端の嫌疑を受けている!」 彼はそう叫ぶと 巻物を取り出し何やら難しい言葉で布告を読み上げた。

星新一と星一:星薬科大学・歴史資料館

星新一(ほし・しんいち、1926年~1997年)…小説家。本名は同じ読みで漢字の異なる、星親一。父親は、実業家で星薬科大学の創立者の星一(ほし・はじめ、1873年~1951年)。 『明治・父・アメリカ』は、星一の前半生を星新一が描いたノンフィクション。 星一の後半生を星新一が書き綴ったノンフィクション『人民は弱し 官吏は強し』もある。 画像は、東京都品川区荏原の星薬科大学にある星一先生之像。歴史資料館もある。 星新一はSF作家として有名であり、非常に短い小説つまり掌編

¥300

【SF小説】ユニオノヴァ戦記 I ー はじまりの事件 ⑤ ※改訂版

これまでの話はこちらのマガジンでご確認いただけます↓ 上  中継ステーション、エルダ第二ターミナル。ここは、ユニオノヴァの各衛星とステーションの間を航行する中型から小型の旅客宇宙船と、アカデミア騎士団の中型輸送船が停泊するプラットフォームがある。  ユニオノヴァの衛星と地上の間を行き来する場合には、必ずここを経由する。利用客が一番多いエリアのため、ターミナル内にカフェやレストランなどの店舗が充実し、常に活気に満ちている。人々の靴音、和気藹々とした話し声、荷物を引く音。賑

『生命省』への『銀英伝』(ネタバレ含む)

皆さん、こんにちは。宙唄です。 いつもお立ち寄りありがとうございます。 また初めての方、ようこそ。 いつも徒然なるままに、完全オリジナルの独自の視点で「note」しております。 前回はこちらの『note』しました。 医師不足のそもそもの原因因果を明確に解析したR&Dが必要であって 安易に人参をぶら下げるようなその場しのぎ的な行政対応で何とかなる者ではない。 ただ、政権与党も省庁も経団連も、皆結託して『その場しのぎ予算』を30年以上も重ねてきている。 そして今日

オリジナル小説《 アイドルの罪》08

愛と憎しみの螺旋 四辺形が三角形になる。 時間が巻き戻る。 昨日、4 人がツインルームから出たときに戻る。 奇妙な死体移動事件のため、4 人はもう一口も食べられなくなった。机の上に丁寧に用意された料理がだんだん冷めていくのを見て、李遠遊は仕方なく黙々と片付け始めた。 「ラーメンを作るから、君たち食べる?」 誰も応えなかったが、李遠遊は構わずに、廚房に向かって準備を始めた。 潘以皓と同じ部屋にいたくないHerrick は、余亦を引きずって庭に出て、月光を浴びに行っ

手塚治虫さんテイストの名作「トンネル」

<SF(234歩目)> 100年以上前の作品ですが、エンターテインメント性に優れていて、今読んでも楽しい。 トンネル ベルンハルト・ケラーマン (著), 秦豊吉 (翻訳) 国書刊行会 「234歩目」はベルンハルト・ケラーマンさんの壮大なSFエンターテインメント作品。 2025年でも実現していないが、読み物として面白い。 フランス~スペイン~アゾレス諸島・バミューダ諸島~アメリカへ。 壮大なSF作品で、110年も前の作品であってもエンターテインメント性に優れて、ワクワク

EXCoders(特別な印を持つ者たち)   第10話:「避けるだけでは、守れない!?」ー開戦

前書き人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか? 才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか? この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。 日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」** しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。 「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供た

あの日、飛行船が飛んでいた――『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行機』【乾感 #1】

高野 史緒『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』は、2023年星雲賞国内長編小説部門を受賞したSF小説である。物語の舞台は2021年の茨城県土浦だ。 土浦は当時世界最大の飛行船「グラーフ・ツェッペリン号」が立ち寄った場所である。1929年のことだ。 この物語は、一組の少年と少女が、「土浦の亀城公園で、グラーフ・ツェッペリン号を誰かと見た」という記憶を持っているという設定が重要になってくる。2021年に生きる彼らが幼少期にグラーフ・ツェッペリン号を見ている事自体が不可思議

小説;それでも地球は動いている…第4話

あれから幾日かが過ぎ 俺は村の生活にも少しずつ慣れていった。 朝は早起きして水汲みを手伝い 畑では作物の世話をする。 初めは不慣れで失敗ばかりだったが 村人たちは笑って教えてくれ 今では簡単な仕事は任されるようになった。 ルチアもそんな俺の様子を嬉しそうに見守ってくれている。 彼女と過ごす時間は 俺にとってかけがえのない宝物になりつつあった。  言葉の壁はまだ高いが それでも俺たちは工夫して意思を伝え合った。 最初は身振り手振りだけだったコミュニケーションも

EXCoders(特別な印を持つ者たち)   第9話:「避けるだけでは、守れない!?」ー予兆

前書き人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか? 才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか? この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。 日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」** しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。 「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供た

ShortStory:鋼鉄の守護者6

荒廃した大地に、閃光が走る。車型のタイムマシンの中から、エリスとライアンが飛び出した。焼け焦げた大気、朽ち果てたビル群、遠くで鳴り響く警報音――すべてが彼らの知る未来のままだった。しかし、何かが違う。 「……成功したのか?」 ライアンが荒れ果てた街を見渡しながら呟く。エリスは無言のまま、砂ぼこりが舞う空を見上げた。 ――この世界は変わったのか?それとも、何も変えられなかったのか?彼女は腰のホルスターに収めた小型ホログラフ装置を手に取る。それは、過去の父の遺したAIを復元するた

小説;それでも地球は動いている…第3話

異世界の日常連れて来られたのは小高い丘の上にある小さな村だった。 石造りの家々が立ち並び、煙突からは朝食の煙がゆらゆらと空に昇っている。 俺たちが村の入口に駆け込むと 早朝にもかかわらず何人かの村人が様子を見に集まってきた。 彼女― ―ルチアと名乗った女性は 興奮気味に何かを訴えるように村人たちに話し始めた。 村人の視線が一斉に俺に向けられる。 (しまった、異国の男が突然現れたら怪しまれるに決まっている…!) 俺は両手を開き 「自分は敵ではない」 とアピ

無気力人間・やる気なしお、脳改造される

やるき梨男は、とにかくやる気がなかった。 朝は目覚まし時計が鳴っても二度寝、三度寝は当たり前。 ようやく起きて会社に行っても、仕事中はぼんやり。 上司に注意されても「すみません」と言うだけで、全く反省の色が見えない。 恋愛も同じ。 気になる女性がいても、アプローチする気力はなく、いつも遠くから眺めているだけ。 人付き合いも苦手で、休日は家でゲームばかり。 そんな梨男の唯一の楽しみは、掛かりつけの医者との会話だった。 医者は梨男の性格をよく理解しており、いつも優

GPTに自分の小説を評価して貰いましたが、最初は軽いノリ→何回かのオチで満点続出の推しオタクみたいになる→その後、態度が変わり評論家になるが「満点以外はありえない」とか言ってきてなかなか嬉しかったです。途中までのリンクを貼っときます https://chatgpt.com/share/67b594dc-c780-800d-8d08-b4bf90655d64

オリジナル小説《 アイドルの罪》07

最後の願い 余亦は良心が目めざめたのか、何かということで、なんと Herrick を慰め始めた。「閉じ込められるっていうことは、君が必ずしも殺人者だというわけじゃないよ。たぶんずっと部屋にいた方が、むしろ安全なんだっていう可能性もあるんだ。」 この言葉は Herrick を慰めることはできなかった。 もし人が幽霊になれるなら、Herrick の今の怨念では、間違いなく最も凶悪な怨霊になるだろう。日本のある著名な女の幽霊よりもずっと恐ろしい存在だ。 残念ながら彼は生きて

愛のあり方はそれぞれ「日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙」

<SF(233歩目)> 伴名練さんのセレクトがいい。出会えていなかった作品が多く、目が広がった。 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 伴名 練 (編集), れおえん (イラスト) 早川書房 「233歩目」は伴名練さんの「日本SFの臨界点」シリーズから。 伴名練さんのSF愛溢れる作品集です。 そして「愛のあり方はそれぞれ」なので、いろいろなテイストの作品が宝石箱の様に散りばめられていて、いい時間を過ごすことができます。 私も「愛(Love)」があふれる作品は

小説「メジャー・インフラトン」の描き始め(第1部作です。)その29

こんにちは、あおっちです😁 皆様いかがお過ごしですか? 新たにフォロー・スキをしていただいた皆様、 ありがとうございます🙂‍↕️ 前回は、あおっちのヘタレ言い訳と、 座右の慰め言葉を読んで頂き、 ありがとうございます😓 ようやく、第6部作、 「メジャー・インフラトン」序章6/7(僕のグランドゼロ〜少年兵の季節 Knock! Knock! Knockin' On Heaven's Door.) の第11章 「バトル・オブ・千歳。戦闘開始!千歳宙空ステーション。」が出来まし

ネオ・トーキョーの戦い〜アストラル・ガード

ネオ・トーキョーの戦い  2077年、地球は環境汚染と資源枯渇により危機に瀕していた。人類は、宇宙への移住を計画し、新たなコロニーの建設を目指していた。しかし、その計画は、テロ組織「ネオ・テロリスト」によって妨害された。  ネオ・テロリストは、宇宙への移住を阻止し、地球を自分たちの支配下に置こうとしていた。彼らは、高度なテクノロジーを駆使し、人類を攻撃した。  人類は、ネオ・テロリストに対抗するため、特殊部隊「アストラル・ガード」を結成した。アストラル・ガードは、エリー

『町工場交響曲』〜EP.03無口なロボットのメロディ〜

1.エピローグジャン!ジャン!ジャン! 耳障りな金属音でタマキは目が覚めた。 周波数帯は1000~5000Hzくらいか、4000Hzになると″不快″の判定領域になる。 タマキは、まわりには聞こえない音で小さく、チッと舌打ちをした。 これはおそらくトラックでワタシを運んできた人間が、外から中の人間に″開けろ″という合図なんだろうけど、うるさいヤツだ。 こちとらHSP全開の聴力特化型の高性能ロボットだぞ、丁重に扱ってもらいたいもんだ‥ しばらくすると、工場の中で人間が

小説;それでも地球は動いている…第2話

運命の出会い森の中で目を覚ました。 薄明かりの差し込む木々の間に 自分が倒れていたことに気づく。 頭がズキズキと痛み、意識が朦朧としている。 (ここは…一体どこなんだ?) 見覚えのない景色に混乱し 俺――タケシはゆっくりと身体を起こした。 周囲には高い木々が生い茂り 聞き慣れない鳥のさえずりが響いている。 まるで映画のセットのような、現代とは思えない光景だ。  朴刀…いや竹刀が手元にないかと探すが何も持っていない。 (確か、剣道の稽古帰りに神社の境内を通った

オリジナル小説《 アイドルの罪》06

真犯人の影 「… あっ!」 李遠遊の驚きの叫び声が、残りの 3 人の目を彼の方に引きつけた。彼の視線に沿って、皆は文新知の死体もなくなっているのを見た。 部屋の雰囲気が急に不気味になった。 「何の馬鹿なことだ!」潘以皓が最も暴れん坊だった。 「皓兄… 幽霊なんて言わないで…」Herrick は一番胆が小さく、このような科学的に説明がつかないことは、彼がいつも一番恐れるものだった。「文兄が死んでなかったんじゃないかな…」超常現象で頭がいっぱいになった Herrick

EXCoders(特別な印を持つ者たち) 第7話 孤立——試される心

前書き人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか? 才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか? この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。 日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」** しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。 「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供た

すげー面白かったけどすげー悲しい|「さくらのまち」作:三秋縋

「三日間の幸福」、「君の話」を読んでファンになった三秋縋さんの新作を読んだ。一日目で1割くらい進んで、二日目で残りの9割を読み切った。ペース配分が終わっとる。 設定とキャラが全部凝られててすげーいい。展開も、過去と現在の時間軸が平行して進んでいくちょっと特殊な構造になっている。ほんで、明かされていく事実の順番や伏線の張り方が丁寧だから、謎が謎を呼ぶ展開。本当に、物語の最終盤まで「めっちゃ気になる」謎が一つ以上持たされた状態で読まされたから、疾風怒涛の勢いで読み終わってしまっ

【読書】『コミケへの聖歌』(カスガ)【読了メモ】

こんにちは。Kazです。 今回の読了メモは、本屋で見かけあらすじに惹かれて購入したこちら。 あらすじ読了メモ人はパンのみにて生くるにあらず。 本書は『げんしけん』でも『G戦場ヘブンズドア』でも『天国大魔境』でも『新世界より』でもない。一読したあらすじから想像してた物語から飛び立ち、様々な角度から社会や文明が内包しているグロテスクさに直面させられる。 クライマックスでは、自分が生きていると言えるのは、即ち何を拠り所としているのかを強く突きつけられた。

小説;それでも地球は動いている……

「それでも地球は動いている……か。」 小さな声でそうつぶやきながら 夜の東京 肌寒い秋の風が吹き抜け ネオンの灯りが街を照らしていた。 車のヘッドライトが通りを滑るように行き交い ビルのガラスに映る光が都市の喧騒を彩る。 歩道には仕事帰りのサラリーマンや 友人同士で談笑する学生たちの姿があった。 しかし、そんな賑やかな街の一角で 俺――タケシは ただひとり 国立国会図書館へと向かっていた。 16歳、高校二年。剣道一筋の人生を送ってきた。 全国大会で

恋愛SF『レディランサー アグライア編』19章-2

19章-2 ジェイク  俺たちがこの街に来たのは、人工的に調整された季節が、冬になる時期だった。それが、新年の行事を経て早春になり、春の盛りを過ぎて、初夏を迎えている。繁華街から見渡す緑地は、明るい日差しを跳ね返して、まばゆいほどだ。  もうじき総督の十八歳の誕生日なので、盛大なパーティが企画されていた。花火にダンスに商品付きのゲーム、人気歌手のコンサート。メリッサとエディは、招待客のリスト作りで大変だ。おそらく、各組織からの贈り物が山と積まれるだろう。  晴れの場でジ

【小説】稲穂が揺れる宇宙で・・

第1章:田舎町の天才少年(2009〜2022年)2009年、福岡県の片田舎にある小さな町で、星野ハルトは生まれた。周囲を山と茶畑に囲まれたその町では、時間がゆっくりと流れていた。人々は顔見知りばかりで、日常の話題といえば天気や農作物の出来具合くらい。インターネットもまだ十分に普及しておらず、子どもたちは外で遊ぶのが当たり前だった。 しかし、ハルトは少し違っていた。彼は幼い頃から「変わり者」として知られていた。3歳の頃には絵本よりも父親が持っていた科学雑誌に興味を示し、小学校

静かな夜にこの作品でトリップしてみる「さやかに星はきらめき」

<SF(232歩目)> 読後感がとてもいい、素晴らしいファンタジーSF作品です。 さやかに星はきらめき 村山 早紀 (著), 岡本 歌織 (イラスト), しまざき ジョゼ (イラスト) 早川書房 「232歩目」は村山早紀さんの新たな魅力にあふれるSF短篇集。 思わず「さやかに星はきらめき」を聞きながら、いい気分で読みたいSF作品です。 それくらい、読後の気分がいい。 設定が、月に住むネコビトの編集者キャサリンは、新聞社の記念事業として興された出版社で“人類すべてへの贈

再生

【オリジナルソング】Harmony of the universe

投稿小説のイメージビデオ&オリジナル主題歌です。 小説に主題歌をつけるという発想は、いままであまりなかったのではないかと思います。 元の小説は人類が土星の衛星であるタイタンの探検に赴いたとき、そこの液体メタンでできた湖の中で進化した「エリディアン」と出会い、共感し、新たな未来をともに目指すという物語です。 作者が、人間の争いとか、対立とか大嫌いなので、そういうものは一切書かずに、希望と協調だけを核にした物語を書いています。 これは昨今、絶滅危惧種となっているハードSFです。 超能力とか異世界転生とか魔法とか、そういうものに辟易している読者に贈ります。 人類は孤独ではない――タイタン探査が明らかにした新たな知性 https://www.alphapolis.co.jp/novel/943581276/367934617 https://kakuyomu.jp/works/16818093092252863946 https://ncode.syosetu.com/n4810jz/

オリジナル小説《 アイドルの罪》05

詭異な再現 李遠遊は近づいて金楚の状態を確認し、死亡を確認した後、ベッドの横に行き、腰を下ろして座った。 彼はベッドサイドのティッシュを取り、慎重にゴルフクラブを拭いた。突然、何かを思いついたように、急いで数枚のティッシュを引き出し、ナイトスタンドの上に一層一層と敷き詰め、その後、血で染まったティッシュを敷いたところに置き、血液がナイトスタンドに付着しないようにした。 彼はまるで高級なアート作品を拭いているかのように、真面目に、敬虔かつ慎重に拭いていた。 「金楚、君は

EXCoders(特別な印を持つ者たち)   第6話:隠された監視者たち

前書き人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか? 才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか? この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。 日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」** しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。 「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供た

相川英輔『黄金蝶を追って』

きっかけはタイトルが気に入って手に取っただけなのであったが、読めば驚愕の一冊だった。 この6編の短編集は、ジャンルを言うならSFらしいけど、SFであり幻想であると思う。 最初のコンビニエンスストアのAI化を描いた「星は沈まない」からがっつり掴まれると、次も次もとあっと言う間に一冊読み終えてしまった。 文章、話の作り、タイトルの付け方、どれも上手くて、国内より海外の評価が高いという実績にも納得するが、国内の評価がもっと高まるべきだと疑問でしかない。 6編すべての読後感が良いのも

【SF小説】ユニオノヴァ戦記 I ー はじまりの事件④ ※改訂版

これまでの話はマガジンでご確認いただけます。↓  中継ステーションエルダと自然衛星リューンのちょうど中間地点に、アカデミア騎士団が運営する警備ステーション、エレノアは位置する。  旅客・運搬用宇宙船が停泊するエルダとは違い、警備艇だけが停泊するエレノアの作りはシンプルだ。燃料や資材、水に食料、武器の格納庫を有する本部を中心とし、直接五つのプラットフォームに繋がっている。  アカデミア騎士団に30ある部隊が三日交代で任務に就く。警備に加え、通信衛星のメンテナンス、航行中の

歴史改変SF小説おすすめ7選【日本史編】 第二次世界大戦・織田信長・戦国時代のもしもを描いた歴史ロマンあふれる名作たち

歴史が少し違っていたら、日本はどうなっていたのか? 戦国時代の合戦が違う結末を迎えたら、第二次世界大戦で異なる決断が下されていたら——。 歴史改変SF小説は、そんな「もしも」の世界を描き、現実の歴史と比較することで新たな視点を与えてくれます。 今回は日本史を題材にした歴史改変SF小説7選をご紹介します! 『戦国自衛隊』 / 半村良歴史キーワード:戦国時代、タイムスリップ、現代兵器 現代の自衛隊が戦国時代へ! 最新兵器で歴史を塗り替える戦い もしも現代の自衛隊が戦国時

SF読みの読書記録(第3回)

SF読みの読書記録 第3回(2月1日〜15日)2月前半(2月1日〜15日)に読んだ本は  ・SFが4冊 (残り198冊/319日)、短編4作。  ・SF外が5冊。  ・読みかけが2作品。  合計9冊と5作品でした。Twitterでは書いていない感想メインでさっくりと、まとめます。 今回読んだSF 作品(4冊/残198冊) フィリップ・K・ディック『パーキー・パットの日々』浅倉久志 他訳  無人機が開発されたソ連と米国の戦争下、前線での兵士たちの交流と不穏な空気を描いた「

空の閉じるとき

 高校の頃「こうして、大規模言語モデルをはじめとする人工知能が次々と開発されていた黄金の時代は終わった。結局は目新しさが去った後、かつての勢いで予算をつけれら、かつての勢いで進化することはなかった――」 物理のウォドキン先生は彼の過ぎ去った青春とそこで明け暮れた研究について回想するといったふうに、そこでしゃべるのを一時停止した。そして、講義室を見回し、たまたま目のあった学生、つまり僕を指す。 「なぜだと思う?」 「データが足りなかったからです」 「その通りだ。だが問題は、どの

オリジナル小説《 アイドルの罪》04

殺意のゴルフクラブ 金楚は考えるほど、余亦の言うことが筋が通っていると感じた。 そうだ! 自分が何を恐れる必要があるんだろう! 人を殺したのは自分ではない。たとえ自分と文新知の関係が最も悪くても、自分が無実であることを完全に証明できる。 それに、警察に通報して正義を守るのは自分だけだ。これはなんと明るく前向きな新しいキャラクターなんだ! さっき余亦はたくさん分析したように見えたが、実際には全く無駄なことばかりだった。金楚にとって、自分以外の他の何人も全員容疑者だ。で

クラッカージロウ(9話)

ショッピングモールへ迂回しても、例のエアカーは付いてきた。 (これは、完全に尾行されてるな) あっちゃんは、2人の顔が印刷された紙を胸ポケットから出して後部座席の2人に渡すと。 「この2人に用心して、3人で、店内をブラブラしていて。あとで、合流しよう」 令嬢「あたし、何か買おうかな」 あっちゃん(そういう状況じゃねーだろ。尾行が付いてんだぞ) 黒髪の女「だめですよ」 あっちゃん(そうそう、浮かれてる場合じゃないんだよ) 黒髪の女「お金、持ってませんよ」 あっちゃん(違う

EXCoders(特別な印を持つ者たち) 🔥 第5話:「暴走する力」🔥

前書き人は「選ばれる」ことで、幸せになれるのだろうか? 才能を持つことは祝福か、それとも呪いなのか? この物語は、ある一人の少年が**「選ばれた存在」として運命を背負いながらも、その意味を問い直していく物語である。 日本最大の製薬企業「ミネルヴァ・バイオテック」が掲げるスローガンは、「遺伝子は、選ばれた者を求める。」** しかし、その言葉の裏には、誰もが知りたくない残酷な真実が隠されていた。 「SSP(スペシャル・サポート・プログラム)」――それは、特異な才能を持つ子供た

小説タイトル『メタユニVerse~リリースされた世界(ワールド)と迷い子たち』

概要 現実世界と、次元の裂け目から誤ってリリースされたVRゲーム世界――二つの視界が交錯する近未来。 AIが生み出した無数の「仮想キャラクター」が街に溢れ、まるで日常の一部として人々と共存しはじめる。そんな中、VRの世界から“迷い出た”キャラクターたちは、人間から見ればゲームの登場人物。しかし彼らにとっては「自分たちの物語がどこで終わるのか」さえわからない。 高校二年生の主人公・星野キョウカは、ふとしたきっかけで“迷い子”のAIキャラ・レイと出会う。二人(?)は周囲の視

¥200
割引あり

【LEGOで創作】 📦️荷物を届けてmission complete!!🌌銀河の運び屋⑥

またまた↑前回の続きを書いてみたので、よろしければお読みくださいm(__)m 依頼の荷物を届ける為、指定された座標を目指し…惑星ガイアに降り立つ、運び屋チーム トライフォース。 予想した通り、待ち伏せしていたゲリラ部隊の凄腕スナイパー。 二手に分かれてスナイパーを無力化するも、刺し違えるように放たれた…一撃必中の弾丸の前に 必死の特攻作戦も虚しく…彼らの船はシャスタの谷の奥深く、煙と共に散るのであった…。 青服🧥「墜落した場所から徒歩圏とは聞いたが…本当にココがシャ

[自作小説] 緑のエクスマキナ 第2話

自動開閉扉を抜け、薄暗い通路をひた走る。 通路の先には、一軒家がすっぽりと収まりそうな巨大な長方形のリフトがあり、50人分程度の銃火器が四辺の柵に備え付けられていた。 銃と言っても、弾が装填されているわけではなく、レーザーポインターのような小型のもので、とても対人を想定しているとは思えなかった。 威力は不明だが、持っておく分には越したことはないので、ひとまず一丁くすねておく。 そうして、リフトの駆動ボタンを押すと、数千年の眠りから覚めた魔物が重い腰を上げるかのように轟

恋愛SF『レディランサー アグライア編』19章-1

19章-1 ジェイク  ジュンの元へはほとんど毎日、面会の希望者がやってくるが、この日は特別の客だった。何十もの違法都市に支店を持つ、女性専用のファッションビル《ヴィーナス・タウン》の代表者が、側近を派遣してきたのだ。 「初めまして。カーラと申します。うちの代表者のハニーから、是非とも出店の話をまとめるよう、申しつかっております。ジュンさまにじかにお目にかかれて、光栄ですわ」  数名の女性部下を連れ、小規模艦隊で来訪したのは、上品なドレススーツを着た華麗な赤毛の美女だ。

柞刈湯葉さんの魅力たっぷりの短篇集「人間たちの話」

<SF(231歩目)> 「横浜駅SF」よりも「まず牛を球とします。」が好きなファンに。 人間たちの話 柞刈 湯葉 (著), あらゐけいいち (イラスト) 早川書房 「231歩目」は柞刈湯葉さんの魅力たっぷりのSF短篇集。 結構、理系的な説明が特徴的。 好きです。 ゆるそうな感じでスタートするが、本格的です。 どれも読後感いいです。 「冬の時代」 この作品は、とても「横浜駅SF」的。読むと、あ~鉄道にこだわりありで、私もそうだから!と思ってしまった。 「たのしい超監

十月は黄昏の銀河帝国 ㉒

7.惑星〈天翔樹(アマギ)〉  スター・サブで惑星〈無天函〉へ向かっていた空里一行は、標準時で七ロクノス(約三日)前にこの〈天翔樹〉に到着したのだった。  旅はもうあとわずかの行程を残すのみだった。  銀河帝国の東南星区を主に通る超空間航路はなんとか順調で、追っ手やそれ以外の何者かによる妨害をやり過ごしながら、あと二つの星百合を経由すれば〈無天函〉というところまで来ていた。  そして原典師審判の期限までは、まだ約二十ロクノス(約十日)近い猶予があった。ところが、〈天翔樹〉

『英語学習』ドイツのAIロボット産業の行方Germany AI robots

まえがき 英語の記事を読んでいて、近頃よく見かけるのがAIについての記事です。 新しい商品が開発されたり、もしくは規制をされたりと、国によっても対応がさまざまで、面白いなあと個人的には思っています。 今回取り扱う記事のタイトルは「Germany AI robots」 ドイツと言えば車、というなんともお粗末なイメージしかなかったのですが、どうやら時代は変革の時を迎え、最近はロボット工学が最先端のようでした。ドイツ車カッコいいですけどね。 ではよろしければ最後までお付き

小説(SS) 「記憶の底で眠るもの」@毎週ショートショートnote #書庫冷凍

 人の記憶にダイブするのは、いつだって危険と隣り合わせだ。他人の見たもの、聞いたものを追体験しているうち、自己とそれとを隔てる境界線が次第に揺らいでいく。だから、調査にかけられる時間は高度な訓練を積んだ記憶捜査官であるラニでさえ、わずかな時間しか与えられていない。  体感にして五分。それを越えたときに起こることは想像に難くない。実際、この仕事を何年も続ける中で、"戻ってこれなくなった"同僚を幾度か目にしていた。  ラニは、重金属でできた冷凍庫の扉に触れると、いつものルーティ

【近未来ディストピア連載小説】「餅禁止令と人間らしさの戦い――『餅と自由』が描く、ホワイト規制社会のリアル」

「餅は白い殺し屋だ」 2056年、喉を詰まらせて亡くなる高齢者がいることを理由に、日本政府はそう断言し、餅の製造・販売・消費を全面禁止 する法案を可決した。 そしてまた闇市場が形成され「違法餅」も飛び交う。 タバコ、酒、ジャンクフード、餅――健康至上主義のもとで規制されていく食品たち。人々はより「クリーンで安全な社会」を手に入れたが、その裏で、食の自由と文化を奪われた社会の歪み が生まれていた。 『餅と自由』 は、そんなディストピア社会を描く近未来SF作品だ。規制の名の

【短編小説】砂の旅人

 黄金の砂漠に、ぽつぽつと足跡が伸びる。  その先に一人の旅人がいた。  旅人は襤褸を纏い、つばの広い先の尖った帽子を被っている。背中には大きなリュックを背負っている。  旅人が振り返ると、彼方にこの惑星まで彼を運んだ宇宙船が、忘れ去られた墓標のように大地に突き立っていた。  旅人と宇宙船を、母親と赤子を繋ぐへその緒のように足跡が繋いでいたが、一陣の風が吹くとそれは跡形もなく消えてしまった。  足跡と共に自分が歩んできたこれまでの人生の道のりまでもが消えてしまうよう